線路設備及び設備管理 対策ノート「設備管理の概要」

2019年6月3日作成,2022年3月5日更新

設備管理の概要

設備管理(Plant Management)とは,通信設備の日常の運転・定期点検・補修などを行い,機能維持を行うことである。近年,省エネルギー,ライフサイクルコストの削減,設備寿命の長期化,省力化など,設備管理の目的が多様化,複雑化している。

(参考)電気事業における通信設備の管理

電力系統の拡大および業務効率化のための OA 回線の増大に伴い,通信回線数は飛躍的に増加してきた。また,回線数の増加と共に伝送する情報も,電話などの音声回線からコンピュータ間通信などのデータ回線へと比重が移ってきた。このような通信回線の増加や多様化により,従来の人手による回線管理や回線計画業務などが限界となってきたことから,通信運用監視システムなどを利用した業務の機械化などを行っている。

目標値管理

サービス管理値

ネットワークのサービス品質は,接続品質,安定品質,伝送品質の要素からなる。

接続品質

設備が正常に動作し,またトラヒックが異常でない状態において,利用者が起呼してから正規の取扱いによって,被呼者に接続されるまでの過程に関するサービスの良好さの度合い

安定品質

情報伝達手段としての電話サービスでは,災害時の設備故障や異常なトラヒックが発生した場合でも,安定したサービスが提供されるためには,ネットワークの構成要素である交換機,伝送路等の各設備の信頼度を確保する必要がある。正常なサービスを維持できる度合い

伝送品質

電話機,交換機を含む,伝送路の良さを表したもので,「よく聞こえる度合い」を定量的に表した「通話品質」の一つである

設備管理値

設備管理とは,設備の計画,設計,製作,調達から運用,保全を経て廃却・再利用に至るまで,設備を効率的に活用するための管理のことで,その目的は,通信設備の品質を良好な水準に維持するために合理的に保守を行うことである。設備品質は時間の経過とともに変化していくもので,そのまま放置しておけばやがって一定の限度を超え,サービスの低下を来すとともにその回復には非常に大きな努力を要することになる。したがって,サービスを良好に維持するためには,サービスを構成する設備の安定化を図ることが必要である。

このため,一定の限度を超える異常な設備(群)を把握し,改善を行うための指標として「設備管理値」を定め,これにより設備の安定化を適切,かつ,効率的に行うこととしている。つまり,サービス管理が顧客の側に立った通信システムとしての総合的な管理であることに対し,設備管理は設備(群)に対する品質管理を行うものであり,設備別に管理値を定めている。

設備記録

設備データベース管理

通信設備の諸元・経歴・故障履歴を,汎用コンピュータなどを利用してデータベース化し,今まで設備台帳などをもとに時間をかけて調査していた業務の効率化が図られている。

運転管理機能

オンライン情報として収集される運転実績の時系列計測値・イベント情報から対象機器の劣化に影響を与える負荷や稼働時間・稼働回数などの稼働情報と,各機器の劣化状態を監視するセンサからの情報を収集・蓄積する。計測値のしきい値監視や故障のイベント情報を監視して,異常検知時は保全管理システムへ作業指示として情報を連携する。

保全管理機能

設備台帳(設置年,メーカ情報,保守連絡先,消耗品リストなど)を基にした点検計画・実績,故障履歴・対応記録,交換部品の在庫状況,保守作業などのオフライン保全情報を管理する。分析管理機能でデータ利活用するため,例えば,日常点検時のメータ読み取りデータをトレンド表示することも可能である。

分析管理機能

時系列計測値・アラーム実績・稼働時間・稼働回数などの稼働情報と設備計画・点検実績・故障実績などの保全情報を統合し,BI ツール(ビジネスインテリジェンスツール)を使用して俯瞰,相関,傾向・差異を見ることで分析する。

月次点検・年次点検・故障実績・稼働監視情報・劣化監視情報等を健全性指標として見える化する方式を採用することで,更新時期判断の課題対応,保全の効果を定量的に把握が可能となる。

