目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年10月19日作成,2019年10月20日更新

平成25年度 問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

(1) エネルギー保存則

熱力学の第一法則はエネルギー保存則とも言われる。この法則を確認した先駆者の一人はジュールであり,その実験方法の一つは,おもりの落下運動により液体容器内の羽根車を回転させることで,おもりの位置エネルギーを液体の粘性を介して液体の熱エネルギー,すなわち温度上昇に変換するものであった。

このような系を実際に計算してみる。まず質量が 20 kg の物体を考えると,これに作用する重力は,重力の加速度を 9.8 m/s² とすると 2.0 × 10² [N] であり,この物体が基準面より 2 m 高いところにあるとき,基準面に対して 3.9 × 10² [J] の位置エネルギーを持つ。この位置エネルギーが,質量 10 kg の水の温度上昇に相当する熱エネルギーに変換されるとき,温度上昇は 9.3 × 10-3 [K] になる。ここで,水の定圧比熱は 4.2 kJ/(kg·K) とし,一定とする。

(2) 電力量

電力量を表すのに [kW·h] という単位が日常的に使われている。1 kW·h = 3.6 × 106 [J] であり,これは,消費電力 60 W の電球を 6.0 × 104 [s] 点灯したときの電力量に相当する。

[kW·h] → [J]

1 kW·h = 10³ [W] × 60 [min/h] × 60 [s/min] = 3.6 × 106 [J]

電球の点灯時間

消費電力が 1 kW·h に達する電球の点灯時間は次式で求められる。

1 000 [W·] / 60 [W] × 60 [min/h] × 60 [s/min] = 60 000 [s]

(3) 電力の貯蔵システム,分散型電源

1) 大規模な電力の貯蔵システムとして我が国で最も実績のあるのは揚水発電である。これと比べると小規模ではあるが,電気化学反応により,電気エネルギーの貯蔵と利用が繰り返しできるものを二次電池と呼ぶ。二次電池の中で,最も長い実績を有するのは鉛蓄電池であり,自動車の搭載機器用電源などで用いられている。

2) 電力会社の発電所から送電する従来の方式に対して,再生可能エネルギーによる発電,自家用発電所や各種方式のコージェネレーションなど,分散型電源の普及が期待されている。特に,エネルギー需要が増大している民生部門では,近年我が国でも家庭用として,出力 1 kW 程度の定置型燃料電池による,発電と給湯を併せ持つ分散型電源が普及しつつある。このような家庭用に普及しつつある燃料電池には固体高分子形固体酸化物形の 2 種類があり,より高温で作動するのは固体酸化物形である。

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