電気通信事業法

2019年5月7日作成,2021年12月15日更新

電気通信事業法

電子政府の総合窓口 e-Gov 電気通信事業法
  1. 法の目的,用語の定義等の基本的事項(第 1 章 総則)
  2. 電気通信事業者に求められる基本原則等に関する事項(第 2 章 第 1 節 総則)
  3. 電気通信事業者の参入規律に関する事項(第 2 章 第 2 節 事業の登録等)
  4. 電気通信事業者の業務規律に関する事項(第 2 章 第 3 節 業務)
  5. 電気通信事業者が事業の用に供する電気通信設備の技術基準に関する事項(第 2 章 第 4 節 第 1 款 電気通信事業の用に供する電気通信設備)
  6. 利用者が設置する端末設備及び自営電気通信設備の接続の技術基準に関する事項(第 2 章 第 4 節 第 2 款 端末設備の接続等)
  7. 土地等の使用に係る公共事業特権の認定制度,手続等に関する事項(第 3 章 土地の使用等)
  8. 報告徴収及び立入検査に関する事項(第 5 章 雑則)
  9. その他の事項

法の目的,用語の定義等の基本的事項(第 1 章 総則)

第一条 目的

この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。

第二条 定義

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  1. 電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。
  2. 電気通信設備 電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。
  3. 電気通信役務 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう。
  4. 電気通信事業 電気通信役務他人の需要に応ずるために提供する事業(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第百十八条第一項に規定する放送局設備供給役務に係る事業を除く。)をいう。
  5. 電気通信事業者 電気通信事業を営むことについて、第九条の登録を受けた者及び第十六条第一項の規定による届出をした者をいう。
  6. 電気通信業務 電気通信事業者の行う電気通信役務の提供の業務をいう。

第三条 検閲の禁止

電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。

第四条 秘密の保護

電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。

2 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。

第五条 電気通信事業に関する条約

電気通信事業に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。

電気通信事業者に求められる基本原則等に関する事項(第 2 章 第 1 節 総則)

第六条 利用の公平

電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない。

第七条 基礎的電気通信役務の提供

基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。

第八条 重要通信の確保

電気通信事業者は、天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるときは、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であつて総務省令で定めるものについても、同様とする。

2 前項の場合において、電気通信事業者は、必要があるときは、総務省令で定める基準に従い、電気通信業務の一部を停止することができる。

3 電気通信事業者は、第一項に規定する通信(以下「重要通信」という。)の円滑な実施を他の電気通信事業者と相互に連携を図りつつ確保するため、他の電気通信事業者と電気通信設備を相互に接続する場合には、総務省令で定めるところにより、重要通信の優先的な取扱いについて取り決めることその他の必要な措置を講じなければならない。

電気通信事業者の参入規律に関する事項(第 2 章 第 2 節 事業の登録等)

第九条 電気通信事業の登録

電気通信事業を営もうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。

  1. その者の設置する電気通信回線設備(送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備をいう。以下同じ。)の規模及び当該電気通信回線設備を設置する区域の範囲が総務省令で定める基準を超えない場合
  2. その者の設置する電気通信回線設備が電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第七条第二項第六号に規定する基幹放送に加えて基幹放送以外の無線通信の送信をする無線局の無線設備である場合(前号に掲げる場合を除く。)

第十条

前条の登録を受けようとする者は、総務省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を総務大臣に提出しなければならない。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
  2. 業務区域
  3. 電気通信設備の概要

2 前項の申請書には、第十二条第一項第一号から第三号までに該当しないことを誓約する書面その他総務省令で定める書類を添付しなければならない。

第十四条 登録の取消し

総務大臣は、第九条の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、同条の登録を取り消すことができる。

  1. 当該第九条の登録を受けた者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき。
  2. 不正の手段により第九条の登録、第十二条の二第一項の登録の更新又は前条第一項の変更登録を受けたとき。
  3. 第十二条第一項第一号又は第三号に該当するに至つたとき。

第十二条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

第十六条 電気通信事業の届出(抜粋)

電気通信事業を営もうとする者(第九条の登録を受けるべき者を除く。)は、総務省令で定めるところにより、次の事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
  2. 業務区域
  3. 電気通信設備の概要(第四十四条第一項の事業用電気通信設備を設置する場合に限る。)

