通信ケーブルの敷設・接続方法

2019年6月17日作成,2023年7月1日更新

平衡対ケーブルの敷設

準備中

光ファイバケーブルの敷設

地下線路方式

地下線路方式は、中継系区間、幹線系区間などで採用され、架空線路方式と比較して、光ファイバケーブルが風雨、氷雪などの気象条件の変動、地上建造物、樹木などからの損傷を受けにくいなど信頼性が高い。地下線路方式では、とう道や管路を使用するほかに、道路管理者が設置する情報 BOX、C. C. BOX などを使用する場合がある。

地下管路区間へケーブルを布設する前に,管路内に当該ケーブルを布設することが可能であるか否かを確認するために,円筒形のマンドレルを用いた管路の通過試験を行う場合がある。(参考)「マンドレル(通信管路通過試験用)|株式会社カナエ

フリーアクセス方式

管路を有効に使用するための方式の一つに、フリーアクセス方式がある。この方式は、既設配線管路やフリーアクセス管路から、新たな引き込み管路などを分岐して光ファイバケーブルなどを布設する方式であり、管路増設コストを抑制することができる。

光海底ケーブル敷設方法

国際ケーブル・シップ株式会社の技術紹介に,光海底ケーブル敷設方法が掲載されている。

平衡対ケーブルの心線接続

平衡対ケーブルの心線接続には,手ひねり接続はんだ付け接続などがある。

光ファイバケーブルの心線接続

光ファイバの接続には,永久接続法(融着接続法,メカニカルスプライス法)とコネクタ接続法がある。

光ファイバの接続においては、光ファイバのコアの中心軸に折れ曲がりや軸ずれがなく、端面を密着させることが重要である。接続点での光反射を防ぐためには、溶融一体化、完全密着、間隙を光ファイバと同じ屈折率の整合剤で充塡する方法などがある。

光ファイバ心線の被覆除去作業時において、清掃していない被覆除去工具を用いると被覆の除去深さに狂いが生じ、刃が光ファイバ表面を傷つけてしまい、傷が経時的に成長して断線する場合があるため、工具を清掃して使用する必要がある。

シングルモード光ファイバの接続点における損失は,接続される 2 本の光ファイバの位置決めが不完全であることにより生ずるものの影響が大きく,損失発生要因には光ファイバコアの軸ずれ,光ファイバの軸の傾斜及び端面間の間隙などがある。これら損失発生要因のうち,一般に,光ファイバコアの軸ずれによる損失が最も大きく,光ファイバコアの軸ずれによる接続損失値 $L_e$ [dB] は,コアの軸ずれを $d$ [μm],モードフィールド径を $w$ [μm] とすると,次式で近似値を求めることができる。

\[ L_e = 4.34 \times (\frac{d}{w})^2 \]

光ファイバの屈折率分布がガウス分布に従う場合,接続損失値は,両光ファイバのコア径が 1/2 以上重なり合えば,軸ずれがない場合より,約 1 [dB] の損失となる

光ファイバの接続部には、低損失、低反射及び長期信頼性が求められ、光ファイバの接続特性は、光ファイバの軸合せの精度、端面状況、光ファイバのパラメータの差異などによって決定される。

基幹系ネットワークでは、伝送距離の長遠化を図るためなどから、一般に、融着接続が適用されるが、アクセス系ネットワークでは心線使用の融通性、心線切換えの迅速性及び保守性を考慮し、一般に、コネクタ接続が適用されている。

接続損失

二つの光ファイバを接続する場合,まず光が通る二つのコアを互いに正確に突き合わせることが必要である。このとき,コアどうしが完全に均一に接続されない場合は,一方のコアから出た光の一部が他方のコアに入射できず放射されて損失となる。この要因にはコアの軸ずれ等があるが,損失の値としてはコアの軸ずれが最も大きな要因である。

