目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2020年9月6日作成,2023年12月31日更新

令和2年度 問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

(1) 国際単位系(SI)

国際単位系(SI)では,長さ(メートル [m]),質量(キログラム [kg]),時間(秒 [s]),電流(アンペア [A]),熱力学温度(ケルビン [K]),光度(カンデラ [cd])及び物質量(モル [mol])の 7 つを基本単位としている。

これに対し,例えば単位時間当たりの仕事すなわち仕事率の単位であるワット [W] は,前述の 7 つの基本単位のうちのいくつかを組み合わせて [kg·m2/s3] と表されるので,組立単位と呼ばれる。

クレーンが質量 1 000 kg の物体を 10 s 間で地表から鉛直方向に 15 m 持ち上げたとすると,このクレーンのこの間の平均的な仕事率は 1.47 × 104 [W] である。ここで重力の加速度を 9.8 m/s2 とする。

クレーンの仕事率は次式で求められる。

1 000 [kg] × 9.8 [m/s2] × 15 [m] ÷ 10 [s] = 14 700 [kg·m2/s3] (= 14 700 [W])

(2) 温室効果

地球に到達する太陽からの放射エネルギーは,大気圏の外側で太陽光線に垂直な単位面積当たり単位時間当たりに約 1.4 [kW/m2] である。この太陽からの放射エネルギーと大気と地表面の作用で生じる温室効果において,主に関与する気体は二酸化炭素と水蒸気である。これらの気体は熱ふく射のうちの 1 μm 以上の波長域に比較的強い吸収帯を有しており,それが温室効果の原因となる。二酸化炭素と水蒸気が温室効果(温度上昇)に及ぼしている影響の大きさを比べると,水蒸気の方が二酸化炭素より大きい

温室効果ガス(greenhouse effect gas)

温室効果ガスと呼ばれる CO2 (二酸化炭素),メタン,フロン等は,太陽からの日射エネルギーをほぼ完全に透過させる一方,地表から再放射される赤外線の一部を吸収し,宇宙空間に熱が逃げるのを妨げる効果を持っており,地球温暖化の原因となっている。

(3) 水素を利用した発電設備や熱機関

化石燃料の燃焼利用などに伴う大気中の二酸化炭素濃度の増加を抑制するために,水素を利用した発電設備や熱機関が注目されている。化石燃料は,自然界から直接人類に渡るエネルギーであるから,一次エネルギーと呼ばれるが,それに対して水素は電気などと同様二次エネルギーと呼ばれるように,自然界から直接得ることはできないので,まずその取得過程が重要である。水の電気分解などによる場合には,取得過程における二酸化炭素排出を極力抑制する視点から,電力源として再生可能エネルギーや原子力エネルギーを利用することが効果的である。

ただし,化石燃料を利用する場合でも,そこから化学的に改質して得た水素を用いるシステムで発電を高効率の燃料電池などにより行い,またシステム中で発生した熱エネルギーを有効に利用できれば,結果として二酸化炭素の排出抑制効果が期待できる。

水素エネルギー(hydrogen energy)

水素はクリーンで資源的に豊富であり,かつ利用の可能性がきわめて高いエネルギーともいわれている。しかし,実際には大量の水素を安価に製造する技術が確立していないため,エネルギーとしての利用開発が遅れている。

今後の利用方法としては,高効率な燃料電池への使用,余剰電力で水の電気分解により水素を作り,蓄電と同じ効果を得ること等が考えられる。

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