目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年7月22日作成,2019年7月26日更新

平成30年度 問題6 電気計測

(1) オシロスコープ

(1) オシロスコープは,原理的には時間的に変動している電圧をディスプレイに表示する装置である。

1) 縦軸方向に表示された入力電圧に対応する輝点を横軸方向に時間で掃引することで,そのディスプレイ上に電圧波形を表示させることができる。周期波形の場合,入力がある設定電圧を横切ったら掃引を開始するようにすると,ディスプレイに安定して波形が表示される。この設定電圧をトリガ電圧と呼ぶ

2) ディスプレイを格子状に縦 8 分割,横 10 分割し,その格子に目盛りを振ったオシロスコープがある。このオシロスコープを用いて正弦波形の観測を行うことを考える。ここで横軸の掃引速度を 1 [μs/div] とした。ただし,div は 1 格子間隔を意味し,掃引速度は 1 格子間隔当たりの時間で定義される。また,縦軸の格子間隔を 1 [mV/div] と設定した。ディスプレイ画面の縦 8 格子,横 10 格子一杯に,ちょうど 2 サイクル分の正弦波形が観測された。このとき,その正弦波形の周波数は 200 [kHz],振幅は 4 [mV] である。

3) 横軸に時間ではなく別の電圧信号を用いることもできる。その場合,楕円や線分などの表示が得られる。このように表された図をリサジュー図形と呼び,入力した 2 つの電圧信号の相互関係を観測するときに便利である。この図から,2 つの入力電圧信号の周波数比や位相差などを求めることもできる。

ここで振幅が等しい二つの電圧信号を考える。横軸に周波数 $f_1$ の正弦波電圧,縦軸に周波数 $f_2$ の正弦波電圧を入力したところ,ディスプレイ上に右,つまり横軸の正方向に傾いた楕円図形が得られた。このことから,二つの入力電圧信号の周波数に $f_1 = f_2$ の関係があることがわかる。

2) 正弦波形

ディスプレイ画面に表示された正弦波は下図のようになる。横軸の掃引速度を 1 [μs/div] であるので周期は 5 [μs],周波数は 200 [kHz] となる。また,縦軸の格子間隔を 1 [mV/div] であるので振幅は 4 [mV] である。

ディスプレイ画面に表示された正弦波
図 ディスプレイ画面に表示された正弦波

3) リサジュー図形

ここで振幅が等しい二つの電圧信号を考える。横軸に周波数 $f_1$ の正弦波電圧,縦軸に周波数 $f_2$ の正弦波電圧を入力したところ,下図のようなディスプレイ上に右,つまり横軸の正方向に傾いた楕円図形が得られた。二つの入力電圧信号の周波数に $f_1 = f_2$ であれば,楕円図形ではなく一直線となる。。

ディスプレイ画面に表示されたリサジュー図形
図 ディスプレイ画面に表示されたリサジュー図形

(2) 温度センサ

(2) 温度センサには多くの種類がある。使用する際には,対象温度範囲などの使用条件,用途,コスト,メンテナンス性,守るべき規格への対応等を考慮する必要がある。

1) 温度による電気抵抗の変化を利用した温度計を抵抗温度計という。その中で工業用温度計として代表的なものが白金測温抵抗体である。白金測温抵抗体は,JIS 規格で基準抵抗値が -200 °C ~ 850 °C の範囲で定められており,また,100 °C での抵抗値 $R_{100}$ と 0 °C での抵抗値 $R_0$ の比 $\displaystyle \frac{R_{100}}{R_0}$ が通常 1.3851 と定められている。

抵抗温度計の測定誤差としては,主に配線抵抗,自己加熱及び電磁ノイズが考えられる。配線抵抗の影響を避けるため,結線方式としては 3 線式が主流であり,高精度の測定には 4 線式も用いられる。また,自己加熱の影響を避けるために,定められた測定電流条件で使用することが必要である。

2) 2 種類の金属の接合部で生じる起電力を測定し,その値をあらかじめ求められている温度換算式を用いて換算し,温度表示を行う温度計に熱電温度計がある。この温度計は,温度範囲や測定雰囲気に応じ多数の種類があるため,適切な選定が必要である。

3) 前述の 1),2) の温度計が接触式であるのに対し,放射温度計は非接触式である。非接触式は,測定対象が移動体である場合や高温高圧の場合に便利であり,また,食品分野の温度管理でも衛生面や安全面から,測定対象に触れないで温度が測定できる非接触式がよく使用されている。

測温抵抗体(platinum resistance thermometer)

抵抗素子,内部導線,絶縁物,保護管,端子などからなる白金測温体。ただし,分離できる保護管及びサーモウエルは含まない。(JIS 1604 : 2013「測温抵抗体」 3 用語)

内部導線の結線方式(3 線式)

内部導線の結線方式のうち,3 線式は最も一般的な結線方式である。下図に示すように,抵抗素子の片端に 2 本,もう片端に 1 本の導線を接続した結線方式である。3 本の導線の長さ,材質,線径及び電気抵抗が等しい場合,導線抵抗の影響を回避することができる。

内部導線の結線方式(3 線式)
図 内部導線の結線方式(3 線式)

内部導線の結線方式(4 線式)

下図に示すように,抵抗素子の両端に 2 本ずつ導線を接続した結線方式である。高価であるが,測定原理上,導線抵抗の影響を完全に回避できる。

内部導線の結線方式(4 線式)
図 内部導線の結線方式(4 線式)
inserted by FC2 system