一方,接続部では微小な空隙が存在する場合は反射損失が生じる。この現象は光ファイバ(ガラス)と空気の屈折率の違いに起因するもので,一般にフレネル反射と呼ばれる。

光ファイバの切断

光ファイバ心線の接続作業時において,光ファイバの切断にニッパを用いると光ファイバの切断不良が原因で光ファイバの接続部で断線する場合があるため,切断面を鏡面状に切断して光ファイバのコアどうしを精度良く接触できる光ファイバカッタが使用される。

光ファイバの接続においては、光ファイバの端面を鏡面状態にする必要があり、鏡面状態は、ガラスの特質である脆性破壊(変形しないで突然に壊れてしまう性質を脆性といい,このような壊れ方を脆性破壊という)を利用することにより簡単な方法で得ることができる。

融着接続

融着接続法は,光ファイバ端面を溶かして接続するものであり,一般にマンホール内等の再接続をあまり考慮しなくてもよい部分の接続に用いられる。溶融の仕方には,アーク放電,レーザ光,火炎等による方法があるが,接続の容易さ,信頼性,経済性等の面からアーク放電を用いた融着接続が一般的に行われる。融着接続の手順は,① 光ファイバ心線被覆除去,② 光ファイバ切断,③ 光ファイバの軸合せ,④ 融着,⑤ 融着接続部の補強の手順で行われる。

融着接続法は、両側の光ファイバ端面を加熱溶融しながら直接密着させて一体化するため、コネクタ接続やメカニカル接続と比較して、光学的に最も連続性の良い、長期安定性に優れた接続部が得られる。融着接続法で低損失の接続を行うためには、光ファイバ端面を、光ファイバ軸に直角で平滑、かつ、欠けなどが無い状態に切断する必要があり、応力破断法の原理に基づく光ファイバ切断器が広く用いられている。

融着接続機の加熱方式は、一般に、アーク放電式が用いられている。この加熱方式は、切断した光ファイバ端面どうしを溶融するため、一般に、20 ~ 100 [kHz] の高周波でアーク放電を行い、光ファイバを 2,000 [°C] 以上に加熱溶融するものである。

融着接続機は、接続する V 溝上の光ファイバ端面を 10 ~ 20 [μm] 程度離した状態で軸合わせ及び予加熱を行い、アーク放電が開始すると同時に、一方の光ファイバを移動させて端面を接触させてから、圧着スリーブ融着接続する。

融着接続後には、著しく弱い接続部を除去するため、光ファイバに一定の荷重を一定時間加えてスクリーニング試験を行う。光ファイバの融着接続部は、緩衝層や被覆層が除去され石英ガラスが露出していることから、接続部の補強を行うために、熱収縮スリーブを用いた補強法が広く用いられている。

融着接続において融着接続機のファイバクランプにゴミが付着していると,光ファイバを押さえる力が不均一になり軸ずれの原因となるため,光ファイバを融着接続機にセットする前に清掃を行う必要がある。また,光ファイバ接続部に気泡が見られる場合は,光ファイバの側面に傷をつけ曲げ応力で切断するときに生じた切断面の不良がその原因の一つとして考えられるため,一般に,光ファイバカッタの確認を行い接続をやり直す必要がある。

光ファイバの融着接続における軸ずれの発生要因としては,光ファイバの被覆除去が不十分であること又は融着接続部のクランプ及び V 溝にゴミが付着していることがある。再度融着接続を行う場合は,クランプ及び V 溝の清掃並びに光ファイバカッターの切断刃の清掃などを行う必要がある。

融着接続機は,一般に,高周波でアーク放電を行い,放電開始時のみ高電圧をトリガ的に加える高周波トリガ方式により光ファイバを加熱溶融し接続している。

融着接続におけるコア調心法とは、光源からの光を光ファイバ内に透過させ、コアとクラッドの屈折率の違いにより生ずるコントラストによって、コアの位置を認識させ軸合わせを行う方法である。

外径調心方式の融着接続機は、固定V溝上に光ファイバを整列させ、コア調心を行わず、放電によって加熱・溶融された光ファイバの表面張力による自己調心作用を利用して軸合わせを行う。