不良施設管理

不良設備の管理には不良施設限界による管理と不良部品限界による管理がある。

不良施設限界による管理

設備の的確な管理を実施するために,施設の機能の良否の限界を個々の施設別に定めたもので,障害統計や定期試験,あるいは巡回点検等の結果と比較して不良施設を抽出するものである。

不良部品限界による管理

不良部品限界は一般保守部品の定期取替えを実施するために定めた尺度であって,定期試験等では品質の良否の判定が難しいもの,並びに耐用年数が短く一定の年限を経たら取替えを行うことが好ましいもの等を対象として設定している。

信頼性理論

信頼性,保全性及び安全性の分野に用いるディペンダビリティに関する主な用語及び定義について規定した「JIS Z 8115 : 2019 ディペンダビリティ(総合信頼性)用語」"Glossary of terms used in dependability" 等を参考としている。

信頼度(reliability)

信頼度(reliability)とは,与えられた条件の下で,時間区間 $(t_1 , t_2)$ にして,要求どおりに機能を遂行できる確率のことである。アイテムの信頼度 $R(t)$ は時間 $t$ の関数であり,$R(0) = 1$,$R(\infty) = 0$ となる性質を持っている。通常は Reliability の頭文字である $R$ という記号が用いられる。

$R$ = 動作可能アイテム数 / 総アイテム数

修理系で故障率が一定とみなせて確率的に故障が発生する環境下では,その発生の分布は指数分布に従うので,$R = e^{-\lambda t}$ として扱われる。

例として,故障率 $\lambda$ を 0.01 〜 0.04 としたとき,システムの稼働開始後 $t$ [時間] の信頼度を下図に示す。故障率が大きい方が,システムの稼働開始後の信頼度の低下速度が大きい。

システムの稼働開始後 t [時間] の信頼度
図 システムの稼働開始後 t [時間] の信頼度

不信頼度(unreliability)

不信頼度(unreliability)とは,装置・システムが故障状態となっている確率のことである。通常は Fault の頭文字である $F$ という記号が用いられる。信頼度 $R$ と不信頼度 $F$ には,次式が成立する。

$F = 1 - R$

例として,故障率 $\lambda$ を 0.01 〜 0.04 としたとき,システムの稼働開始後 $t$ [時間] の不信頼度を下図に示す。故障率が大きい方が,システムの稼働開始後の不信頼度の増加速度が大きい。

システムの稼働開始後 t [時間] の不信頼度
図 システムの稼働開始後 t [時間] の不信頼度

信頼性モデルの計算方法

直列系

$n$ 個の直列接続したアイテムにおいて,それぞれの信頼度を $R_i$(ただし,$i = 1,2,...,n$)とすれば,直列系全体の信頼度 $R$ は,次式で求められる。

$\displaystyle R = R_1 \times R_2 \times ... \times R_n$
直列系全体の信頼度
図 直列系全体の信頼度

並列系

$n$ 個の並列接続したアイテムにおいて,1 個でも稼働中であれば系の機能を満足するとした場合,それぞれの不信頼度 $F_i$(ただし,$i = 1,2,...,n$)とすれば,並列系全体の不信頼度 $F$ は,次式で求められる。

$\displaystyle F = F_1 \times F_2 \times ... \times F_n$
並列系全体の信頼度
図 並列系全体の信頼度

保全度(maintainability)

規定の条件下で,規定の手順及び資源を用いて行われる,時刻 $t$ = 0 で始まるアイテムに対する保全作業が,規定の時間間隔 $(t_1 , t_2)$ 内に終了する確率。

修理系のみに適用される測度で,Maintenance の頭文字である $M$ で表される。

$M$ = 総保全完了数 / 総保全件数

一方,修理の進行度合いが一定であると仮定した場合,修復率 $\mu$ を用い,保全度関数として表すこともできる。

$M = 1 - e^{-\mu t}$

修復率

修理作業を行っている際に,単位時間内に修理が完了する割合。保全度の記号 $M$ に相当するギリシア文字である $\mu$ で表される。

$\mu$ = 総保全件数 / 総保全時間

修復率が一定とみなせる場合,保全度は指数分布となり,修復率 $\mu$ は平均修復時間(MTTR : mean time to restoration)の逆数となる。

