通信ケーブル維持管理技術

2019年6月17日作成,2023年7月1日更新

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道路占用

道路上に電柱や公衆電話を設置するなど,道路に一定の物件や施設などを設置し,継続して道路を使用することを「道路の占用」という。

道路を占用しようとする場合には,道路を管理している「道路管理者」の許可が必要となる。

通信土木設備の工事は,そのほとんどが道路占用工事となり,道路占用工事を行う場合,道路法に基づく道路占用許可及び道路交通法に基づく道路使用許可の取得が必要である。

道路法 第 32 条 道路の占用の許可

道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物,物件又は施設を設け,継続して道路を使用しようとする場合においては,道路管理者の許可を受けなければならない。

  1. 電柱,電線,変圧塔,郵便差出箱,公衆電話所,広告塔その他これらに類する工作物
  2. 水管,下水道管,ガス管その他これらに類する物件
  3. 鉄道,軌道その他これらに類する施設
  4. 歩廊,雪よけその他これらに類する施設
  5. 地下街,地下室,通路,浄化槽その他これらに類する施設
  6. 露店,商品置場その他これらに類する施設
  7. 前各号に掲げるものを除く外,道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物,物件又は施設で政令で定めるもの

2 前項の許可を受けようとする者は,左の各号に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。

  1. 道路の占用(道路に前項各号の一に掲げる工作物,物件又は施設を設け,継続して道路を使用することをいう。以下同じ。)の目的
  2. 道路の占用の期間
  3. 道路の占用の場所
  4. 工作物,物件又は施設の構造
  5. 工事実施の方法
  6. 工事の時期
  7. 道路の復旧方法

3 第一項の規定による許可を受けた者(以下「道路占用者」という。)は,前項各号に掲げる事項を変更しようとする場合においては,その変更が道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のないと認められる軽易なもので政令で定めるものである場合を除く外,あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならない。

4 第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては,第二項の規定による申請書の提出は,当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において,当該警察署長は,すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。

5 道路管理者は,第一項又は第三項の規定による許可を与えようとする場合において,当該許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものであるときは,あらかじめ当該地域を管轄する警察署長に協議しなければならない。

道路法 第 34 条 工事の調整のための条件

道路管理者は、第三十二条第一項又は第三項の規定による許可を与えようとする場合において、道路を不経済に損傷し、又は道路の交通に著しい支障を及ぼさないために必要があると認めるときは、当該申請に係る道路の占用に関する工事と他の申請に係る道路の占用に関する工事若しくは他の道路占用者の道路の占用又は道路に関する工事とを相互に調整するために当該許可に対して必要な条件を附することができる。この場合において、道路管理者は、あらかじめ当該申請に係る道路の占用に関する工事を行おうとする者又は他の道路占用者の意見を聞かなければならない。

占用の許可を受けた場合には,「占用料」が発生する。

道路法 第 39 条 占用料の徴収

道路管理者は,道路の占用につき占用料を徴収することができる。ただし,道路の占用が国の行う事業及び地方公共団体の行う事業で地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第六条に規定する公営企業以外のものに係る場合においては,この限りでない。

2 前項の規定による占用料の額及び徴収方法は,道路管理者である地方公共団体の条例(指定区間内の国道にあつては,政令)で定める。但し,条例で定める場合においては,第三十五条に規定する事業及び全国にわたる事業で政令で定めるものに係るものについては,政令で定める基準の範囲をこえてはならない。

近接工事による設備事故を防止するためには工事情報の把握が重要であり,道路管理者に対する道路占用や警察署に対する道路使用などの許可申請書において,埋設物企業者の埋設物確認の証跡添付を許可条件とした埋設物確認制度が制度化されている。

道路交通法 第 77 条 道路の使用の許可

次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。

  1. 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
  2. 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
  3. 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
  4. 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

2 前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当するときは、所轄警察署長は、許可をしなければならない。

  1. 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。
  2. 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき。
  3. 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき。

3 第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、所轄警察署長は、当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き、当該許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる。

4 所轄警察署長は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、前項の規定により付した条件を変更し、又は新たに条件を付することができる。

5 所轄警察署長は、第一項の規定による許可を受けた者が前二項の規定による条件に違反したとき、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、その許可を取り消し、又はその許可の効力を停止することができる。

6 所轄警察署長は、第三項又は第四項の規定による条件に違反した者について前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。ただし、交通の危険を防止するため緊急やむを得ないときは、この限りでない。

7 第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可の期間が満了したとき、又は第五項の規定により当該許可が取り消されたときは、すみやかに当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措置を講じなければならない。

標準的な処理期間

占用許可までの標準的な処理期間は行政手続法に基づき,受付から 2 〜 3 週間以内と定められている。ただし,次の期間は,標準処理期間に含まれない。

  • 申請書類の不備等を補正するために要する期間
  • 申請の途中で,申請者が申請内容を変更するために必要とする期間
行政手続法 第六条 標準処理期間

行政庁は,申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は,併せて,当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに,これを定めたときは,これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

支障移転工事

支障移転工事とは,道路工事,電柱移設工事,その他外的要因により通信設備を移設する工事である。

電柱,線路等の設備(以下「設備」という。)が設置されている土地又はその隣接地の所有者等から,その設備が土地の利用に支障を及ぼすようになったとして,設備の移転などその支障の除去に必要な措置(以下「支障移転」という。)の申請があった場合には,支障移転工事(以下「工事」という。)を実施する。

ケーブルの心線管理

光ファイバケーブルの建設や保守を行う際,光ファイバ心線の誤切断や誤接続の回避が必要である。そこで,該当する光ファイバであるかどうかを確認するため,光心線対照器を用いて,光ファイバ心線の対照を行う。

光心線対照器を用いた心線対照の方法を説明する。まず,送信部を用いて通信設備ビルから対照したい光ファイバに,通信波長より長波長でかつ変調した対照光を挿入する。現在,通信で 1,550 nm が使われることが多いため,最近は 1,650 nm の光源が心線対照用として使われている。次に,通信に影響を与えることがない程度に受信部の曲げ部で光ファイバを曲げる。すると,光ファイバから対照光が漏えいするため,漏えい光の有無で該当光ファイバであるかどうかを判定することができる。

光心線対照器は,光パワーメータ機能を内蔵したタイプもあり,OLT からの通信光のレベルを通信設備ビル及び宅内で光パワーメータを用いて測定することができる。

ID テスタの光源には,自然光や通信光の漏れ光などを誤検出することを防止するため,一般に,540 [kHz] の周波数で変調した対照光を用いている。試験光検出器の曲げ部は,対照する光ファイバ心線を湾曲させることにより漏洩する対照光を受光素子で検出するもので,対照光を低減することなく通信光の曲げ損失を小さく抑えるために,左右非対称な湾曲形状になっているものがある。

アクセス区間などに使用されている,曲げに強く,曲げても光が漏洩しにくい R15 mm 光ファイバ心線の対照には,微弱な漏洩光でも検知可能な透過型曲げ部が使用される。透過型曲げ部に使用される透過性部材は,光ファイバ被覆からの漏洩光を効率的に部材内部へ伝搬させるため,光ファイバ被覆と同程度の屈折率を有している。

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