融着接続機の加熱方式として採用されている高周波トリガ方式は、高周波でアーク放電を行う際、放電開始時のみ必要な高電圧をトリガ的に加えることにより、少ない消費電力で光ファイバ端面を加熱溶融することができる。

融着接続における予加熱処理は,アーク放電により,光ファイバ端面のゴミを除去するとともに整形し,端面の不完全さによって生ずる接続不良を防ぐための工程であるが,予加熱機能が付いた融着接続機を使用しても,接続する光ファイバ端面に傾斜,欠け,突起などがあると良好な接続が得られない場合がある。

融着接続機の熱源には,ガスバーナー方式などと比較して,装置が小型であること,加熱する温度及び時間制御が容易であること,高温となる領域が局所的であることなどの理由から,アーク放電方式が広く用いられている。

融着接続では,一般に,接続する光ファイバ端面を V 溝上に整列させた状態で軸合わせ及び予加熱処理を行った後,アーク放電の開始と同時に,一方の光ファイバを移動させて端面を接触させてから,さらに押し込み,自己調心作用を利用して接続する方法が採られている。

多心融着接続機の光ファイバの調心方法には、一般に、融着接続する光ファイバをV溝上に整列させ、光ファイバ端面を加熱・溶融し、光ファイバの表面張力による自己調心作用を利用して軸合わせを行う外径調心法が採用されている。

光ファイバ心線融着接続方法(Optical fiber fusion splicing method)

光ファイバ心線の融着接続は,次の 1 ~ 5 の手順で行う。

  1. 被覆材の除去
    光ファイバのクラッド(プラスチッククラッド光ファイバの場合はコア)の表面にきずをつけないように,被覆材を完全に取り除く。
  2. 光ファイバの切断
    光ファイバを,光ファイバ軸に対し90°の角度で切断する。なお,光ファイバ端面は,鏡面状で,突起,欠けなどがないようにする。
  3. 融着接続
    電極間放電又はその他の方法によって,光ファイバの端面を溶かして接続する。なお,融着部には,気泡,異物などがないようにする。
  4. 融着接続部のスクリーニング試験
    光ファイバ心線に一定の荷重を,一定時間加えて引張試験を行う。荷重の値及び試験時間は,受渡当事者間の協定による。
  5. 補強
    スクリーニング試験を経た光ファイバ接続部に,光学的な劣化,並びに,外傷や,大きな残留応力などの機械的な劣化が生じない方法で補強を施す。ただし,プラスチッククラッドマルチモード光ファイバには,クラッドを形成するような適切なプラスチックを被覆した後補強を施す。

テープ形光ファイバ心線の一括接続方法

テープ形光ファイバ心線の一括接続は,テープ形光ファイバ心線を単心にばらさずに,次の 1 ~ 5 の手順で行う。

  1. 被覆材の一括除去
    前項 1. と同様な方法で,一括して被覆材を完全に取り除く。
  2. 光ファイバの一括切断
    前項 2. と同様な方法で,一括して光ファイバを切断する。なお,各光ファイバの切断長は不ぞろいがないようにする。
  3. 一括融着接続
    前項 3. と同様な方法で,各光ファイバを溶かして接続する。
  4. 融着接続部の一括スクリーニング試験
    テープ形光ファイバ心線に一定の荷重を一定時間加えて引張試験を行う。荷重の値及び試験時間は,受渡当事者間の協定による。
  5. 一括補強
    前項 5. と同じ方法で,光ファイバの接続部に一括して補強を施す。

メカニカルスプライス接続

メカニカルスプライスは,V 溝などを形成した接続部品を用いて機械的に光ファイバを把持する接続技術である。電源や接着剤を用いず簡単に行えるため,架空における接続作業などに適している。メカニカルスプライスにおいても,融着接続の場合と同様に光ファイバのコア端面相互を正確に一致させることが重要である。

メカニカルスプライスは、永久接続法の一つで、専用の接続部品を用いて光ファイバの端面の突き合わせを行い、機械的に光ファイバを把持する接続技術である。メカニカルスプライスは、小型軽量で電源を要しないため、架空などにおける接続作業に適しており、一般に、0.1 [dB] 程度の損失で接続が可能である。