$\displaystyle \mu = \frac{1}{\text{MTTR}}$

MTBF(mean operating time between failures : 平均故障間動作時間)

故障間動作時間の期待値。平均故障隙間動作時間は,修理アイテムに対してだけ用いられる。ある特定期間中の MTBF は,その期間中の総動作時間を総故障数で除した値である。

MTBF = 総動作時間 / 総故障数

故障動作時間が指数分布(exponential distribution)に従う場合には,どの期間をとっても故障率は一定であり,MTBF は故障率の逆数になる。

$\displaystyle \text{MTBF} = \frac{1}{\lambda}$

指数関数型を含む連続分布の MTBF は,信頼度関数 $R = e^{-\lambda t}$ を用いて,次式で計算できる。

$\displaystyle \text{MTBF} = \int^{\infty}_0 R \text{d}t = \int^{\infty}_0 e^{-\lambda t} \text{d}t = [-\frac{1}{\lambda}e^{-\lambda t}]^{\infty}_0 = \frac{1}{\lambda}$

指数分布

指数分布(exponential distribution)は,次式で表される。

\[ f(x)=\lambda e^{-\lambda x} (x \ge 0) \] \[ f(x)=0 (x \lt 0) \]

ただし,$\lambda$ は正の定数である。$\lambda = 0.5$,$\lambda = 1.0$,$\lambda = 1.5$ のときの指数分布を下図に示す。

指数分布
図 指数分布

ちなみに,指数分布は以下の性質を満たす。

確率変数 $X$ が指数分布に従っているとき,次の平均と分散を持つ。

平均:$\displaystyle E[X] = \frac{1}{\lambda}$
分散:$\displaystyle V[X] = \frac{1}{\lambda^2}$

MTTF(mean operatin time to failure : 故障までの平均動作時間)

故障までの動作時間の期待値。平均故障寿命と訳されることもあり,非修理系のアイテムに適用する用語である。

MTTR(mean time to restoration : 平均修復時間)

修復時間の期待値。修理を完了するための平均時間を表し,アベイラビリティ $A$,保全度 $M$,修復率 $\mu$に関係する。

MTTR = 総修復時間 / 保全件数

連続分布関数では,修復率 $\mu$ と逆数の関係になる。

$\displaystyle \text{MTTR} = \frac{1}{\mu}$

また,固有アベイラビリティ $A$ との関係では,次式がよく用いられる。

$\displaystyle \text{MTTR} = \text{MTBF}(\frac{1}{A} - 1)$

故障率(failure rate)と FIT

非修理アイテムが,時刻 0 から動作を開始して時刻 $t$ まで故障が発生していない場合において,次の時間区間 $(t , t + \Delta t)$ に故障が起こるときの条件付き確率を区間幅 $\Delta t$ で除した値で,$\Delta t$ を限りなくゼロに近付けたときの極限値。

簡単にいうと,ある時間内に故障が発生する確率のこと。ギリシャ文字の $\lambda$ で表される。複数の非修理系アイテムの場合,故障率 $\lambda$ は,次式となる。

$\lambda$ = 総故障件数 / 総動作時間

例えば,10 台の装置が 20 時間で 5 台故障した場合,故障率は次式で求められる。

$\lambda$ = 5 台 / (10 台 × 20 時間/台) = 0.025

一方,修理系で故障率が一定とみなせ,確率的に故障が発生する環境下では,平均故障間動作時間(MTBF)の逆数で表される。

$\displaystyle \lambda = \frac{1}{\text{MTBF}}$

また,故障率の表記として,$1 \times 10^{-9}$ [件/時間] を単位とした FIT(Failure In Time / Failure Unit)が用いられることもある。

なお,時間経過に伴う故障率の変化から,次のように分類できる。

故障率減少型(Decreasing Failure Rate : DFR)

