目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2021年8月13日作成,2023年12月31日更新

令和3年度 問題14 電気化学

(1) 化学電池

化学反応で生じるエネルギーを電気エネルギーに直接変換する装置を化学電池という。化学電池に該当する一次電池の例としてアルカリマンガン乾電池,二次電池の例としてリチウムイオン電池が挙げられる。アルカリマンガン電池の電解質には水酸化カリウムの水溶液が用いられる。

また,物理変化で生じるエネルギーを電気エネルギーに直接変換する装置を物理電池という。物理電池としては,太陽電池などが該当する。

(2) 電気化学反応と電極電位

1) 可逆的な系の電気化学セルの開回路電圧である理論電圧は正極と負極の電極電位の差である。単極電位,すなわち半電池の起電力は単独で求めることはできないので,電位の基準点を与えるいわゆる参照電極を使って求める。水溶液系では,基準電極として標準水素電極が用いられ,それを片側に置き,もう一方の側に対象とする電極を置いたときの電池の起電力を単極の電位と定義する。

2) 電極反応は電極と電解質の界面で起こり,反応速度は電流密度を用いて表される。

標準水素電極(SHE : Standard Hydrogen Electrode)とは,水素ガスおよび水素イオンの活量が全て 1 であるときの水素電極である。

(3) ファラデー定数

電気分解におけるファラデーの法則の定数はファラデー定数と呼ばれ,96 500 C/mol であるが,電子 1 個あたりでは,1.60 × 10-19 [C] である。

例えば,アルミナ(Al2O3)を電気分解してアルミニウムを作ることを考え,3 kA の電流で 15 時間電解反応させたとすると,アルミニウムの反応が 3 電子反応であることから,理論的に得られるアルミニウムは,15.1 [kg] である。実際の電気分解では電流効率を考慮する必要があり,その値が 92 % であったとき,得られるアルミニウムは 13.9 [kg] となる。

ここで,アボガドロ定数は 6.02 × 1023 mol-1,アルミニウムの原子量は 27.0 とする。

ファラデー定数をアボガドロ定数で割ると,電子 1 個あたりに換算できる。

96 500 [C/mol] ÷ (6.02 × 1023 [mol-1]) = 1.6029 × 10-191.60 × 10-19 [C]

理論的に得られるアルミニウムの量は,次式で求められる。

3 000 [A] × 15 [h] × 3 600 [s/h] ÷ 96 500 [C/mol] ÷ 3 × 27.0 = 15 108 [g] ≈ 15.1 [kg]

実際の電気分解では電流効率 92 [%] を考慮する必要がある。

15.11 × 0.92 = 13.9012 ≈ 13.9 [kg]
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