メカニカルスプライスで低損失な接続を実現するためには、接続する光ファイバ相互のコア端面を正確に一致させることが重要であることから、一般に、V 溝基板を用いて端面を突き合わせるとともに上部から光ファイバを押しつける構造のメカニカルスプライス素子が用いられる。光ファイバの軸合わせは光ファイバの外径を基準とするため、一般に、光ファイバのコアとクラッドに偏心があると接続損失が増加する。

メカニカルスプライスにおいて、接続する光ファイバの端面間に空気層が介在すると、屈折率の不連続によりフレネル反射が生じ、接続損失の増加だけでなく、反射戻り光で光源が不安定になり伝送品質を劣化させる場合があることなどから、石英ガラスとほぼ等しい屈折率を持つ屈折率整合剤を用いてフレネル反射による影響を小さくしている。(参考)屈折率整合フィルム | TOMOEGAWA

メカニカルスプライス接続などで用いられる屈折率整合剤は,コアと同等の屈折率を持ち,接続する光ファイバ端面間の空気層を排除して接続部において屈折率が不連続になることを抑制する効果がある。

メカニカルスプライス法による現場組立光コネクタは、コネクタ部品に内蔵された端面研磨済みの光ファイバと接続する光ファイバとをメカニカルスプライス法により接続するもので、メカニカルスプライス部にはあらかじめ屈折率整合剤が入っている。

地下では,屈折率整合剤が水分により流れ出てしまうおそれがあるため,メカニカルスプライス接続は用いられない。

光コネクタ接続

コネクタ接続は,比較的頻繁に着脱が行われる箇所に使用される。コネクタによる接続も融着接続やメカニカルスプライス接続の場合と同様に光ファイバのコア端面相互を正確に一致させることが重要であり,一般的にフェルール(中子)型コネクタが用いられている。なお,フェルールは,光ファイバのコアの中心をコネクタの中心に設定するための部品である。

光コネクタ接続は、メカニカルスプライスと同様に、光ファイバの軸を合わせて端面を近接させる構造となっており、1 本又は複数本の光ファイバを接続することができる。光コネクタが具備すべき機能には、フェルールを用いて光ファイバを固定する機能、フェルールどうしを高精度に整列させる機能、フェルールの整列状態を機械的に保持する機能などがある。

現場組立光コネクタの組立作業において,光ファイバを切断する際,表面に傷がある光ファイバは折り曲げるとそこに応力が集中して破断し,その破断面は凹凸となり,接続損失が増加することから,光ファイバカッタを用いて光ファイバを完全に切断する必要がある。

単心光コネクタである SC コネクタや MU コネクタには,接続した光ファイバ端面における反射戻り光を抑制する方法として,凸球面上に研磨したフェルールの端面どうしを押圧して光ファイバを密着させるフィジカルコンタクト接続といわれる技術が用いられている。また,SC コネクタは,コネクタプラグがアダプタを介してかん合される構造を有しており,コネクタプラグとアダプタを挿抜するメカニズムとしてプッシュプル結合方式が採用されている。

FTTH 工事作業の効率化を目的とした現場組立光コネクタには,架空用クロージャ内の光ファイバを接続するための単心光コネクタである FAS コネクタがあり,コネクタプラグとコネクタソケットの 2 種類がある。

SM 光ファイバどうしを接続する場合,低損失で接続するために光ファイバの軸直角断面内における光パワー分布のモードフィールドを整合させることが重要であるため,SM 光ファイバの接続に用いられる光コネクタは,直径 10 [μm] のコアどうしを再現性よく突き合わせる高い寸法精度が求められる。そのため,光ファイバどうしを直接突き合わせることができるバッドジョイントといわれる方式が用いられる。バッドジョイント方式は,一般に,フェルールどうしを弾性スリーブを用いて整列し,突合せ接続する機構が採用されている。