時間の経過とともに故障率が減少していくもの。主に設計や製造上の欠陥による故障。

初期故障を軽減するため,アイテムを使用開始前又は使用開始後の初期に動作させて,欠点を除去し,是正するデバギングが有効。

DFR 型は、主にシステムの初期運用段階に現れ、故障しやすい欠陥を持った部品が故障を起こすパターンである。

故障率一定型(Constant Failure Rate : CFR)

故障が時間の経過に関係のないもの。主に突発的事象による故障。

CFR 型は、経過時間にかかわらず故障率がほぼ一定の値となる故障率のパターンである。

故障率増加型(Increasing Failure Rate : IFR)

故障が時間の経過とともに増加していくもの。主に摩耗,損耗など特定の不良モードによる故障。

バスタブ曲線(bathtub curve)

故障率が時間の伴って減少,一定,増加の順になっている曲線で,非修理系アイテムの故障曲線として用いられる。

バスタブ曲線の偶発故障期間は,故障率がほぼ一定とみなせる期間であり,アイテムの通常の使用期間に相当する。この期間の長さは,一般に,耐用寿命といわれる。

バスタブ曲線の磨耗故障期間は,アイテムの老朽化による故障が多く発生する期間である。そのため,この期間においては予防保全によるアイテムの取替えが効果的である。

バスタブ曲線
図 バスタブ曲線

ちなみに,縦軸に故障率,横軸に時間を取ったときの形状が西洋の浴槽の断面に似ているのでこのように呼ばれている。船底形曲線ともいう。

アベイラビリティ(availability)

要求どおりに遂行できる状態にあるアイテムの能力。

アイテムが特定の時点で機能を維持している確率。与えられた時点でシステムが動作可能である確率は、一般に、時点アベイラビリティ、瞬間アベイラビリティなどといわれる。信頼度と似ているが,修理による保全と合わせた確率である。Availability の頭文字である $A$ の記号で表され,次式で定義される。

$A$ = 動作可能時間 / 全時間

アベイラビリティには,「固有アベイラビリティ」と「運用アベイラビリティ」がある

固有アベイラビリティ

MTBF を MTBF と MTTR の和で除したものは,一般に,固有アベイラビリティといわれ,次式で定義される。

$\displaystyle A = \frac{\text{MTBF}}{\text{MTBF} + \text{MTTR}} = \frac{\mu}{\mu + \lambda}$

運用アベイラビリティ

MUT(平均アップ時間)を MUT と MDT(平均ダウン時間)の和で除したものは,一般に運用アベイラビリティといわれ,次式で定義される。

$\displaystyle A = \frac{\text{MUT}}{\text{MUT} + \text{MDT}}$

ここで,MUT は平均アップ時間(Mean Up Time),MDT は平均ダウン時間(Mean Down Time,アイテムがダウン状態にある期間の期待値)である。

保全及び保全支援(概念)

保守,保全(maintenance)
アイテムが要求どおりに実行可能な状態に維持され,又は修復されることを意図した,全ての技術的活動及び管理活動の組合せ。
予防保全(preventive maintenance)
アイテムの劣化の影響を緩和し,かつ,故障の発生確率を低減するために行う保全をいう。
機能維持保全(function-permitting maintenance)
アイテムのいずれの機能も停止又は低下させないで実行する保全をいう。
修復(restoration)
故障の後,アップ状態が再び確立される事象をいう。
回復(recovery)
事後保全のない修復をいう。