第十八条 事業の休止及び廃止並びに法人の解散

電気通信事業者は、電気通信事業の全部又は一部を休止し、又は廃止したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

2 電気通信事業者たる法人が合併以外の事由により解散したときは、その清算人(解散が破産手続開始の決定による場合にあつては、破産管財人)は、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

3 電気通信事業者は、電気通信事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該休止又は廃止しようとする電気通信事業の利用者に対し、その旨を周知させなければならない。ただし、利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ないものとして総務省令で定める電気通信事業の休止又は廃止については、この限りでない。

第十九条 基礎的電気通信役務の契約約款

基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その提供する基礎的電気通信役務に関する料金その他の提供条件(第五十二条第一項又は第七十条第一項第一号の規定により認可を受けるべき技術的条件に係る事項及び総務省令で定める事項を除く。)について契約約款を定め、総務省令で定めるところにより、その実施前に、総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 総務大臣は、前項の規定により届け出た契約約款が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、基礎的電気通信役務を提供する当該電気通信事業者に対し、相当の期限を定め、当該契約約款を変更すべきことを命ずることができる。

  1. 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていないとき。
  2. 電気通信事業者及びその利用者の責任に関する事項並びに電気通信設備の設置の工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていないとき。
  3. 電気通信回線設備の使用の態様を不当に制限するものであるとき。
  4. 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。
  5. 重要通信に関する事項について適切に配慮されているものでないとき。
  6. 他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害するものであるとき。

3 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、第一項の規定により契約約款で定めるべき料金その他の提供条件については、同項の規定により届け出た契約約款によらなければ当該基礎的電気通信役務を提供してはならない。ただし、次項の規定により契約約款に定める当該基礎的電気通信役務の料金を減免する場合は、この限りでない。

4 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、総務省令で定める基準に従い、第一項の規定により届け出た契約約款に定める当該基礎的電気通信役務の料金を減免することができる。

電気通信事業者の業務規律に関する事項(第 2 章 第 3 節 業務)

第二十二条 通信量等の記録

特定電気通信役務を提供する電気通信事業者は、総務省令で定める方法により、その提供する特定電気通信役務の通信量、回線数等を記録しておかなければならない。

第二十五条 提供義務

基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域における基礎的電気通信役務の提供を拒んではならない。

2 指定電気通信役務を提供する電気通信事業者は、当該指定電気通信役務の提供の相手方と料金その他の提供条件について別段の合意がある場合を除き、正当な理由がなければ、その業務区域における保障契約約款に定める料金その他の提供条件による当該指定電気通信役務の提供を拒んではならない。

第二十八条 業務の停止等の報告

電気通信事業者は、第八条第二項の規定により電気通信業務の一部を停止したとき、又は電気通信業務に関し通信の秘密の漏えいその他総務省令で定める重大な事故が生じたときは、その旨をその理由又は原因とともに、遅滞なく、総務大臣に報告しなければならない。

第二十九条 業務の改善命令

総務大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

  1. 電気通信事業者の業務の方法に関し通信の秘密の確保に支障があるとき。
  2. 電気通信事業者が特定の者に対し不当な差別的取扱いを行つているとき。
  3. 電気通信事業者が重要通信に関する事項について適切に配慮していないとき。
  4. 電気通信事業者が提供する電気通信役務(基礎的電気通信役務又は指定電気通信役務(保障契約約款に定める料金その他の提供条件により提供されるものに限る。)を除く。次号から第七号までにおいて同じ。)に関する料金についてその額の算出方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき。
  5. 電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する料金その他の提供条件が他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害しているとき。
  6. 電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する提供条件(料金を除く。次号において同じ。)において、電気通信事業者及びその利用者の責任に関する事項並びに電気通信設備の設置の工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき。
  7. 電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する提供条件が電気通信回線設備の使用の態様を不当に制限するものであるとき。
  8. 事故により電気通信役務の提供に支障が生じている場合に電気通信事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置を速やかに行わないとき。
  9. 電気通信事業者が国際電気通信事業に関する条約その他の国際約束により課された義務を誠実に履行していないため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
  10. 電気通信事業者が電気通信設備の接続、共用又は卸電気通信役務(電気通信事業者の電気通信事業の用に供する電気通信役務をいう。以下同じ。)の提供について特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いを行いその他これらの業務に関し不当な運営を行つていることにより他の電気通信事業者の業務の適正な実施に支障が生じているため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
  11. 電気通信回線設備を設置することなく電気通信役務を提供する電気通信事業の経営によりこれと電気通信役務に係る需要を共通とする電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する電気通信事業の当該需要に係る電気通信回線設備の保持が経営上困難となるため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
  12. 前各号に掲げるもののほか、電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。