単心光ファイバ用コネクタでは,弾性スリーブとして,一般に,割りスリーブが用いられ,光ファイバを中心に接着固定したフェルールどうしを弾性スリーブで整列し,突き当てることにより接続する。多心光ファイバ用の MT 光コネクタの場合,フェルールは,一般に,ガイドピン用の穴とともに一体形成され,ガイドピンによって整列する機構が用いられている。

光コネクタ接続は,接続する双方の光ファイバ端面間に空隙が存在すると,屈折率の不連続性が接続損失を発生させる要因となるため,屈折率整合剤や PC(Physical Contact)接続が用いられている。

光コネクタ接続において,光ファイバは,光軸を一致させるため強化ガラスやプラスチック製のフェルールといわれる部材の内部に精密に位置決めされ固定されている。ジルコニアは,耐久性に優れ,精密加工ができる硬さと現場での研磨が可能な柔らかさを兼ね備えた部材である。

ジルコニア(二酸化ジルコニウム,化学式 : ZrO2)は,ジルコニウムの酸化物である。常態では白色の固体。融点が 2 700 °C と高いため,耐熱性セラミックス材料として利用されている。また,透明でダイヤモンドに似て高い屈折率を有することから,模造ダイヤとも呼ばれ,宝飾品としても用いられている。

光コネクタは、着脱が容易である反面、端面に汚れが付着しやすく、汚れが付着すると光損失が増加する。このため、光コネクタを接続する際は、アルコールに浸したワイプ紙、光コネクタクリーナなどで端面を清掃するなど、取扱いに注意が必要である。

光コネクタの端面研磨方法のうち、フラット研磨は、端面を平面に研磨する方法である。この研磨方法はフェルールが金属の場合などに用いられ、一般に、光ファイバの先端がフェルールの端面より内側になるため、光ファイバ接続点の隙間においてフレネル反射が生じ、接続損失や反射量が大きくなる場合がある。

光コネクタの端面研磨方法のうち、PC 研磨は、端面を凸球面状に研磨する方法である。凸球面状に研磨すると、光ファイバの先端が理想球面より多少削られくぼんだ状態になるが、コネクタのバネによりフェルールが押されることで先端部が弾性変形を起こし、光ファイバ端面どうしを直接接触させることができる。

光コネクタの端面研磨方法のうち、斜め研磨は、端面を斜め 8 度に球面研磨する方法である。斜め研磨することで、接続点で発生した反射光を光ファイバのクラッド方向に反射させ、反射減衰量を大きくすることができる。

光ファイバコード付き光コネクタを用いた終端法は、片端に光コネクタが接続されたピグテール形の光ファイバを現場で融着接続又はメカニカルスプライスすることにより終端する方法である。

光コネクタの基本技術

光通信システムの方式側で必要とされた接続損失は 0.5 dB 以下であり,SMF を直接突き合わせるバッド・ジョイントでこの仕様を満足するためには,約 1 μm 以下の精度で整列しなければならない。そのためには以下の問題を解決する新たな構造が必要であった。

  1. 光コネクタ部材に対する光ファイバの位置決め/固定方法の実現
  2. 接続する双方の光ファイバ間の再現性良い整列方法の実現
  3. 外力による光コネクタ部材変形の影響の排除

FAS コネクタ

FAS コネクタは、メカニカルスプライス技術を応用した現場取付け可能な単心接続用コネクタで、コネクタプラグとコネクタソケットの 2 種類がある。FAS コネクタは、架空用クロージャ内での光ファイバ心線接続などに用いられる。

FC コネクタ

FC コネクタ[1]は,① 中心軸上に精度良く加工された穴を有し,ファイバを接着するだけで位置決めされる精密フェルール,② 2 本のフェルールを割りスリーブによって整列する構造,および ③ プラグ/アダプタハウジングからフェルール/割りスリーブをフロートさせ,部材が変形しても接続部分に影響しない二重かん合構造により,実用的なシングルモード用光コネクタが実現した。現在に至るまで,ほぼすべてのシングルモード光コネクタがこれら三つの基本構造を踏襲している。