装置の故障の兆候を監視して必要なときに措置を行う状態監視保全は、予防保全の一形態であり、統計的・数理的に故障が予測できない場合に有効である。

設計に関する用語

熱予備(hot standby)
待機手段が作動状態にあるけれども,システムには機能的に接続されていない待機冗長の形式のことをいう。
冷予備
待機手段が作動状態になくて,システムにも機能的に接続されていない待機冗長の形式のことをいう。
冗長(redundacy)
システムにおいて,機能を達成するために複数の手段を用意すること。
常用冗長(active redundacy)
冗長になっているアイテムが同時に動作するように意図された冗長。
待機冗長(standby redundacy)
現用アイテムが利用できないときにだけ,冗長になっているアイテムが有効になるように意図された冗長。
多様性冗長(diverse redundacy ; diversity)
共通原因故障の発生確率を低減する目的で,異なる設計又は資源による冗長機能の実行。
m/n 冗長
n 個の同じ機能の構成要素中,少なくとも m 個が正常に動作していれば,アイテムが正常に動作するように構成してある常用冗長のことをいう。
部分冗長
可能な手段のうちの 2 つ以上が要求機能を果たすのに必要である常用冗長の形式のことをいう。
フェールセーフ(fail-safe)
故障時に,安全を保つことができるシステムの性質。
フェールソフト(fail-soft)
故障状態にあるか,又は故障が差し迫る場合に,その影響を受ける機能を,優先順位を付けて徐々に終了することができるシステムの性質。
フールプルーフ(fool-proof)
人為的に不適切な行為,過失などが起こっても,システムの信頼性及び安全性を保持する性質。
トレードオフ(trade-off)
競合する要因(例えば,信頼性,保全性,性能,質量,容積,費用,納期など)間の折り合いをつけて,最適決定する行為。

試験・検査に関する用語

適合試験(compliance test)
アイテムの特性又は性質が規定の要求事項に適合するかどうかを判定する手順。
フィールド試験(field test)
利用者の運用状態で実施する試験。
耐久試験(endurance test)
規定のストレスの持続的又は反復的印加が,アイテムの性質へ及ぼす影響を調査するために行う手順。
スクリーニング試験(screening test)
不適合アイテム又は初期故障を起こしそうなアイテムの検出及び除去を意図する試験。
加速試験(accelerated test)
ストレスに対する反応が生じるのに必要な期間を短縮させるために,所定の動作条件下で生じるストレス水準,又はストレス印加率を超えて実施する試験。
ステップストレス試験(step stress test)
故障の発生まで,又はあらかじめ設定したストレス水準に達するまで,規定の間隔で印加ストレスを段階的に増加して行う試験。

信頼性抜取試験では、一般に、大量生産品ではロットから、生産量の少ない品目の場合にはアイテム集団から任意抽出したサンプルについて、故障率などの信頼性を調べた結果に基づき全体の合否判定を行う。抜取方式には計数型と計量型があり、寿命時間を観測して合否判定を行う方式は、計量型抜取方式に分類される。1 回だけ抜き取ったサンプル中の故障件数のデータを観測して合否の判定を行う方式は、一般に、計数 1 回抜取方式といわれる。信頼性抜取試験の結果、合格水準である良いロットが不合格になる確率は生産者危険率といわれ、不合格水準である悪いロットが合格となる確率は消費者危険率といわれる。

管理に関する用語

信頼性実証
アイテムに要求される信頼性特性値の実証をいう。
信頼性改善
系統故障の原因除去,その他の故障発生確率の低減及びそれら両者を考慮した活動によって,信頼性を向上させるための明確な意図をもって行うプロセスをいう。
信頼性・保全性サーベイランス
信頼性・保全性性能の要求事項が満足されることを保証するために行う,手続き,方法,条件,製品,工程及びサービス状況の継続的観察並びに記録類の継続的解析をいう。
信頼性・保全性保証
アイテムが与えられた信頼性・保全性性能の要求事項を満たすという確証を得るのに必要な,適切で計画的,かつ,体系的な活動を実施する行為をいう。
信頼性・保全性計画書
ある契約又はプロジェクトについて、与えられた信頼性・保全性性能に関する要求事項をアイテムが確実に満たすために必要な特定の実施方法、資源及び活動を記載した文書をいう。

解析に関する用語

故障解析
故障メカニズム,故障原因及び故障が引き起こす結果を識別し,解析するために行う,故障したアイテムの論理的,かつ,体系的な調査検討をいう。
ストレスモデル
所定のストレスがアイテムの信頼性性能値,又はその他の特性に与える影響を説明する数学モデルをいう。
ストレス解析
アイテムが与えられた条件の下で遭遇する物理的,化学的又はその他のストレスの種類とそれによる影響を決める行為をいう。
フォールト位置特定
ある保全実施単位のもとで,フォールトを発生している単数又は複数の下位アイテムの種類とその部位を特定する活動をいう。