2 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める者に対し、利用者の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

  1. 電気通信事業者又は媒介等業務受託者が第二十六条第一項又は第二十七条の二の規定に違反したとき 当該電気通信事業者又は媒介等業務受託者
  2. 電気通信事業者が第二十六条の二第一項、第二十七条又は第二十七条の三の規定に違反したとき 当該電気通信事業者

第三十二条 電気通信回線設備との接続

電気通信事業者は、他の電気通信事業者から当該他の電気通信事業者の電気通信設備をその設置する電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、次に掲げる場合を除き、これに応じなければならない。

  1. 電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき。
  2. 当該接続が当該電気通信事業者の利益を不当に害するおそれがあるとき。
  3. 前二号に掲げる場合のほか、総務省令で定める正当な理由があるとき。

電気通信事業者が事業の用に供する電気通信設備の技術基準に関する事項(第 2 章 第 4 節 第 1 款 電気通信事業の用に供する電気通信設備)

第四十一条 電気通信設備の維持(抜粋)

電気通信回線設備を設置する電気通信事業者は、その電気通信事業の用に供する電気通信設備(専らドメイン名電気通信役務を提供する電気通信事業の用に供するもの及びその損壊又は故障等による利用者の利益に及ぼす影響が軽微なものとして総務省令で定めるものを除く。)を総務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

2 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業の用に供する電気通信設備(前項に規定する電気通信設備及び専らドメイン名電気通信役務を提供する電気通信事業の用に供する電気通信設備を除く。)を総務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

3 総務大臣は、総務省令で定めるところにより、電気通信役務(基礎的電気通信役務及びドメイン名電気通信役務を除く。)のうち、内容、利用者の範囲等からみて利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定める電気通信役務を提供する電気通信事業者を、その電気通信事業の用に供する電気通信設備を適正に管理すべき電気通信事業者として指定することができる。

4 前項の規定により指定された電気通信事業者は、同項の総務省令で定める電気通信役務を提供する電気通信事業の用に供する電気通信設備(第一項に規定する電気通信設備を除く。)を総務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

5 第一項、第二項及び前項の技術基準は、これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。

  1. 電気通信設備の損壊又は故障により、電気通信役務の提供に著しい支障を及ぼさないようにすること。
  2. 電気通信役務の品質が適正であるようにすること。
  3. 通信の秘密が侵されないようにすること。
  4. 利用者又は他の電気通信事業者の接続する電気通信設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないようにすること。
  5. 他の電気通信事業者の接続する電気通信設備との責任の分界が明確であるようにすること。

第四十二条 電気通信事業者による電気通信設備の自己確認(抜粋)

電気通信回線設備を設置する電気通信事業者は、第四十一条第一項に規定する電気通信設備の使用を開始しようとするときは、当該電気通信設備(総務省令で定めるものを除く。)が、同項の総務省令で定める技術基準に適合することについて、総務省令で定めるところにより、自ら確認しなければならない。

2 電気通信回線設備を設置する電気通信事業者は、第十条第一項第三号又は第十六条第一項第三号の事項を変更しようとするときは、当該変更後の第四十一条第一項に規定する電気通信設備(前項の総務省令で定めるものを除く。)が、同条第一項の総務省令で定める技術基準に適合することについて、総務省令で定めるところにより、自ら確認しなければならない。

3 電気通信回線設備を設置する電気通信事業者は、第一項又は前項の規定により確認した場合には、当該各項に規定する電気通信設備の使用の開始前に、総務省令で定めるところにより、その結果を総務大臣に届け出なければならない。

第四十三条 技術基準適合命令(抜粋)

総務大臣は、第四十一条第一項に規定する電気通信設備が同項の総務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、当該電気通信設備を設置する電気通信事業者に対し、その技術基準に適合するように当該設備を修理し、若しくは改造することを命じ、又はその使用を制限することができる。

第四十四条 管理規程(抜粋)