FC コネクタは,マルチモード光ファイバ及びシングルモード光ファイバの両方に使用される光コネクタであり,プラグとアダプタの締結にはネジで行う方式を採用している。


  1. 1979年に電電後者の鈴木らが開発。

MT コネクタ

MT コネクタは,ガイドピンを挿入後,クランプスプリングで固定する構造を有しており,一般に,光ファイバテープ心線の接続に用いられる。

多心光コネクタである MT コネクタは,多心光ファイバを固定したフェルールをガイドピンを用いて光ファイバの光軸の位置を合わせる構造であり,多心光ファイバケーブルの光ファイバテープ心線を一括して接続できる。また,MT コネクタは,接続端面間に屈折率整合剤を充填することにより低反射化を実現している。

MT コネクタ(Mechanical Transfer コネクタ)は、ピンかん合方式(かん合ピンとクリップを用いて結合する)のプラスチック製多心光コネクタである。光ファイバの両側にある 2 本のガイドピンによって 1 対のフェルールが高精度に位置決めされる。

SC コネクタ

SC(Single fiber Coupling)型光コネクタは,プラグをアダプタに挿入することにより固定されるスライドロック構造を有する単心用のコネクタであり,一般に,ビル内などの屋内での光ファイバ心線の接続に用いられる。

SC コネクタを用いて光ファイバケーブルの接続が確実に行われたことを確認する方法として、かん合確認マークといわれる白色などで表示された線が SC アダプタに隠れるまで押し込まれたこと、SC アダプタの引抜け防止用のツメのかん合音を確認することなどがある。

SC コネクタによる接続においては、光ファイバ端面の隙間を無くしフレネル反射を抑えるため、光ファイバを中心に固定したフェルールで光ファイバのコアどうしの位置を合わせ、さらに凸球面研磨されたフェルールの接触面を弾性変形させる、PC 接続を行っている。

ST コネクタ

ST コネクタは、主に構内配線用及び計測用に用いられる光コネクタであり、セラミックフェルールを割スリーブアダプタを使って軸合わせをするタイプでバイヨネット式締結方式を採用している。

光ファイバ用クロージャ

光ファイバケーブルの接続部には、一般に、光クロージャが用いられる。光クロージャは、過酷な自然環境条件下において心線接続部を長期的に保護するために必要なものであり、光ファイバ接続工事後も容易に心線の接続替えや光ファイバケーブルの追加・分岐ができるよう開閉可能な構造となっている。

トレイ収納法

光ファイバ用クロージャ内のプラスチック又は金属製のトレイの中に接続部を固定し,余長心線を収納する方法がある。中継用伝送路では,一般に,光ファイバ心線を直径 60 [mm] 以上に巻いてトレイ内のガイドに沿って整然と収容する。

プラスチックシート収納法

プラスチックシート収納法は、厚さ数百ミクロンのプラスチックシートを折り曲げて光ファイバを収納する。この収納法は、心線を収納したシートを円筒形状に整列させることにより体積を小さくできるため、多心ケーブル用のクロージャなどに用いられている。

地下用光クロージャ

地下用光クロージャの浸水対策としては、地下用光クロージャに収容する光ファイバケーブルにシール材を巻き、その上にゴムパッキンを巻いて端面板と密着させ、スリーブ間に棒状のゴムを挟み込み密着させる方法がある。

地下用光クロージャは、マンホール及びとう道内における光ファイバケーブルの接続箇所に適用するため、限られたスペース内での高密度な心線収納性が要求され、1,000 心収納可能なものがある。

地下用光クロージャは機械的な組立て構造を持ち,ケーブル挿入部はネジ締結構造により防水性能が確保されている。

地下用光クロージャには、スリーブの合わせ目を平面とし、シール材を用いずに水密性を確保する構造のものがある。また、スリーブは、光ファイバ心線接続部を外圧から保護するため、耐圧構造となっている。

架空用光クロージャ

架空光ファイバケーブルとユーザ宅への引込み用のドロップ光ファイバケーブルとの接続箇所に用いられる架空用光クロージャは、心線を整理して収容するため、一般に、収納トレイを具備している。また,架空用光クロージャは紫外線劣化を受けにくい材料が用いられている。

