目指せ！エネルギー管理士 電気分野
平成29年度 問題14 電気化学
(1) 化学反応速度
化学反応速度は，通常，反応物質の温度と濃度で制御することが可能であるが，電極反応ではこれらに加えて電極電位を制御して，反応速度すなわち電流を制御できる。反応速度を大きくするには過電圧の絶対値を大きくする。外部から観測できる電流が零になるときは，電極の単位表面積当たりの酸化電流 $i_\text{c}$ と還元電流 $i_\text{c}$ は等しくなっており，この値を交換電流密度と呼ぶ。この値は，電極触媒能を表す重要な因子である。
過電圧（overpotential, overvoltage）は，化学用語の 1 つで，電気化学反応において，熱力学的に求められる反応の理論電位（平衡電極電位）と，実際に反応が進行するときの電極の電位との差のことである。
(2) 燃料電池
1) 燃料電池は，水素，ヒドラジン，アルコール類などの燃料を，電極触媒を賦与したアノードで電気化学的に酸化させ，もう一方の電極で酸素を酸化剤として還元させることにより，その化学エネルギーを電気エネルギーへ直接変換して取り出すデバイスである。
燃料電池の理論熱効率は，燃料の燃焼のギブズエネルギー変化とエンタルピー変化の比で表される。燃料電池は小型化しても効率が良いので，分散型発電としての適用性に優れており，併せてコージェネレーションシステムとして用いれば熱利用率の向上も期待でき，総合効率の更なる向上につながる。
燃料電池は，「水素」と「酸素」を化学反応させて，直接「電気」を発電する装置である。燃料電池の燃料となる「水素」は，天然ガスやメタノールを改質して作るのが一般的である。「酸素」は，大気中から取り入れる。
コージェネレーションシステムとは，熱源より電力と熱を生産し供給するシステムの総称。
(3) リチウムイオン電池
公称電圧が 3.7 V で，電池 1 個の持つ電気エネルギーが 8.88 W·h のリチウムイオン電池がある。
1) この電池 1 個の容量は 2.40 [A·h] となる。
2) この電池 1 個を充電電流 0.5 A で充電したときに満充電に要する時間は 4.80 [h] となる。
3) この電池を 100 個直列に接続した電池（スタック）を満充電したときに，2 時間使用することができた。このときの消費電力は 4.44 × 102 [W] である。
1) 電池 1 個の容量は，次式で求められる。
2) 電池 1 個を充電電流 0.5 A で充電したときに満充電に要する時間は，次式で求められる。
3) 題意の消費電力は，次式で求められる。