目指せ!エネルギー管理士 電気分野
平成30年度 問題15 照明
(1)
1) 間口 15 m,奥行き 10 m,高さ 2.5 m の部屋の照明に全般照明方式が採用されている。使用されている照明器具の種類は「直管形蛍光ランプ × 2 灯用」器具で,器具台数は 40 台である。蛍光ランプの仕様は,1 灯当たりの全光束が 3 450 lm,定格電力が 36 W,点灯回路も含めた総合効率が 87 lm/W であり,蛍光ランプと点灯回路を合計した電力が器具の消費電力となるものとする。また,器具の照明率は 0.60,保守率は 0.70 である。
ⅰ) 光束法を用いると,保守率を考慮したこの部屋の照度は 7.7 × 102 [lx] と試算される。
ⅱ) この照明器具の年間の点灯時間を 4 000 時間とすると,この部屋の年間の消費電力は 1.3 × 104 [kW·h/年] となる。
ⅲ) この部屋の照度を変えずに,蛍光ランプと同サイズの直管形 LED ランプを用いた同タイプの照明器具に取り換えることを考える。ここで,LED ランプの総合効率を 136 lm/W とすると,LED 照明器具を必要台数設置したとき,取り換えによりより削減される消費電力の割合は,現在の消費電力に対して 36 [%] と試算される。ただし,LED ランプの照明率及び保守率の考え方は蛍光ランプと同様とし,その値も照明率は 0.60,保守率は 0.70 と同様とする。また,設置された蛍光灯器具と LED 器具の消費電力の比率は総合効率の比率と同じとする。
2) 値ような輝度を有する光源(均等拡散面)がある。この光源を受光面からの高さ 4 m の位置に設置したとき,光源直下の受光面の水平面照度が 375 lx となった。この光源の直下方向の光度は 6.0 × 103 [cd] となる。また,光源直下から水平距離 3 m の受光面での水平面照度を求めると 1.5 × 102 [lx] となる。
(2)
1) 照明用の白色 LED(発光ダイオード)の発光効率は,最近著しく向上している。白色 LED は,一般に青色の LED からの直接光と青色 LED 光に励起された YAG 蛍光体からの黄色発行を混合することで白色を得ている。
照明用の光源のエネルギー性能を示す指標として,一般にランプ効率が用いられる。ランプ効率とは,光源の全光束を消費電力で除した値のことであり,lm/W の単位で表される。光源をランプ効率の低いものから高いものへ置き換えることによって省エネルギー効果が得られる。
光に変換されなかった電力は熱として捨てられることになる。ランプ効率が 20 lm/W 程度にすぎないハロゲン電球などでは,消費電力の大部分が熱となって捨てられることになるが,最近の白色 LED ではランプ効率が 170 lm/W 程度のものが実現されており,このレベルのランプ効率の白色 LED の発熱量は消費電力の半分程度に相当する熱量である。
2) 照明用の光源には寿命があり,点灯を維持できなくなる絶対寿命と,光束値が初期の値から一定値(蛍光ランプ及び LED ランプは初期値の 70 %)まで低下した時点を指す有効寿命の 2 つの考え方がある。一般照明用蛍光ランプの絶対寿命は多くの場合,電極の寿命で決まるが,白色 LED ランプの有効寿命は使用材料の劣化に依存する。