目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年10月19日作成,2021年8月3日更新

平成28年度 問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

(1) 国際単位系(SI)

国際単位系(SI)では,長さ(メートル [m]),質量(キログラム [kg]),時間(秒 [s]),電流(アンペア [A]),熱力学温度(ケルビン [K]),光度(カンデラ [cd])及び物質量(モル [mol])の 7 個を基本単位としている。力やエネルギーなどの単位は基本単位にはなく,前述の 7 個の基本単位のうちのいくつかを組み合わせて表されるので,組立単位と呼ばれている。

圧力の単位は,日常的には [気圧] を用いることもあるが,SI では,組立単位であるパスカル [Pa] を用いる。パスカルは,基本単位を用いると kg/(m·s²) と表される。標準大気圧(1 気圧)は,約 105 [Pa] である。

ダムの水深が 180 m であり,大気圧が標準大気圧のとき,底部に加わる圧力は 1.9 × 106 [Pa] である。ただし,水の密度を 1 000 kg/m³,重力の加速度を 9.8 m/s² とする。

パスカル [Pa]

[Pa] = [N] / [m²] = [kg·m/s²] / [m²] = [kg/(m·s²)]

標準大気圧(1 気圧)

1 atm = 101 325 Pa

ダムの底部に加わる圧力

ダムの底部に加わる圧力は,大気圧 101 325 Pa と水深 180 m における水圧の和である。

101 325 [Pa] + 180 [m] × 1 000 [kg/m³] × 9.8 [m/s²] = 1 865 325 [Pa] = 1.9 × 106 [Pa]

(2) 再生可能エネルギー

近年注目されている「再生可能エネルギー」の原語(英語)は renewable energy である。再生可能エネルギーの中で,発電利用の面から,現在,我が国で水力発電に次いで年間発電量が多いのは,ここ数年で急速な増加傾向にある太陽光発電である。また,エネルギー形態の面から,化学エネルギーを貯蔵していると考えられるのはバイオマスである。

なお,再生可能エネルギーの発電への利用を促進するため,我が国で 2012 年 7 月に導入されたのが,固定価格買取制度である。

renewable は,「再生可能な」の意。

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT : Feed-in Tariff)

再生可能エネルギーの普及政策の一つであり,再生可能エネルギーで発電した電気を,長期間固定優遇化角煮て電力会社が買い取ることを国が約束する制度。日本では一般電気事業者に対し,経済産業大臣が認定した再生可能エネルギー発電設備(太陽光,風力,中小水力,地熱,バイオマス)によって発電された電気を,国が定める固定価格で一定期間全量買い取ることを義務付けている。

再エネ事業者にとってはコスト回収の見通しが立ちやすくなるため,多くの事業参入が期待されるとして,2012 年 7 月より制度が開始された。

(3) 一次エネルギーの選択

一次エネルギーの選択に当たっては,埋蔵量やコスト,供給安定性,環境負荷などが重要因子である。

埋蔵量については,2015 年のエネルギー白書における 2013 年の統計データによると,主な化石エネルギーである石炭,石油,天然ガスの中で,確認可採埋蔵量を年生産量で除した可採年数が最も長いのは石炭である。

また,社会情勢を反映した供給安定性について考慮すると,我が国への安定した供給が最も懸念されるのは石油である。

一方,環境負荷においては,発電利用で考えると,単位発電量当たりの二酸化炭素排出量が最も多いのは石炭であるが,熱効率向上によりこの点を抑制する新技術として石炭ガス化複合発電が期待されている。

石炭ガス化複合発電技術(Integrated Coal Gasification Combined Cycle : IGCC)

石炭を微粉末にして高温・高圧化で酸素と反応させると,一酸化炭素と水素の合成ガスができるが,石炭中の窒素分や硫黄分は,この反応過程で大幅に減らすことができる。この合成ガスを燃焼させてガスタービンを回し,さらにガスの熱を利用して蒸気タービンも回して発電すると,微粉末火力発電よりも大幅に発電効率を向上させることができる。これが石炭ガス化複合発電技術である。

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