電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、第四十一条第一項、第二項若しくは第四項又は第四十一条の二に規定する電気通信設備(以下「事業用電気通信設備」という。)の管理規程を定め、電気通信事業の開始前に、総務大臣に届け出なければならない。

2 管理規程は、電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するために電気通信事業者が遵守すべき次に掲げる事項に関し、総務省令で定めるところにより、必要な内容を定めたものでなければならない。

  1. 電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の方針に関する事項
  2. 電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の体制に関する事項
  3. 電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の方法に関する事項
  4. 第四十四条の三第一項に規定する電気通信設備統括管理者の選任に関する事項

3 電気通信事業者は、管理規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を総務大臣に届け出なければならない。

第四十四条の三 電気通信設備統括管理者

電気通信事業者は、第四十四条第二項第一号から第三号までに掲げる事項に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、電気通信設備の管理に関する一定の実務の経験その他の総務省令で定める要件を備える者のうちから、総務省令で定めるところにより、電気通信設備統括管理者を選任しなければならない。

2 電気通信事業者は、電気通信設備統括管理者を選任し、又は解任したときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

3 第四十一条第三項の規定により新たに指定をされた電気通信事業者がその指定の日以後最初に第一項の規定によりすべき選任は、その指定の日から三月以内にしなければならない。

第四十四条の四 電気通信設備統括管理者等の義務

電気通信設備統括管理者は、誠実にその職務を行わなければならない。

2 電気通信事業者は、電気通信役務の確実かつ安定的な提供の確保に関し、電気通信設備統括管理者のその職務を行う上での意見を尊重しなければならない。

第四十五条 電気通信主任技術者

電気通信事業者は、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関し総務省令で定める事項を監督させるため、総務省令で定めるところにより、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者のうちから、電気通信主任技術者を選任しなければならない。ただし、その事業用電気通信設備が小規模である場合その他の総務省令で定める場合は、この限りでない。

2 電気通信事業者は、前項の規定により電気通信主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

3 第四十一条第三項の規定により新たに指定をされた電気通信事業者がその指定の日以後最初に第一項の規定によりすべき選任は、その指定の日から三月以内にしなければならない。

第四十六条 電気通信主任技術者資格者証(抜粋)

電気通信主任技術者資格者証の種類は、伝送交換技術及び線路技術について総務省令で定める。

2 電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者が監督することができる電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項の範囲は、前項の電気通信主任技術者資格者証の種類に応じて総務省令で定める。

3 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、電気通信主任技術者資格者証を交付する。

  1. 電気通信主任技術者試験に合格した者
  2. 電気通信主任技術者資格者証の交付を受けようとする者の養成課程で、総務大臣が総務省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者
  3. 前二号に掲げる者と同等以上の専門的知識及び能力を有すると総務大臣が認定した者

第四十八条 電気通信主任技術者試験

電気通信主任技術者試験は、電気通信設備の工事、維持及び運用に関して必要な専門的知識及び能力について行う。

2 電気通信主任技術者試験は、電気通信主任技術者資格者証の種類ごとに、総務大臣が行う。

3 電気通信主任技術者試験の試験科目、受験手続その他電気通信主任技術者試験の実施細目は、総務省令で定める。

第四十九条 電気通信主任技術者等の義務

電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項の監督の職務を誠実に行わなければならない。

2 電気通信事業者は、電気通信主任技術者に対し、その職務の執行に必要な権限を与えなければならない。

3 電気通信事業者は、電気通信主任技術者のその職務を行う事業場における事業用電気通信設備の工事、維持又は運用に関する助言を尊重しなければならず、事業用電気通信設備の工事、維持又は運用に従事する者は、電気通信主任技術者がその職務を行うため必要であると認めてする指示に従わなければならない。

4 電気通信事業者は、総務省令で定める期間ごとに、電気通信主任技術者に、第八十五条の二第一項の規定により登録を受けた者(以下「登録講習機関」という。)が行う事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項の監督に関する講習(次節第二款、第百七十四条第一項第四号及び別表第一において「講習」という。)を受けさせなければならない。

利用者が設置する端末設備及び自営電気通信設備の接続の技術基準に関する事項(第 2 章 第 4 節 第 2 款 端末設備の接続等)

第五十二条 端末設備の接続の技術基準(抜粋)