架空用光クロージャには紫外線による劣化現象を防ぐため紫外線吸収剤が用いられている。

光クロージャの防水性能について

JIS C 0920 によると,IPX3 は,鉛直から両側に 60 度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならないと定義されている。飛沫への対応は IPX4,噴流への対応は IPX5 である。また,IPX7 は,一時的に水没しても内部に浸水しない保護機能である。

なお,IPX の X は,防塵を省略していることを示し,防塵が必要であれば必要とする機能の等級に応じた数字が入る。一般に架空用光クロージャは,防水対応のみである。

表 第一特性数字で示される外来固形物に対する保護等級(JIS C 0920 : 2003)
第一特性数字 保護等級の要約 保護等級の定義
0 無保護
1 直径 50 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径 50 mm の球状の固形物プローブの全体が侵入してはならない。
2 直径 12.5 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径 12.5 mm の球状の固形物プローブの全体が侵入してはならない。
3 直径 2.5 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径 2.5 mm の固形物プローブが全く侵入してはならない。
4 直径 1.0 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径 1.0 mm の固形物プローブが全く侵入してはならない。
5 防じん形 じんあいの侵入を完全に防止することはできないが,電気機器の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの侵入があってはならない。
6 耐じん形 じんあいの侵入があってはならない。

架空用光クロージャの防水性能としては,一般に,経済性などの観点から,JIS 規格の保護等級 IPX4 を満たすタイプが適用され,高気密性が要求される地下用クロージャには,保護等級 IPX7 を満たすタイプが適用される。

表 第二特性数字で示される水に対する保護等級(JIS C 0920 : 2003)
第二特性数字 保護等級の要約 保護等級の定義
0 無保護
1 鉛直に落下する水滴に対して保護する。 鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
2 15 度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する。 外郭が鉛直に対して両側に 15 度以内で傾斜したとき,鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
3 散水 (spraying water) に対して保護する。 鉛直から両側に 60 度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
4 水の飛まつ (splashing water) に対して保護する。 あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害な影響を及ぼしてはならない。
5 噴流 (water jet) に対して保護する。 あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
6 暴噴流 (powerfull jet) に対して保護する。 あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
7 水に浸しても影響がないように保護する。 規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。
8 潜水状態での使用に対して保護する。 関係者間で取り決めた数字7より厳しい条件下で外郭を継続的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。

クロージャ内における心線の接続形態

クロージャ内における心線の接続形態には、直線接続、スロット切断中間分岐接続、スロット無切断中間分岐接続などがある。

直線接続

光ファイバケーブルの接続形態の中で最も一般的な方法で,ケーブルの端末同士の直線接続である。

分岐接続

光ファイバケーブルの接続形態の中で最も一般的な方法で,ケーブルの端末同士の分岐ケーブルとの接続である。

スロット接続中間分岐接続

光ファイバケーブルのスロットそみを切断し,光ファイバは切断せずに通過心線収納トレイに収納し,必要な心線のみを分岐ケーブルと接続する。古河電気工業のページでは「手繰り寄せ中間後分岐接続」と称される。

スロット無切断中間分岐接続

SZ テープスロット型光ファイバケーブルの外被を剥ぎ,光ファイバ心線をスロットから取り出し,分岐ケーブルと接続する。幹線ケーブル敷設後に,任意の場所に分岐ができ,FTTH サービス加入者への引込に最適である。古河電気工業のページでは「中間分岐後分岐接続」と称される。(参考)「光クロージャの選定方法|光クロージャ|光クロージャ・光接続箱|古河電気工業株式会社

光キャビネット

ビルや集合住宅などに屋外から引き込まれた屋外光ファイバケーブルと構内光ファイバケーブルとの接続点に設置される光キャビネットは、一般に、屋外光ファイバケーブルの成端機能及び光コネクタによる設備分界点の機能を有している。

ケーブルの外被接続

準備中

本ページの参考文献

inserted by FC2 system