サージ概論
サージとは
電力系統への雷撃,線路事故あるいは系統操作の瞬時に発生する電圧・電流の過渡現象をサージ現象という。サージ(surge)とは,分布定数線路における進行波の波動を意味し,電圧・電流の過渡現象がこの波動に起因することから上記の呼称が用いられる。
このサージ現象により線路あるいは機器に発生する過電圧をサージ過電圧(surge overvoltage)と呼ぶ。これらのうち,雷撃に起因するものを雷サージ(lightning surge)と呼び,発生過電圧は最大で継続時間は数 μs ~ 数十 μs 程度で最小である。また,遮断器の開閉操作に伴うサージを開閉サージ(switching surge),線路事故に起因するものを故障または事故サージ(fault surge)と呼び,継続時間は数 ms ~ 数十 ms である。これらのサージ過電圧は送電系統の絶縁レベル(insulation level:系統の電気的絶縁を行うための基準となる過電圧値)を決定する主たる要素である。
電力系統とは「電気の獲得・輸送・利用」を同時同量で行うために導電材と絶縁材で作り上げた巨大な器
長谷 良秀 著,「電力技術の実用理論 第 3 版」
本稿では,サージにより発生する各種過電圧,サージ過電圧解析を行う目的,電力系統の絶縁の歴史,絶縁協調,絶縁設計,試験電圧決定手順について概説する。
なお,日本では,電力系統に発生するサージ性過電圧のことを「サージ」と呼び,これを模擬して試験用に発生する電圧を「インパルス(impulse)」と呼んで区別している。
サージにより発生する各種過電圧
サージにより発生する過電圧(overvoltage)の代表的なものは,雷過電圧,開閉過電圧がある。それら過電圧の特徴を次表にまとめる。
各種過電圧 | 説明 | 波頭長 | 波尾長 |
---|---|---|---|
雷過電圧 | 直撃雷,逆フラッシオーバ,誘導雷によって,系統のある地点の相-大地間,あるいは相間に発生する過電圧 | 0.1 ~ 20 μs | 300 μs 未満 |
開閉過電圧 | 遮断器の開閉操作によって,系統のある地点の相-大地間,あるいは相間に発生する過電圧
|
20 ~ 5,000 μs | 20 ms 以下 |
断路器開閉過電圧 | ガス絶縁開閉装置用断路器の開閉時などに,同装置内あるいは外部のある地点の相-大地間,あるいは相間に発生する過電圧 | 0.1 μs 以下 | 3 ms 以下(持続時間) |
短時間過電圧(交流短時間過電圧) | 系統のある地点の相-大地間,あるいは相間に発生する持続時間が比較的長い過電圧(特に商用周波数の交流過電圧)
|
持続時間が比較的長い |
(参考)鉄塔フラッシオーバと鉄塔逆フラッシオーバ
送電系統への雷撃で,雷電圧が電力線に侵入する経路の代表的なものとして,鉄塔フラッシオーバ(flashover)と鉄塔逆フラッシオーバ(back flashover)がある。

鉄塔フラッシオーバ
架空地線の遮へいが失敗し,電力線が雷の直撃を受けて電位が上昇し,鉄塔にフラッシオーバする。
架空送電線路の雷害対策として,送電線への直撃雷を防止するために架空地線を設置することが有効である。架空地線の条数を増やせば,遮へい角は小さくなり,遮へい効率は向上する。
架空地線による雷遮へい
雷の直撃から保護するための遮へいの検討手法として,大別して 2 つのものがある。
- 電気幾何学的手法
- 遮へい装置の保護範囲を雷撃電流の大きさの関数として求める手法である。この手法では,電流値が小さい雷撃は遮へいされないと考える場合もある。電気幾何学的手法には,例えば,電気幾何学モデルや回転球体法がある。
- 幾何学的手法
- 遮へい装置(線またはマスト)による保護範囲を幾何学的に求める手法であり,保護範囲内にある対象物への雷撃をすべて遮へいすると考える。例えば,遮へい角の内側はすべて保護されるという手法(保護角法)や,吸引空間理論に基づいた手法がある。
鉄塔逆フラッシオーバ
架空地線や鉄塔に雷撃が生じると,雷撃電流は鉄塔を通して大地に流れる。これによって鉄塔の電位が上昇し,がいし連の絶縁耐力を超えると鉄塔から電力線に逆フラッシオーバが発生する。これを防止するためには,塔脚の接地抵抗を小さくする必要があり,棒状の接地電極を埋め込むが土壌の性質によっては埋設地線を設けたりする。
1995年,北陸電力が石川県で撮影した日本海沿岸の 500 kV 送電線への雷撃時の写真を示す。逆フラッシオーバが複数の相で発生しており,多線地絡事故となっている様子がわかる。
(出典)発見と発明のデジタル博物館
(参考)径間フラッシオーバ
架空地線と電線の電位差が,これらの間の絶縁耐力以上になると,架空地線から電線にフラッシオーバする。これを径間逆フラッシオーバという。
径間逆フラッシオーバは,架空地線と電線および電線相互の間隔が十分にとってあるのでほとんど発生していない。それゆえ,雷害事故はほとんど鉄塔逆フラッシオーバに起因しているといってよい。
(参考)波頭長と波尾長
ピーク値が $I$ のランプ波(直線上昇/直線下降波)の電流波形は下図のようになる。ランプ波においては,波頭長(front time)は 0 からピーク値 $I$ に達するまでの時間,波尾長(time to half-value)は 0 からピーク値 $I$ を超え,ピーク値の半分の値 $I/2$ になるまでの時間をいう。