電気通信事業者は、利用者から端末設備その電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、その接続が総務省令で定める技術基準に適合しない場合その他総務省令で定める場合を除き、その請求を拒むことができない

2 前項の総務省令で定める技術基準は、これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。

  1. 電気通信回線設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないようにすること。
  2. 電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすること
  3. 電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用者の接続する端末設備との責任の分界が明確であるようにすること

第七十条 自営電気通信設備の接続

電気通信事業者は、電気通信回線設備を設置する電気通信事業者以外の者からその電気通信設備(端末設備以外のものに限る。以下「自営電気通信設備」という。)をその電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、次に掲げる場合を除き、その請求を拒むことができない。

  1. その自営電気通信設備の接続が、総務省令で定める技術基準(当該電気通信事業者又は当該電気通信事業者とその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者であつて総務省令で定めるものが総務大臣の認可を受けて定める技術的条件を含む。次項において同じ。)に適合しないとき。
  2. その自営電気通信設備を接続することにより当該電気通信事業者の電気通信回線設備の保持が経営上困難となることについて当該電気通信事業者が総務大臣の認定を受けたとき。

土地等の使用に係る公共事業特権の認定制度,手続等に関する事項(第 3 章 土地の使用等)

第百二十八条 土地等の使用権(抜粋)

認定電気通信事業者は、認定電気通信事業の用に供する線路及び空中線並びにこれらの附属設備(以下この節において「線路」と総称する。)を設置するため他人の土地及びこれに定着する建物その他の工作物(以下「土地等」という。)を利用することが必要かつ適当であるときは、総務大臣の認可を受けて、その土地等の所有者に対し、その土地等を使用する権利(以下「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。第三項の存続期間が満了した後において、その期間を延長して使用しようとするときも、同様とする。

2 前項の認可は、認定電気通信事業者がその土地等の利用を著しく妨げない限度において使用する場合にすることができる。ただし、他の法律によつて土地等を収用し、又は使用することができる事業の用に供されている土地等にあつてはその事業のための土地等の利用を妨げない限度において利用する場合に限り、建物その他の工作物にあつては線路を支持するために利用する場合に限る。

3 第一項の使用権の存続期間は、十五年(地下ケーブルその他の地下工作物又は鉄鋼若しくはコンクリート造の地上工作物の設置を目的とするものにあつては、五十年)とする。ただし、同項の協議又は第百三十二条第二項若しくは第三項の裁定においてこれより短い期間を定めたときは、この限りでない。

報告徴収及び立入検査に関する事項(第 5 章 雑則)

第百六十六条 報告及び検査

総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、電気通信事業者若しくは媒介等業務受託者に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、電気通信事業者若しくは媒介等業務受託者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、電気通信設備(電気通信事業者の事業場に立ち入る場合に限る。)、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録認定機関による技術基準適合認定を受けた者に対し、当該技術基準適合認定に係る端末機器に関し報告をさせ、又はその職員に、当該技術基準適合認定を受けた者の事業所に立ち入り、当該端末機器その他の物件を検査させることができる。

電気通信事業法 見直し検討

通信サービスの多様化と,データの重要性が増す中で,電気通信事業法の大幅な見直しが検討されている。これまでの「設備」を中心とした法律から,「利用者」保護の法律に大きく舵を切ろうというものだ。検討中の主な見直し方針は,以下のとおり。

  1. 「電気通信役務利用者情報」を創設し,通信の秘密にあたる情報のほか,クッキーなどのオンライン識別子に紐づけられた閲覧履歴や位置情報などを保護対象と位置づける
  2. ウェブサイト運営者などに利用者情報の外部送信について利用者本人の同意取得または通知・公表を義務化
  3. 電気通信事業者に対し,利用者情報を適正に取り扱うための安全管理措置や委託先の監督などの義務(情報規律)を課す。利用者が一定数を超える事業者は,外国に利用者情報を保管する場合は所在国を明記するなどの追加義務あり
  4. 一定条件を満たす SNS 事業者と検索事業者を電気通信事業者に加える
  5. クラウド事業者が電気通信事業者にコアなネットワーク制御機能を提供する場合に限り,電気通信事業者に加え,事故報告義務などを課す

参考

  • 2021年12月15日,読売新聞 朝刊,「電気通信事業法 見直し検討」
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