目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年11月7日作成,2023年12月31日更新

令和元年度 問題15 照明

(1) 最近の一般照明用の光源

1) LED ランプは,一般照明用の光源として着実に市場に浸透しており,従来光源の蛍光ランプと比べて大きな利点は,発光効率が高く,寿命も長いことである。青色 LED と蛍光体の組み合わせ方式による 120 lm/W の白色 LED ランプを考えた場合,消費電力の約 35 [%] が光に変換されている。最近の電球形 LED ランプは,放熱構造が簡素化してきているが,これは主に LED の熱損失の低下によるものである。

2) 最近の LED 照明器具では,調光だけでなく調色も行えるものが多く市場に出回っている。一般的には,相関色温度 2 800 [K] 程度の電球色から 5 000 ~ 6 500 K 程度の白色域までの混光をリモコンなどの操作によって簡単に制御することが可能である。

光色は人の好みもあるが,低照度の場合は一般的に相関色温度の低い光が好まれる傾向にある。また,人の睡眠ホルモンの分泌に照明光が影響することが明らかになっており,青色の成分が多く含まれる光の方が,睡眠ホルモンの分泌抑制効果が大きいとされている。このような生理的な理由から,就寝前の光は相関色温度を下げることが望ましいと考えられる。

3) 一般照明用の光源として,最近では新たに有機 EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルも注目されている。この光源は一般的にガラスや透明樹脂基板上に電極材料や発光材料などが蒸着等の工法で成形され,完成したパネルの厚みも数 mm 程度と非常に薄い面光源である。面光源は高輝度点光源と比較してグレアを抑えられるという特徴がある。いま,一辺の長さが 12 cm の正方形の発光部を持つ有機 EL パネルを片側面発光の均等拡散面光源と仮定し,4 000 cd/m² の輝度で点灯しているとすると,全光束はおよそ 180 [lm] となる。なお,現在のところ実用化された多くの有機 EL パネルの発光効率は,一般的な LED より低く,100 lm/W には到達していない。

グレア(glare)とは,不快感や物の見えづらさを生じさせるような「まぶしさ」のことをいう。

(2) 照明計算

1) 一般家庭で使用されているダウンライト光源を,白熱電球(60 W,寿命 1 000 時間)から電球形蛍光ランプ(12 W,寿命 6 000 時間)に交換した。交換するランプ(電球)の価格を含めた 3 年間のコストを比較すると,電球形蛍光ランプは白熱電球の 38 [%] となる。

ただし,1 年間の点灯時間が 2 000 時間で電気代が 23 円/(kW·h),白熱電球 1 個の価格を 150 円,蛍光ランプ 1 台の価格を 1 800 円とする。

2) 間口 8 m,奥行き 10 m,高さ 3 m の事務所に蛍光ランプ 10 台を取り付けた。このとき,天井面の平均照度は 100 lx で反射率が 80 %,壁面の平均照度は 200 lx で反射率 70 %,床面の平均照度は 350 lx で反射率が 30 % であり,蛍光ランプの器具効率は 80 % であった。このときの蛍光ランプ 1 台の全光束は 3.46 × 10³ [lm] である。

3) 半径 1 m,反射率 0.1,吸収率 0.1 の均等拡散性の乳白色ガラス板がある。このガラス板に対しある光源から光束が一様に入射しているとき,裏面の輝度が 250 cd/m² となった。このときの入射光束は,3.08 × 10³ [lm] である。

4) 直径 40 cm の完全拡散性の半球を用いて平均輝度 3 000 cd/m² のシーリングライトを作りたい。器具効率を 0.8 とすれば,設置する光源の光束は 2.96 × 10³ [lm] のものを選べばよい。

5) 間口 20 m,奥行 30 m,作業面から天井までの高さ 2.4 m の作業場で,蛍光ランプ 2 灯用(ランプ 1 灯当たりの全光束が 4 500 lm)を使用し,平均照度を 500 lx 以上としたい。このとき,最も台数が少なくてすむ光源の配置を求めると,8 台 × 12 [台] の配列となる。ただし,照明器具の照明率は 0.54,保守率は 0.66 とする。

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