(参考)IEC 規格での過電圧分類
「発生過電圧が個々の絶縁体の許容絶縁レベルを超えないように抑制する」か,あるいは「その過電圧から絶縁体を保護する」ことが必要である。これこそが絶縁に関する不可欠の基本である。そして個々の絶縁強度に最もかかわる要素は過電圧の「大きさ(magnitudes)」と「波形峻度(wave shapes, steepness of the voltage)」と「継続時間(time duration)」である。このような事業を踏まえて,IEC 規格では過電圧を次のように分類している。
分類 | 説明 |
---|---|
Maximum continuous (power frequency) overvoltage US(MCOV) | 系統が通常運転状況のもとで発生しうる商用周波数の過電圧(実効値 rms で表す) |
Temporary overvoltage (TOV) | 系統事故,開閉操作時,負荷遮断時,共振現象(鉄共振現象など),あるいはこれらの組合せで生ずる過電圧(実効値 rms で表す) |
Slow-front overvoltage | 雷撃あるいは開閉操作によって生ずる緩波頭の過電圧 |
Fast-front overvoltage | 雷撃あるいは開閉操作によって生ずる急峻波頭の過電圧 |
Very fast-front overvoltage | GIS の内部や開閉操作や地絡事故で生ずる極度に急峻波頭過電圧 |
(参考)外雷と内雷
電力系統外の要因(雷)による過電圧を外雷(または外部異常電圧),電力系統内の要因(開閉等)による過電圧を内雷(または内部異常電圧)とし,区別していたことがあった。
(参考)雷にまつわるジョーク
電力会社内では「雷と信頼は落ちないほうがいい」というジョークがある。
サージ過電圧解析を行う目的
サージ過電圧解析を行う目的は,電力系統の絶縁設計を行うためである。具体的には,電力系統の各部に発生する過電圧を解析により予測しておき,送電線や電力系統の各種機器を,その過電圧に耐えるように選定する。あるいは,避雷器等によりサージ過電圧を抑制することを検討する。
なぜ,解析を行ってまで,絶縁設計を行う必要があるか。絶縁強度(insulation strength)と費用の関係をイメージで表すと,次の図のようになる。絶縁強度を大きくすれば,建設費用は大となるが,雷過電圧や開閉過電圧による事故・障害は少なくなるため,運用費用は小となる。逆に絶縁強度を小さくすれば,建設費用は小となるが,事故・障害は増え,運用費用は大となる。絶縁強度と費用にはトレードオフの関係が成り立つため,合理的な設計が求められるのである。
また,発変電所の耐雷設計ガイドでは,「雷による発変電所の事故を可能な限り無くす」という目標を掲げている。可能な限りとしているのは,絶縁強度を上げれば上げるほど,建設コストが大となるため,一定程度の雷事故はやむを得ないという考え方である。

耐雷設計における費用便益分析
耐雷設計において,費用便益分析(cost-benefit analysis)は有効であると考えられる。
費用便益分析とは,公共事業や規制影響評価の分野で用いられる手法であり,一般送配電事業においても用いられている。ある活動(リスク低減活動,耐雷設計の分野では絶縁強度の強化)にかけるべき費用(cost)に対し,得られる便益(benefit,雷による発変電所の事故による損害)を比較することにより,対策の有効性・無効性を評価する方法である。
雷保護を扱う IEC 62305 シリーズの IEC 62305-2:2010 "Lightning Protection - Part. 2 : Risk Management" では,雷によるリスクについて確率論的に定量評価する手法を示しているだけでなく,費用便益分析の評価方法も提言されている。
雷リスクマネジメント
雷害対策の最適化を図るためには,雷事故そのものを根絶するというゼロリスクの考え方ではなく,公衆安全の担保を最重要課題としつつ,全体の稼働率ならびに設備利用率の向上や対策費および修理費の低減(費用便益比の最大化)などを統合したリスクマネジメントの問題として考える必要がある。
段階 | 検討内容 |
---|---|
雷ハザード評価 | 雷の発生頻度,雷撃エネルギーなどを考慮した雷の厳しさ(雷ハザード)の評価 |
雷リスク評価 | 与えられた雷ハザードに対する雷被害の大きさと発生頻度,各種雷対策による被害低減効果の評価 |
雷リスクマネジメント | 社会的インパクトも含めた被害の大きさと対策コストを総合的に勘案した最適な耐雷方策の決定 |
(用語解説)リスクマネジメント
リスクマネジメントとは,リスクを特定することから始まり,特定したリスクを分析して,発生頻度(発生確率,possibility)と影響度(ひどさ,severity)の観点から評価した後,発生頻度と影響度の積として求まるリスクレベルに応じて対策を講じる一連のプロセスをいう。また,リスクが実際に発生した際に,リスクによる被害を最小限に抑える活動を含む。
なお,日本産業規格 JIS Q 31000:2019『リスクマネジメント――指針』(原文は ISO 31000:2018)によると,「リスク」は次のように定義されている。
リスク(risk):目的に対する不確かさの影響
