目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年7月15日作成,2019年7月21日更新

平成30年度 問題5 自動制御及び情報処理

(1) フィードバック制御系

図に示すようなブロック線図で表したフィードバック制御系を考える。ここで,目標値を $r(t)$,外乱を $d(t)$,制御量を $y(t)$ とし,$R(s)$ は $r(t)$ を,$D(s)$ は $d(t)$ を,$Y(s)$ は $y(t)$ をそれぞれラプラス変換したものとする。ただし,$k_1$,$k_2$ 及び $k_3$ は正の整数である。

フィードバック制御系
図 フィードバック制御系

1) まず,外乱 $D(s)$ を 0 として,目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数を計算すると,$\displaystyle \frac{k_2}{s^2+ k_3 s + k_1 k_2}$ を得る。同様に目標値 $R(s)$ を 0 として,外乱 $D(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数を計算すると,$\displaystyle \frac{s}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2}$ を得る

2) いま,図に示す制御系が安定で収束するという条件を満たしている前提で目標値を $r(t) = 0$ と設定したときに,外乱が加えられた状況を考える。

もし外乱が $d(t) = 1$($t \ge 0$)であるとすると,制御量 $y(t)$ の定常値 $\displaystyle \lim_{t \to \infty} y(t)$ は 0 となる。

また,もし外乱が $d(t) = t$($t \ge 0$)であるとすると,制御量 $y(t)$ の定常値 $\displaystyle \lim_{t \to \infty} y(t)$ は $\displaystyle \frac{1}{k_1 k_2}$ となる。

3) 次に,このフィードバック系の安定性について確認する。たとえば,フィードバック要素を $k_1$ を 1 とし,一次遅れ要素の $k_3$ を 3 としたとき,系が安定で収束するためには,積分要素の $k_2$ は $k_2 \gt 0$ である必要がある。

目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数

外乱 $D(s)$ を 0 とすれば,目標値 $R(s)$ と制御量 $Y(s)$ の関係は次式で表される。

\[ Y(s) = \frac{k_2}{s} \cdot \frac{1}{s + k_3} \{R(s) - k_1 Y(s)\} \]

上式を整理すれば,目標値 $R(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数が得られる。

\[ \frac{Y(s)}{R(s)} = \frac{k_2}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} \]

外乱 $D(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数

目標値 $R(s)$ を 0 とすれば,外乱 $D(s)$ と制御量 $Y(s)$ の関係は次式で表される。

\[ Y(s) = \{D(s) - \frac{k_1 k_2}{s} Y(s)\} \cdot \frac{1}{s + k_3} \]

上式を整理すれば,外乱 $D(s)$ から制御量 $Y(s)$ までの伝達関数が得られる。

\[ \frac{Y(s)}{D(s)} = \frac{s}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} \]

外乱が $d(t) = 1$($t \ge 0$)の制御量 $y(t)$ の定常値

制御量 $y(t)$ の定常値は次式で求められる。

\[ \lim_{t \to \infty} y(t) = \lim_{s \to 0} sY(s) = \lim_{s \to 0} s \cdot \frac{s}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} \cdot D(s) \]

外乱は $d(t) = 1$($t \ge 0$)であるので,$D(s) = 1/s$ を代入する。

\[ \lim_{t \to \infty} y(t) = \lim_{s \to 0} s \cdot \frac{s}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} \cdot \frac{1}{s} = 0 \]

外乱が $d(t) = t$($t \ge 0$)の制御量 $y(t)$ の定常値

外乱は $d(t) = t$($t \ge 0$)であるので,$D(s) = 1/s^2$ を代入する。

\[ \lim_{t \to \infty} y(t) = \lim_{s \to 0} s \cdot \frac{s}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} \cdot \frac{1}{s^2} = \lim_{s \to 0} \frac{1}{s^2 + k_3 s + k_1 k_2} = \frac{1}{k_1 k_2} \]

(2) 安定な二次遅れ系

次式の伝達関数 $G(s)$ で示される安定な二次遅れ系について考える。ここで,$K$ はゲインで正の実数,$\omega_{\text{n}}$ は固有角周波数で正の実数,$\xi$ は減衰係数で正の実数である。

\[ G(s) = \frac{K \omega_{\text{n}}^2}{s^2 + 2 \xi \omega_{\text{n}}s + \omega_{\text{n}}^2} \]

1) この系で,$\omega_{\text{n}}$ を大きくすれば系の応答速度を向上させるように作用し,$\xi$ を大きくすれば振動を抑制するように作用する。

2) また,この系にステップ入力を加えたとき,その応答にオーバーシュートを生じさせないための条件は $1 \le \xi$ である。

(3) コンピュータ

コンピュータは入力装置,出力装置,制御装置,演算装置,記憶装置から構成され,制御装置と演算装置を合わせて中央処理装置と呼ぶ。コンピュータの処理性能を表現する単位は,100 万個の命令を 1 秒で実行する能力を用いて MIPS で表す。

コンピュータにはアクセス時間が短いことが性能として求められる。例えば,中央演算装置と主記憶装置とのアクセス時間を短縮するために用いられるものの一つとしてキャッシュメモリがある。

MIPS(ミプス)は,100 万命令毎秒(million instructions per second)の略で,コンピュータの性能指標の 1 つ。1 秒間に何百万個の命令が実行できるかを表す。

(4) 有線 LAN (構内ネットワーク)の接続形態

有線 LAN(構内ネットワーク)の接続形態には,スター型,リング型,バス型がある。これらのうち,配線の変更やケーブルの延長は容易であるが,情報が一方向にだけ伝送されるため,一つのノードが故障すると一連の接続が切断され,障害発生時に他のノードへの影響が出やすい接続形態はリング型である。障害発生時の他のノードへの影響波及を防ぐためには,ケーブルの二重化等の対策を行う。

また,有線 LAN で使用する伝送媒体にはメタル(銅線)と光ファイバがあり,光ファイバケーブルは,メタルに比べて電磁ノイズに強く広帯域であり,伝送距離の最大長も長い。光ファイバケーブルは,ファイバ内の光伝送モードによってシングルモード型とマルチモード型に分類され,一般的に最大長はシングルモード型の方が長く,規格上の最大長は数キロメートル以上のものが多い。

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