計数値検査に対する抜取検査手順

計数値検査 (inspection by attributes)
一つ又は一そろいの規定要求事項に関して,あるアイテムを単に適合品か不適合品に分類する,又はアイテム中の不適合数を数えて行う検査。
抜取検査方式 (sampling plan)
サンプルサイズとロットの合否判定基準との組合せ。1 回抜取方式は,サンプルサイズと合格判定数及び不合格判定数の組合せである。2 回抜取方式は二つのサンプルサイズと第 1 サンプルに対する合格判定数・不合格判定数,及び第 1 第 2 のサンプルを合わせたものに対する合格判定数・不合格判定数の組合せである。
なみ検査 (normal inspection)
ロットの工程平均が AQL よりよい場合に,生産者に高い合格の確率を保証するようにした抜取検査方式を使用する検査。
きつい検査 (tightened inspection)
対応するなみ検査よりも,きびしい合否判定基準をもつ抜取検査方式を使用する検査。

線路構造物の管理

架空線路構造物の種類・特性及び適用」参照

メタルケーブルの管理

準備中

光ケーブルの管理

準備中

品質マネジメントシステム

品質マネジメントシステムは,製造物や提供されるサービスの品質を管理・監督するシステムである。ISO 9000 シリーズの 2000 年改定版等から採用された概念で,品質管理を中心とした組織の活動で,顧客満足を達成し継続的な改善を意図する。

ISO 9001

ISO 9001 とは,品質マネジメントシステム(Quality Management System)のことである。ISO 9001 の目的は,単に「良い製品を作ること」だけではなく,「よい製品(サービス)を作る(提供する)ためのシステムを管理すること」である。

ISO 9001 は製造物やサービス等について広く適用可能な規格であるが,自動車,医療機器,電気通信,航空機といった分野では,それぞれの固有の要求事項を加えた「セクター規格」が制定されている。

(参考)TL 9000

TL 9000 は,電気通信産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格である。ISO 9001 をベースに,電気通信分野の業界団体であるクエストフォーラム(QuEST Forum)によって制定され,米国を中心に世界の電気通信産業で採用されている。

JIS Q 9001

ISO 9001 を基に,技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格 JIS Q 9001 : 2015 品質マネジメントシステム-要求事項である。

品質マネジメントの原則

この規格は,JIS Q 9000 に規定されている品質マネジメントの原則に基づいている。この規定には,それぞれの原則の説明,組織にとって原則が重要であることの根拠,原則に関連する便益の例,及び原則を適用するときに組織のパフォーマンスを改善するための典型的な取組みの例が含まれている。

品質マネジメントの原則とは,次の事項をいう。

  • 顧客重視
  • リーダーシップ
  • 人々の積極的参加
  • プロセスアプローチ
  • 改善
  • 客観的事実に基づく意思決定
  • 関係性管理

IT サービスマネジメントシステム

IT サービスマネジメントシステム(ITSMS)とは,IT の利活用をサービスとして提供する IT サービスを,PDCA サイクルに基づいて管理することで,組織的に IT サービスの品質を確保・改善していくための仕組みである。

ITSMS を構築・運用することで,次のメリットが得られる。

  • IT サービスの見える化
  • コミュニケーション強化
  • ナレッジシェア促進
  • 前向きな目標管理
  • IT サービスごとのコスト最適化
  • サービス品質の維持・向上

ISO/IEC 20000

IT サービスを提供する組織の IT サービスマネジメント(Information technology - Service management -)が適切であるかどうかを評価するための認証基準,およびガイドライン。IT サービスマネジメントの実現にあたって,プロセスという単位で必要な組織を横断的に管理し,プロセスごとに役割と責任を明確にするという手法を採用している。

JIS Q 20000

この規格は,サービスマネジメントシステム(SMS)の規格である。この規格は,SMS を計画,確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善するための,サービスの提供者に対する要求事項を規定する。要求事項にはサービスの要求事項を満たすための,サービスの設計,移行,提供及び改善を含む。この規格は,次の組織,サービス提供者又は審査員若しくは監査員が利用してもよい。

本稿の参考文献

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