また,JIS Q 31000 で「リスクマネジメント」については次のように規定されている。
リスクマネジメント(risk management):リスクについて,組織を指揮統制するための調整された活動
リスクマネジメントの代表的な対応としては,リスク受容,リスク対応,リスク回避,リスク共有などがあり,JIS Q 0073:2010『リスクマネジメント――用語』では,それぞれ次のように定義されている。
- リスク受容(risk acceptance)
- ある特定のリスクを取るという情報に基づいた意思決定
- リスク対応(risk treatment)
- リスクを修正するプロセス
- リスク回避(risk avoidance)
- ある特定のリスクにさらされないため,ある活動に参画しない又はある活動から撤退するという,情報に基づいた意思決定
- リスク共有(risk sharing)
- 他者との間で,合意に基づいてリスクを分散することを含むリスク対応の形態
電力系統の絶縁の歴史
電力系統の絶縁設計を経験する前に,その歴史を振り返る。電力系統が誕生し,100 年以上が経過しているが,いくつかの失敗や絶縁に関するいくつかの技術革新を経て,今日の電力系統の絶縁の姿ができあがった。
愚者は経験に学び,賢者は歴史に学ぶ。
(初代ドイツ帝国宰相 オットー・ファン・ビスマルク)
上記は,原文をかなり意訳したもので,正確に訳すと次のような文章になる。
「愚かな者は自分の経験から学ぶと信じているばかりだ。私は最初から自分の過ちを避けるために,他人の経験から学ぶことを好む」
年代 | 歴史的事象 | 解説 |
---|---|---|
1882 年 | ニューヨークで配電事業開始 | 架空送電線はがいしで絶縁,架空地線により直撃雷を防ぎ,変電所引込口は,協調ギャップ(火花ギャップ)で保護する思想は,当時にも見られる。ただし,当時は遮断器はなく,一旦協調ギャップで放電が起こると,雷サージは大地に導くことができても,運転電圧により放電が継続したと考えられる。 |
1910 年代 | 避雷器の誕生 | 直列ギャップと特性要素(SiC)を有する避雷器が誕生した。特性要素により,初期の頃の課題であった,運転電圧による放電の継続(続流)を遮断できるようになった。 |
1920 年代 | 油遮断器の開発 | 消弧室が発明され,油遮断器(Oil Circuit Breaker : OCB)が誕生した。遮断器の誕生により,送電線で雷サージによる地絡事故が起こると,油遮断器により送電線を電源と切り離すことができるようになった。 |
1928 年 | 絶縁協調に関する論文発表 | 雷から送電線路を守るために,がいしを大形に,あるいは個数を増やしたがため,かえって変圧器や遮断器の事故が多発するという苦い経験から,電力系統各部の絶縁特性を適切に選んで,絶縁事故を最も少ない場所に限定するという考えが提唱された。 |
1930 年代 | 雷の性質の研究が進む | 雷撃電流波形を測定する陰極線オシログラムが登場したことにより,雷の性質が徐々に明らかとなった。 |
1940 年代 | 衝撃電圧試験標準規格制定 | 米国の事例を参考として,1944 年 10 月に衝撃電圧試験(雷インパルス耐電圧試験)標準規格 JEC-106-1944 制定され,絶縁階級と基準衝撃絶縁強度が規定された。1945 年 2 月には変圧器衝撃電圧試験規格 JEC-110-1945 制定。 |
1950 年代 | 275 kV 送電の開始 | 1952 年に275 kV 送電を開始したが,従来の知見による予想を上回る雷事故が発生するようになった。また,運転電圧の上昇により,開閉サージによる過電圧も問題となった。 |
1960 年代 | 開閉インパルス試験提唱 | 雷サージと商用周波の中間の時間領域である開閉サージに対して,がいし連や空気ギャップの絶縁耐力が極小になることから,左記試験が行われるようになった。 (参考)U 特性 波頭長が数十 ~ 数百 μs のときに,フラッシオーバ電圧が顕著に低下する。 |
1961 年 | 10 MV 超高圧衝撃電圧発生装置建設 | 電力中央研究所の塩原実験所に 10 MV の超高圧衝撃電圧発生装置(Extra High-voltage Impluse Generator)が建設。雷サージや電力系統により発生する開閉サージなど極めて高い電圧階級を模擬した試験研究が行われるようになった。 (参考)でんきの礎-振り返れば未来が見える-,「大容量短絡試験設備と超高圧衝撃電圧発生装置」 |
1970 年代 | 500 kV 送電の開始と酸化亜鉛形避雷器開発 | 1973 年に 500 kV 送電(東京電力 新古河変電所~房総変電所)が開始された。また,1975 年には,ギャップレスの酸化亜鉛形避雷器が使用されるようになった。 (参考)でんきの礎-振り返れば未来が見える-,「500 kV 系送電の実運用」「電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷器」 |
1981 年 | 12 MV 超高圧衝撃電圧発生装置建設 | 電力中央研究所の塩原実験所に 12 MV の超高圧衝撃電圧発生装置が建設。 |
1990 年代 | 送電用避雷装置の適用開始 | 1990年頃から,雷事故による停電を防止するため,送電用避雷装置の適用が始まり,順次,適用が進められている。 |
