目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2021年8月16日作成,2021年8月16日更新

平成29年度 問題15 照明

(1)

1) 間口 10 m,奥行 20 m,作業面から天井までの高さ 3 m の作業場で,天井面に蛍光ランプ 2 灯用の照明器具を 40 台設置した。

ⅰ) 光束法を用いて作業面上での設計照度を求めたところ,水平面の平均照度が 500 lx となった。このとき,蛍光ランプ 1 灯の光束は 2.6 × 103 [lm] となる。ただし,照明率は 0.70,保守率は 0.70 とする。

ⅱ) ここで,室内の作業面の A 点について考える。節電のため,取り付けた 40 台の照明器具について 2 灯のうち 1 灯を消灯したところ,A 点の水平面照度が 250 lx となった。そこで,別の光源を新たに設置して A 点の照度 500 lx を確保することとした。その光源を,A 点からの水平距離 1 m,作業面からの高さ 1 m の位置に設置するとき,光源の光度は 7.1 × 102 [cd] 必要となる。ただし,新たな光源は点光源で反射は考えないものとする。

2) ある部屋の高さ 4 m の天井面の中央部分に,直径 4 m の天窓(均等拡散性で透過率 0.5)がある。曇天の日において,空の輝度が 6 500 cd/m2 で均一であるとき,この天窓の室内での光束発散度 $M$ は 1.0 × 104 [lm/m2] となる。また,この部屋の天窓中央の真下の床面 B 点の水平面照度 $E$ は 2.0 × 103 [lx] となる。ただし,壁,床などの反射はないものとする。

なお,水平面照度 $E$ は,円光源である天窓の輝度を $L$,B 点から天窓を見たときにできる円錐の半頂角を $\theta$,円周率を $\pi$ とすると,$E=\pi L \sin^2{\theta}$ で求められる。

3) 幅 1 m,長さ 4 m,透過率 $\tau$ = 40 %,吸収率 $\alpha$ = 20 % の布がある。この布に光束 $\phi$ = 500 [lm] の光が入射している。この布上の光束発散度は 50 [lm/m2] となる。

(2)

照明用の白色 LED(発光ダイオード)は,最近では発光効率 [lm/W] が著しく向上している。そこで,ある部屋の照明を直管蛍光灯器具から直管 LED 器具へ交換することにより省エネルギーを図ることを考える。

1) 交換前の直管蛍光灯器具の固有エネルギー消費効率が 100 lm/W,交換する直管 LED 器具の固有エネルギー消費効率が 160 lm/W であるとすると,部屋全体で 8 万 lm の光束値を得ている場合,300 [W] の省エネが可能である。

2) 被照射物の見え方の良し悪しによって照明光の質を論ずる場合は平均演色評価数を尺度に用いるが,現在の照明用 LED の値は蛍光ランプと比べて遜色なく,一般的に室内で求められる 80 という値を満足する製品が容易に入手できる。

3) 蛍光ランプは,LED の効率向上によって発光効率が LED を下回り,効率面での優位性がなくなったこと,また環境的側面からは,発光材料として水銀を使っているため廃棄時の取り扱いに難があることなどで使いにくい光源となってきた。

白色 LED と蛍光ランプでは発光原理が異なるものの,共に蛍光体を用いて広義の白色(黒体軌跡から離れていない光色という意味)を得ている点では共通している。ただし,蛍光ランプではからの波長が 254 nm の紫外放射を励起源とし,白色 LED では,波長のピークが 450 nm 前後に有る青色 LED 光を励起源としている。どちらの場合も,エネルギーの高い光からエネルギーの低い光に交換する際,ストークスシフトと呼ばれる損失を伴うが,この損失割合は励起光の波長が短い場合の方が大きくなる。

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