目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年7月21日作成,2019年7月22日更新

平成29年度 問題5 自動制御及び情報処理

(1) フィードバック制御系

図に示すようなブロック線図で表したフィードバック制御系を考える。ここで,目標値を $r(t)$,操作量を $u(t)$,制御量を $y(t)$ とする。また,$R(s)$ は $r(t)$ を,$U(s)$ は $u(t)$ を,$Y(s)$ は $y(t)$ をそれぞれラプラス変換したものとし,$A$,$K$ 及び $T$ は全て正の実数とする。

フィードバック制御系
図 フィードバック制御系

1) ブロック 1 の名称として最も適切なのは制御器である。またブロック 2 の名称として最も適切なのは制御対象である。

2) このとき,目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ への閉ループ伝達関数を計算すると,式 $\displaystyle \frac{AK}{Ts^2 + s + AK}$ を得る。また,目標値 $R(s)$ と制御量 $Y(s)$ の偏差 $E(s)$ を $E(s) = R(s) - Y(s)$ と定義すると,目標値 $R(s)$ から偏差 $E(s)$ への閉ループ伝達関数として式 $\displaystyle \frac{Ts^2 + s}{Ts^2 + s + AK}$ を得る。

3) いま,目標値を $r(t) = 1$($t \gt 0$)として,単位ステップ入力を与える。

ⅰ) このとき,制御量 $y(t)$ の定常値 $\displaystyle \lim_{t \to \infty} y(t)$ の値は 1 となる。

ⅱ) また,もしモデル変動により $A$ の値が 2 倍になった場合,この定常値は変わらない

目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ への閉ループ伝達関数

目標値 $R(s)$ と制御量 $Y(s)$ には次式が成り立つ。

\[ Y(s) = \{ R(s) - Y(s)\} \cdot \frac{K}{s} \cdot \frac{A}{Ts + 1} \]

上式を整理して,目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ への閉ループ伝達関数を得る。

\[ \frac{Y(s)}{R(s)} = \frac{AK}{Ts^2 + s + AK} \]

目標値 $R(s)$ から偏差 $E(s)$ への閉ループ伝達関数

目標値 $R(s)$ と偏差 $E(s)$ には次式が成り立つ。

\[ E(s) = R(s) - Y(s) = R(s) - \frac{AK}{Ts^2 + s + AK} R(s) \]

上式を整理して,目標値 $R(s)$ から偏差 $E(s)$ への閉ループ伝達関数を得る。

\[ \frac{E(s)}{R(s)} = \frac{Ts^2 + s}{Ts^2 + s + AK} \]

制御量 $y(t)$ の定常値

制御量 $y(t)$ の定常値をラプラスの変換の最終値の定理を用いて求める。

\[ \lim_{t \to \infty} y(t) = \lim_{s \to 0} sY(s) = \lim_{s \to 0} s \cdot \frac{AK}{Ts^2 + s + AK} \cdot \frac{1}{s} = 1 \]

定常値には,$A$ が含まれていないため,もしモデル変動により $A$ の値が 2 倍になった場合,この定常値は変わらない。

(2) 比例要素のあるフィードバック制御系の制御

比例要素のあるフィードバック制御系の制御において,定値制御における定常偏差をなくすためには,制御器に積分要素を加えることが有効であり,過渡時に振動を抑制し素早く目標値に追従するためには,制御器に微分要素を加えることが有効である。

(3) 外部からの不正な侵入

工場やビルのエネルギー管理システムなどをインターネットに接続する場合には,外部からの不正な侵入を検知してシステムを守る事が重要である。ファイアウォールは,内部ネットワークと外部ネットワークの境界点に設置し,外部とやりとりする通信パケットを監視し,ネットワーク上にある送信元や送信先を特定するための論理番号である IP アドレスをチェックし,あらかじめテーブルなどで許可している IP アドレス間の通信は通過させる機能を有する。

ファイアウォールとは,防火壁のことだが,コンピュータ・セキュリティの分野では,予め設定したルールに従い,通してはいけない通信を止める機能のことを指す。

(4) インターフェースの規格

コンピュータなどの情報機器に様々な周辺機器を接続するためのシリアルインタフェースの規格の 1 つである USB は,1 つのバスに最大 127 台の機器が接続可能である。また,電源を入れたまま周辺機器の交換や抜き差しが可能なホットプラグ機能にも対応する。

ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus : USB)は,コンピュータ等の情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の 1 つである。

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