1994 年 | 試験電圧の合理化 その1 | 187 ~ 500 kV の有効接地系統の機器に対する試験電圧の合理化が測られた。このときに過電圧および機器の絶縁特性の把握,試験方法の検討が行われ,絶縁協調の基礎ができあがった。 |
1996 年 | 1 000 kV 級送電の実証実験開始 | 東京電力(現 東京電力パワーグリッド) 新榛名変電所において,1 000 kV 級送電(UHV : Ultra High Voltage)の実証試験が開始された。 (参考)でんきの礎-振り返れば未来が見える-,「100 万ボルト変電機器の開発と実証試験~新榛名変電所における実証試験を通じた変電技術と国際標準化への貢献~」 |
2010 年 | 試験電圧の合理化 その2 | 66 ~ 154 kV 系統の機器に対する低減された試験電圧が追加された。試験電圧の合理化にあたっては,雷インパルス波形評価法,短時間過電圧に対する試験電圧の考え方など,新しい知見をもとに検討されている。 |
避雷器の変遷
電力系統に雷サージや開閉サージなどの過電圧が発生すると,放電電流を流してこれを抑制し,その後に流れる商用周波数の電流(これを続流と呼ぶ)を速やかに遮断して,電力系統を通常の状態に復帰させる装置を避雷器(arresters)という。
電力系統の絶縁協調の要の機器である避雷器は,初期の火花ギャップから今日の酸化亜鉛形避雷器へ変遷してきた。なお,避雷器については雷過電圧から保護する機器ということで,Lightning Arrester(略称はLA)と呼ばれてきたが,開閉過電圧からも保護する機器ということで,Surge Arrester(略称はSA)と呼ぶようになった。
発変電所ではギャップレス避雷器を用いることが主流であるが,配電用や直流電気鉄道の電線路のがいし保護に用いられる避雷器では,万一 ZnO 素子が短絡状態になっても送電が可能なように,直列ギャップ付き避雷器も多く使用されている。

発変電所内においては,異常電圧を抑制するために避雷器を設置している。避雷器は,大きな異常電圧が加わった際に大地に電流を流して過電圧を抑制して発変電所内の効きを保護する保護機能,及び過電圧を除いた後は電流を抑制して元の状態に復帰する自復機能を有している。この過電圧が発生したときに避雷器に流れる電流を放電電流,過電圧が去った後に避雷器に流れる交流電流を続流,放電電流が流れているときに避雷器端子間に発生する電圧を制限電圧,過電圧に対して避雷器端子に生じる電圧の最大値を保護レベルと呼ぶ。
磁気吹消形直列ギャップ
運転電圧に対し,直列ギャップに並列に分路抵抗体を設けている。直列ギャップ部で耐電圧させ,サージが侵入してくると直列ギャップが放電し,特性要素を通じて続流が流れ,電流零点で直列ギャップが自復する。
下図に磁気吹消形避雷器直列ギャップユニットの原理図の一例を示す。サージ性過電圧には高周波成分が多く含まれているため,吹消コイルは高インピーダンスとして作用し,側路ギャップ $G_1$ と主ギャップ $G_2$ が放電する。続流(商用周波数)に対しては吹消コイルは低インピーダンスとして作用し,$G_1$ を短絡する。このため,$G_1$ のアークは消弧され,続流電流は吹消コイルだけに流れる。このコイルの作る磁界により主ギャップ $G_2$ の続流アークは駆動され,気中で冷却されてすみやかに消弧される。

特性要素
特性要素としては,従来は炭化けい素(SiC,カーボランダム)を焼成したものが用いられてきたが,1970 年代に,わが国で酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする優秀な非直線抵抗体が開発された。後者の場合には,常規運転電圧が加わったときに流れる電流がきわめて小さい(mA 以下)ので,直列ギャップを省略することが可能となった。現在では,このような直列ギャップなしの酸化亜鉛形避雷器が世界の避雷器の主流を占めるようになった。

酸化亜鉛型避雷器
高電圧系統で標準的に採用される酸化亜鉛型避雷器(metal oxide surge arrester)は酸化亜鉛抵抗円板素子(酸化亜鉛 ZnO 粉末粒子に若干の添加物を混ぜて円板状に成型して 800 ~ 1 200 度の高温で焼き固めたもの)による素晴らしい非直線 $v-i$ 特性と熱エネルギー処理能力を備えた避雷器である。
避雷器の高性能化
酸化亜鉛避雷器についても雷インパルス制限電圧を低くする高性能化が進んでおり,試験電圧の合理化にも寄与している。JEC-2371-2003「がいし形避雷器」と,JEC-217-1984「酸化亜鉛形避雷器」の雷インパルス制限電圧値は,高性能特性において 154 kV までは 15 % 低減,187 kV 以上では 30 % 低減されている。この制限電圧値は世界的に見ても遜色ないものであり,むしろ優れた特性を有している。
公称電圧 [kVrms] | 避雷器の定格電圧 [kV] | 雷インパルス制限電圧 [kV] (波高値) | |
---|---|---|---|
標準特性 | 高性能特性 | ||
66 | 84 | 269 | 229(14.9 % 低減) |
77 | 98 | 314 | 267(15.0 % 低減) |
