目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年7月26日作成,2019年10月17日更新

平成30年度 問題1 エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令

法令は平成30年4月1日時点で施行されているものである。

以下の問題文では,次のように略記する。

  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律を『法』
  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令を『令』
  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行規則を『則』

(1)

1) 『法』第 1 条の条文

この法律は、内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

2) 『法』第 4 条の条文

エネルギーを使用する者は、基本方針の定めるところに留意して、エネルギーの使用の合理化に努めるとともに、電気の需要の平準化に資する措置を講ずるよう努めなければならない。

3) 『法』第 7 条の 2 の条文

特定事業者は,経済産業省令で定めるところにより,第 14 条第 1 項の中長期的な計画の作成事務,その設置している工場におけるエネルギーの使用の合理化に関し,エネルギーを消費する設備の維持,エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を統括管理する者(以下「エネルギー管理統括者」という。)を選任しなければならない。

2 エネルギー管理統括者は,特定事業者が行う事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。

3 特定事業者は,経済産業省令で定めるところにより,エネルギー管理統括者の選任又は解任について経済産業大臣に届け出なければならない。

(2)

『法』第 2 条,第 7 条,第 7 条の 2,第 7 条の 3,第 7 条の 4,第 8 条,第 13 条,第 17 条及び第 18 条,『令』第 1 条,第 2 条,第 2 条の 2,第 3 条,第 4 条及び第 6 条,『則』第 4 条及び第 6 条関連の文章

ある事業者が機械部品製造工場と,別の事業所として本社事務所を所有しており,これらがこの事業者の設置している施設の全てである。ここで,機械部品製造工場における前年度の燃料,電気などの使用量は,次の a ~ e のとおり,本社事務所における前年度の電気などの使用量は,次の f 及び g のとおりであり,この事業者は a ~ g 以外のエネルギーは使用していなかった。なお,本社事務所は,専ら事務所として使用されていた。

  1. 機械部品製造工場において,加熱炉で使用した都市ガスの量を発熱量として換算した量が 10 万 5 千ギガジュール
  2. 機械部品製造工場において,コージェネレーション設備を設置し,そこで使用した都市ガスの量を発熱量として換算した量が 7 万 9 千ギガジュール
  3. 機械部品製造工場において,a の加熱炉からの排熱を温水として回収して使用した。その回収して使用した熱の量を燃料の発熱量に換算した量が 1 万 5 千ギガジュール
  4. 機械部品製造工場において,b のコージェネレーション設備で発生させた電気と蒸気を工場内で使用した。その電気の量を熱量として換算した量が 3 万 1 千ギガジュールで,蒸気の量を熱量として換算した量が 2 万 5 千ギガジュール
  5. 機械部品製造工場において,電気小売事業者から購入して使用した電気の量を熱量として換算した量が 7 万 3 千ギガジュールで,その購入先の電気小売事業者では,専ら化石燃料によって発電した電気を販売していた。
  6. 本社事務所において,電気小売事業者から購入して使用した電気の量を熱量として換算した量が 5 万 7 千ギガジュールで,その購入先の電気小売事業者では,専ら化石燃料によって発電した電気を販売していた。
  7. 本社事務所において,熱供給事業者から購入して使用した温水及び冷水の熱量を燃料の発熱量に換算した量が 6 千ギガジュールで,その購入先の熱供給事業者では,都市ガス及び専ら化石燃料によって発電した電気を用いて温水及び冷水を発生させていた。

1) この機械部品製造工場が前年度に使用した『法』で定めるエネルギー使用量は,前述の a ~ e のうち a と b と e を合算することになる。

2) 前年度に使用したエネルギー使用量を『法』で定めるところにより原油の数量に換算した量は,機械部品製造工場が 6 631 キロリットル,本社事務所が 1 625 キロリットルであり,その量から判断してこの事業者は特定事業者に該当する。

なお,『則』第 4 条によれば,発熱量又は熱量 1 ギガジュールは原油 0.0258 キロリットルとして換算することとされている。

3) 2) によって当該の指定を受けた後,この事業者が選任しなければならないのは,エネルギー管理統括者,エネルギー管理企画推進者の他に,次に示す 1. から 4. のうちの 1. と 4. である。

  1. 機械部品製造工場のエネルギー管理者
  2. 機械部品製造工場のエネルギー管理員
  3. 本社事務所のエネルギー管理者
  4. 本社事務所のエネルギー管理員

4) この事業者のエネルギー管理統括者が欠員となり,新たに選任しなければならない場合,選任すべき事由が生じた日以降,遅滞なく選任しなければならない。

機械部品製造工場のエネルギー使用量

機械部品製造工場のエネルギー使用量は,a. と b. と e. の合算であり,それを原油の数量に換算する。

\[ (105,000 + 79,000 + 73,000) \times 0.0258 = 6,630.6 \text{ [kL]} \]

本社事務所のエネルギー使用量

本社事務所のエネルギー使用量は,f. と g. の合算であり,それを原油の数量に換算する。

\[ (57,000 + 6,000) \times 0.0258 = 1,625.4 \text{ [kL]} \]

(3)

1) 『法』第 78 条,『令』第 15 条に関連する文章

『法』第 78 条では,経済産業大臣(自動車及びこれに係る特定関係機器にあっては,経済産業大臣及び国土交通大臣)は,特定エネルギー消費機器及び特定関係機器(以下「特定エネルギー消費機器等」という。)ごとに,そのエネルギー消費性能又はエネルギー消費関係性能の向上に関し,そのエネルギー消費機器等の製造事業者等の判断の基準となるべき事項を定めて公表するものとする,としている。また,この判断の基準となるべき事項は,当該特定エネルギー消費機器等のうちエネルギー消費性能等が最も優れているもののそのエネルギー消費性能等,当該特定エネルギー消費機器等に関する技術開発の将来の見通しその他の事情を勘案して定めるものとする,としている。

この特定エネルギー消費機器として,『令』第 15 条が規定している機器を,次の a ~ d のうちからすべて挙げると a と c である。

  1. 乗用自動車
  2. シュレッダ
  3. 交流電動機
  4. 加工用レーザ発振器

『法』第 84 条の 2,『則』第 18 条の 2 関連の文章

『法』第 84 条の 2 では,経済産業大臣は,この法律の施行に当たっては,我が国全体のエネルギーの使用の合理化等を図るために事業者が自主的に行う技術の提供,助言,事業の連携等による他の者のエネルギーの使用の合理化等の促進に寄与する取組を促進するよう適切な配慮をするものとする,としている。

また,『則』第 18 条の 2 では,特定事業者等は,主務大臣に対して行う定期の報告において,『則』第 18 条の規定する事項の報告に併せて,上述の技術の提供,助言,事業の連携等による他の者のエネルギーの使用の合理化の促進に寄与する取組を報告することができる,としている。

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