154 | 196 | 627 | 533(15.0 % 低減) |
275 | 266 | 851 | 600(29.5 % 低減) |
500 | 420 | 1 220 | 870(28.7 % 低減) |
275 kV 避雷器(定格電圧 266 kV)の標準特性と高性能特性それぞれの制限電圧特性(V-I 特性)を下図に示す。標準特性の制限電圧特性(青線)よりも,高性能特性の制限電圧特性(赤線)は 30 % 低減されている。

避雷器の定格電圧
避雷器の定格電圧は,その電圧が加わった状態で定められた動作責務を行うことができる上限の保証値であるが,1 線地絡時の健全相対地電圧のように,商用周波数の短時間過電圧を対象としている。たとえば公称電圧 500 kV の系統に用いられる避雷器の定格電圧は 420 kV であり,常規運転電圧 550 kV / $\sqrt{3}$ の 1.32 倍である。
有効接地系統では,一線地絡事故時の健全相の電位上昇が非有効接地系統に比べて低く,これに合わせて変圧器等の絶縁レベルを下げることを特に低減絶縁(reduced insulation)と呼ぶ。この場合,避雷器の定格電圧も低くできる。一方,低減電圧に対して,絶縁レベルを下げない全絶縁(full insulation)がある。
避雷器以外の機器の定格電圧は,常規運転電圧を対象に線間電圧で表すことが多い。避雷器の場合は,直列ギャップの続流遮断能力に重きを置いて定格電圧を定め,これが直列ギャップのない酸化亜鉛形避雷器にも引き継がれているのである。
避雷器の公称放電電流
避雷器規格では,避雷器の保護性能を評価するために,8/20 μs の雷インパルス電流が公称放電電流として定められている。この電流が流れるときの避雷器の両端子間に発生する電圧を制限電圧といい,値はその避雷器が保護する機器や設備の耐電圧レベルよりも低くなければならない。
(参考)BILと絶縁階級
BIL(Basic Impluse Insulation Level)という用語や絶縁階級(insulation class)という用語は,JEC-0102-1994「試験電圧標準」以降使われておらず,すべて「試験電圧」に統一されている。
なお,我が国で最初に絶縁階級と基準衝撃絶縁強度を規定した JEC-106-1944では次のように定義し,下表を規定した。
絶縁階級
絶縁階級とは,電力用機器ならびにその他の工作物の絶縁強度の階級をいう。例えば,雷インパルス電圧 350 kV に耐え,かつ商用周波電圧 140 kV にも耐える絶縁強度を絶縁階級の 60 号と呼ぶ。
基準衝撃絶縁強度(BIL)
基準衝撃絶縁強度(BIL)とは,電力用機器ならびにその他の工作物の衝撃電圧に対する絶縁強度を指定する場合に基準となすべき値をいう。
ここに,米国で BIL を最初に定義した文献を引用する。
Basic insulation levels are reference levels expressed in impulse crest voltage with a standard wave not longer than a 1.5 × 40 μs wave.
Apparatus insulation as demonstrated by suitable tests shall be equal to or greater than the basic insulation levels.
絶縁階級は,全絶縁レベルの回路の公称電圧そのままの数値を号数とし,たとえば 140 kV 系統には,140 号の絶縁階級が用いられている。しかし,絶縁階級はあくまで系統の絶縁レベルを示す数値であって,回路の公称電圧と同じである必要はない。たとえば,公称電圧 250 kV の系統には,200 号の絶縁階級が採用されており,低絶縁階級と呼ばれている。BIL はそれぞれの絶縁階級に対して基準となる衝撃電圧に対する絶縁耐力をいい,変圧器の全波衝撃試験電圧はこれに一致している。
公称電圧 [kV] | 絶縁階級 [号] | 基準衝撃絶縁強度 [kV] |
---|---|---|
6 | 6 | 60 |
20 | 20 | 150 |
60 | 60 | 350 |
70 | 70 | 400 |
140 | 140 | 750 |
上表では,公称電圧と絶縁階級の号数が一致しており,公称電圧 $E$ と基準衝撃絶縁強度 BIL との間に,$E$ が 20 kV 以上では次のような関係があることがわかる。
\[ \text{BIL} = 5 E + 50 \text{ [kV]} \](参考)送電用避雷装置
雷事故による停電を防止するため,雷によるがいし連でのフラッシオーバを瞬時に遮断する装置および雷によるフラッシオーバが原因の系統続流を遮断する装置の総称である。
- 酸化亜鉛型避雷装置(Metal-oxide Surge Arrester with external gap)
- 酸化亜鉛型避雷アークホーン(Arcing Horn with Metal-oxide Surge Arrester)
- 続流遮断型アークホーン(Fault Current Interrupting Arcing Horns)
送電線雷撃によって直列ギャップがいったんは放電するが,そのとき送電線避雷装置の両端(すなわち,相導体 対 鉄塔 間)の電圧は非直線素子の $v$-$i$ 特性で決まる電圧が依然保持されているので,運転電圧の極性が変わる 1/2 サイクル以内に続流遮断が期待できる。その結果,第 1 の効果として「送電線がせん絡事故として保護リレーによる事故遮断を回避」することが期待できる。第 2 の効果として「電圧瞬時低下減少(事故点の近傍系統でせん絡時に遮断器トリップが完了するまでの数サイクルの間,電圧降下する)による負荷への影響をある程度防ぐ」ことを期待できる。
絶縁協調
絶縁協調に関する理論と規格は電力システムに関する "物理的な現象","実用的な理論と技術のプラクティス","経済性" 等のすべての知見を網羅して電気技術者が 1 世紀をかけて蓄積した英知の結晶
(『電力技術の実用理論 発電・送変電の基礎理論からパワーエレクトロニクス応用まで 第 3 版』,長谷 良秀)
電気学会 専門用語集によると,絶縁協調(Insulation co-ordination)は「系統各部の機器・設備の絶縁の強さに関して,技術上,系統上,ならびに運用上からみて,最も合理的な状態となるように協調を図ること」とされている。これは,絶縁協調の概念が1928 年に提唱されたときの思想「電力系統各部の絶縁特性を適切に選んで,絶縁事故を最も損害の少ない場所に限定する」と大きく変わるものではない。なお,1928 年に絶縁協調を提唱した二人の技術者の主張を記載しておく。
相間電圧の 2 倍の交流電圧で試験した変圧器は,対地電圧の約 10 倍の雷サージに耐えるので,変電所近くの線路の碍子個数をこの電圧と協調するように決めよう(1928 年,W. W. Lewis)
変圧器の機種によってインパルス電圧と交流電圧に対する絶縁耐力の比が異なるので,実際にインパルス電圧を印加して絶縁耐力を確認しよう(1928 年,P. Sporn)
一方,IEC 60071-1 Ed.8.1 (2011) - Insulation co-ordination - Part 1 Definitions, principles and rules によれば,「機器が使用される系統で発生する各種過電圧との関係において,使用環境や利用できる保護装置の特性をも考慮にいれて,機器の絶縁強度を選定すること」と定義されている。国内と海外の絶縁協調の趣旨は同じであり,協調を図るにあたっては,系統の運転電圧ならびに発生過電圧とそれに対する保護装置の諸特性を基礎に,幅広い条件が考慮される。
一例として,送電線路と変電所の絶縁協調を考える。送電線路の絶縁を強化した場合,変電所へ侵入する過電圧が大となり,変電機器の損壊確率は高くなる。一方,送電線路の絶縁を弱くした場合,送電線と送電鉄塔でフラッシオーバが生じ,送電鉄塔の塔脚より大地に雷電流の大部分が流れ,変電所へ侵入する過電圧は小となり,変電機器の損壊確率は低い。
変電機器でひとたび絶縁破壊が起こると,絶縁を回復するには,大規模な修理が必要となる。一方,送電線でフラッシオーバのような絶縁破壊が起きても,地絡電流を検出し,送電線の事故遮断を行えば,フラッシオーバはほとんどの場合,回復できる(自復性絶縁,self-restoring insulation)。フラッシオーバが回復した後,送電を再開すれば(再閉路),電力系統を元通りにできる。そのため,変電機器では「雷による変電所の事故を可能な限り無くす」という確定論的な絶縁設計手法,送電線路では「雷による送電線事故は一定程度許容する」という統計論的な絶縁設計手法が採用されている。
確定論的な絶縁設計手法
発生する過電圧の最大値を算出し,それにより設備の最低の絶縁強度が大きくなるように設計する手法
統計論的な絶縁設計手法
過電圧の発生確率を求め,設備の絶縁破壊確率と合わせた事故率が許容事故率以下になるように設備の絶縁を設計する手法
不平衡絶縁
わが国は,2 回線鉄塔が広く採用されているため,雷撃があると 2 回線同時事故に発展することが考えられる。そこで 2 回線の同時事故を避けるために,回線間にあらかじめ絶縁強度の差をつけておき,鉄塔に雷の直撃があっても低絶縁側でフラッシオーバさせ,高絶縁側ではフラッシオーバしないようにする不平衡絶縁方式が重要線路でとられている。これによると 2 回線同時事故率は減少するが,1 回線事故は両回線高絶縁設計の場合に比較して増加する傾向にある。この不平衡絶縁はホーンの間隔で決められる。
絶縁設計
絶縁協調を図るため,機器に加わる過電圧を予測し,その過電圧に耐えるように機器の絶縁強度を決定する。そして,その機器が絶縁強度を有しているか,検証するための試験電圧を選定し,耐電圧試験を実施する。
発変電所の耐雷設計ガイドにおいて,発変電所の耐雷設計を行うには,発変電所ごとに雷過電圧解析を行い,機器に必要な耐電圧を決定することが推奨されている。
No. | 項目 | 詳細 |
---|---|---|
1 | 各種過電圧の予測 | 避雷器の適用条件,系統構成および運用条件を考慮して,系統に生じる雷過電圧,開閉過電圧,短時間過電圧など各種過電圧を予測 |
2 | 機器の絶縁強度の決定 | 予測された過電圧に対して,合理的な範囲で機器がこれらの電圧に耐えるように機器の絶縁特性を考慮して,機器に必要な絶縁強度を決定 |
3 | 試験電圧の選定 | この電圧で試験しておけば期待する耐用年数の間,ある確率をもって機器の絶縁は保たれるという電圧(所要耐電圧)が,電圧波形毎(商用周波,開閉インパルス,雷インパルスの 3 種類)が決定 |
所要耐電圧を検証するために標準化された一連の電圧値が,耐電圧試験に用いる試験電圧値であり,JEC-0102-2010「試験電圧標準」にまとめられている。
なお,3 種類の電圧波形すべてに対して試験を行うことは必ずしも必要ではない。すなわち,波形 A に対する所要耐電圧が波形 B の試験電圧の印加によって検証されるならば,波形 A による試験を省略することも可能である。
JEC-0102-1994 で改定された内容
JEC-193(1974 年)が JEC-0102(1994 年)に改定された。改定内容の主なものは以下のとおり。
- 開閉インパルス試験を外した。雷インパルス試験と商用周波試験により,開閉インパルス耐電圧をも保証できると判断している。
- 公称電圧 187 ~ 500 kV に対応する雷インパルス耐電圧試験に,JEC-193 より低減した試験電圧を設け,選択できるようにした。海外諸国では従来から低減した試験電圧が広く実用されているので,国際的な試験電圧と盛業をとったという意味でもある。また,電圧階級も大幅に改定された。
- 187 ~ 500 kV に対する商用周波耐電圧(1 分間)試験を外し,長時間耐電圧試験に変えた。これは,(公称電圧)×(1.15/1.1)×(1.5/$\sqrt{3}$)を前後各 1 時間課電し,中間で 1 分間だけ,この 2/1.5 倍に上昇させ,コロナ発生が限度内であることを確かめる。
(参考)長時間商用周波耐電圧試験
商用周波の 1 分試験電圧値も,絶縁物の電圧時間曲線($V-t$ 曲線)の上で,雷インパルス電圧と協調をとって低く選ばれるので,運転電圧に対する長期寿命が,これで検証できるのかどうかが問題になった。
30 年というような長期寿命に対しては,短時間高い電圧を印加して,そのときは異常がなかったとしても,例えば微小な部分放電が生じていて,長い間に絶縁劣化が進む可能性は否定できない。事実,1 分間試験に合格した変圧器が故障を起こす実例もあり,もう少し低い電圧を長時間加えて,その間に部分放電を生じないことを確かめる方が信頼性は高い,そのような経緯で長時間耐電圧試験が導入された。

過電圧の抑制
標準的な発変電所からその構成が大きく異なる場合(例えば,各部回路長が非常に長い,あるいは短いなど)は,試験電圧標準で規定した耐電圧以外の値が必要になる場合も考えられる。しかしながら,同定格電圧において,異なる試験電圧値の機器を個別に開発するとコストがかかるため,避雷器の設置場所の変更,あるいは避雷器の追加によって過電圧を抑制することが一般的である。
雷インパルス電圧絶縁試験の標準波形
送電線に表れる雷電圧の波形は千差万別であるが,試験規格においては雷インパルス試験電圧の波形を一義的に統一する必要があり,この規定された波形を標準波形と称している。
わが国の標準波形について,極性は正,負とも波頭長は 1.2 μs,波尾長は 50 μs が採用されており,裕度として波頭長は ±30 %,波尾長は ±20 % が認められている。一般に,波形の表示は $\pm T_1/T_2$ [μs] ($T_1$:規約波頭長,$T_2$:規約波尾長)のように書かれる。したがって,標準波形の表示は ±1.2/50 μs となる。

50 % フラッシオーバ電圧
同一波形あるいは同一波高値のインパルス電圧を多数回印加した場合,フラッシオーバを発生する確率が 50 % となる電圧を 50 % フラッシオーバ電圧という。この値は実験的にフラッシオーバを発生させて昇降法あるいは補完法によって求められる。
フラッシオーバの発生する確率は,正規累積頻度分布曲線と仮定されることが多いので,この 50 % フラッシオーバ電圧とその標準偏差 σ が分かれば,一義的に決定されることになる。フラッシオーバが発生する電圧を数値として使われることが多い。
開閉インパルス電圧絶縁試験の標準波形
開閉インパルス電圧は,一般に超高圧以上の送電で問題になる。外部絶縁の場合に超高圧を考えると,その気中フラッシオーバ距離は数 m 程度になる。このような長ギャップのフラッシオーバは,波頭長 50 ~ 300 μs 程度のところで,最低のフラッシオーバ電圧値を示すことが知られており(下図参照),このような特性を U 特性または V 特性という。したがって,外部絶縁の試験では波頭長は上記の範囲で,波尾長はこれより十分長い波ということで,JEC-0202-1994では ±250/2 500 μs を標準波形として採用している。

試験電圧決定手順
試験電圧は,絶縁協調の検討結果として得られるものである。以下に JEC-0102-2010「試験電圧標準」の試験電圧の検討手順を示す。
1) 系統解析条件の設定
避雷器の適切な配置などにより過電圧の抑制を図る。
- 系統の運用条件
- 避雷器の保護特性
- 避雷器の配置
- 過酷条件
避雷器による発変電所機器のサージ保護に関する基本原理
変電所から送電線への接続部(引出し口)近傍に避雷器を設置すれば,その送電線から襲来したサージは避雷器の放電電圧(discharge voltage)に抑制されることになるので,そのときの最大衝撃電圧値(その避雷器の制限電圧)を超える絶縁耐力を有する変電設備は保護されることになる。
2) 過電圧レベルの決定(過電圧解析)
系統に生じる各種過電圧の大きさとその発生頻度を予測し,これを評価して過電圧種類ごとの最大値を設定する。
- 断路器開閉過電圧
- 雷過電圧
- 開閉過電圧
- 短時間過電圧
3) 絶縁性能に与える諸因子の影響評価
機器の絶縁性能に与える諸因子の影響を考慮する。
- $V-t$ 特性
- 繰返し電圧印加
- 温度
- 商用周波電圧-雷インパルス重畳
- 気象条件
4) 所要耐電圧の決定
各種過電圧最大値に対する機器の所要耐電圧を決める。
- 断路器開閉過電圧
- 雷過電圧
- 開閉過電圧
- 短時間過電圧
5) 試験電圧種類などの検討
すべての過電圧に対して試験を行う必要があるかどうかその必要性,試験実施の難易度,ならびに異なる波形の試験電圧間の等価性などを考慮に入れる。
- 換算係数による耐電圧試験の種類
- 試験条件
- 機器の耐久性を検証する試験法
- IEC との整合性
6) 試験電圧の決定
実施すべき試験電圧の種類を選択し,その試験電圧を選定する。
- 対地雷インパルス耐電圧試験
- 対地商用周波耐電圧試験(154 kV 以下は短時間,187 kV 以上は長時間商用周波耐電圧試験)
- 対地人工汚損商用周波電圧試験
公称電圧 [kV] | 試験電圧値 [kV] | ||
---|---|---|---|
雷インパルス耐電圧試験 | 短時間商用周波耐電圧試験(実効値) | 長時間商用周波耐電圧試験(実効値) | |
66 | 250 | 115 | - |
350 | 140 | ||
77 | 325 | 140 | - |
400 | 160 | ||
154 | 650 | 275 | - |
750 | 325 | ||
275 | 950 | - | 250 - 330 - 250 |
1 050 | |||
500 | 1 300 | - | 475 - 635 - 475 |
1 425 | |||
1 550 | |||
1 800 |
公称電圧 [kV] |
試験電圧値 [kV] | |
---|---|---|
雷インパルス耐電圧試験 | 商用周波耐電圧試験(実効値) | |
66 | 350 | 140 |
77 | 400 | 160 |
154 | 750 | 325 |
275 | 1 050 | 460 |
公称電圧 [kV] | 相間開閉インパルス耐電圧値 [kV] | |
---|---|---|
標準値 | 低減値 | |
66 | 400 | 350 |
77 | 450 | 400 |
154 | 850 | 800 |
275 | 1 050 | - |
500 | 1 550 | - |
公称電圧 [kV] | 相間雷インパルス耐電圧値 [kV] | |
---|---|---|
標準値 | 低減値 | |
66 | 450 | ※ |
77 | 550 | |
154 | 1 050 | |
275 | 1 300 | - |
500 | 2 100 | - |
(参考)各種試験電圧値の略称
- 商用周波試験電圧値 PFWV (Power Frequency Withstand Voltage)
- 開閉インパルス耐電圧値 SIWV (Switching Impulse Withstand Voltage)
- 雷インパルス試験電圧値 LIWV (Lightning Impulse Withstand Voltage)
本稿の参考文献
- 河野 照弥 著,「系統絶縁論」,コロナ社,1984 年
- 有働 龍夫 著,「電力系統絶縁工学 - サージと事故防止 -」,オーム社,1999 年
- 雨谷 昭弘 著,「分布定数回路論」,コロナ社,1990 年
- 河村 達雄,河野 照哉,柳父 悟 著,「高電圧工学[3 版改訂]」,電気学会,2003 年
- 道上 勉 著,「送配電工学[改訂版]」,電気学会,2011 年
- 林 泉 著,「電力系統」,昭晃堂,1976 年
- 長谷 良秀 著,「電力技術の実用理論 発電・送変電の基礎理論からパワーエレクトロニクス応用まで 第 3 版」,丸善出版,2015 年
- 雷リスク調査研究委員会 発変電雷リスク分科会,「発変電所及び地中送電線の耐雷設計ガイド」,電力中央研究所 総合報告 H06,2012 年 9 月
- 新藤 孝敏,須田 知孝,「雷リスクマネージメントの基本的考え方」,電力中央研究所 研究報告 H06008,2007 年 8 月
- 雷リスク調査研究委員会 送電雷リスク分科会,「送電用避雷装置適用ガイド」,電力中央研究所 総合報告 H07,2012 年 9 月
- 非有効接地系統および UHV 系統の絶縁協調技術協同研究委員会 編,「非有効接地系統および UHV 系統の試験電圧の考え方 - JEC-0102-2010 技術解説 -」,電気学会技術報告,No. 1258(2012 年 8 月)
- IEC 62305-2:2010 "Lightning Protection - Part. 2 : Risk Management"
- JIS Q 31000:2019『リスクマネジメント――指針』
- JIS Q 0073:2010『リスクマネジメント――用語』
- でんきの礎-振り返れば未来が見える- One Step on Electro-Technology - Look Back to the Future -