電気通信システム 対策ノート「交換の基礎」

2019年5月18日作成,2021年9月1日更新

交換の基礎

ディジタル交換技術(空間スイッチ,時分割スイッチ等)

空間スイッチ(Space Switch)

イメージとしては物理的なスイッチやセレクタに近い。入力された信号を時間位置ごとに別の出力回線に振り分けることで交換操作を実現する。

時間スイッチ(Time Switch)

時分割多重化された信号を一時的に半導体メモリに蓄え,時間的位置を入れ替えることで交換操作を行う。より高速・大容量なメモリを使用することで,多数の回線交換が可能となる。

デジタル交換機の基本機能

  1. 通話要求検出
  2. 要求内容の分析
  3. 伝送路の接続
  4. 通話終了時の伝送路の解放

ここで,1. の加入者の発呼や終話を検出するのが,監視走査機能である。

トラヒック理論(呼数・呼量・呼量率などの用語の定義,アーラン B 式等)

回線の使用率(能率) $\eta$ は,運ばれた呼量 $a_c$ を出回線数 $n$ で除して表される。

\[ \eta = \frac{a_c}{n} \]

出線能率が高いと使用中に遭遇する確率が高くなり,低いと疎通確率は高くなるが,設備の使用効率が低くなるため,適正な設備数とすることが求められる。

加わる呼量を $a$,運ばれた呼量を $a_c$ とすると,損失した呼量は $a-a_c$,呼損率 $B$ は次式で求められる。 \[ B = \frac{a-a_c}{a} \]

運んだ呼量 $a_c$ [アーラン]は,時間 $T$ [分],呼数 $C$ [呼],平均保留時間 $h$ [秒] とすると,下式で与えられる。

\[ a_c = \frac{C \times h}{60 T} \]
事業用電気通信設備規則 第三十五条 接続品質

事業用電気通信設備の接続品質は、基礎トラヒック(1 日のうち、1 年間を平均して呼量(1 時間に発生した呼の保留時間の総和を 1 時間で除したものをいう。以下同じ。)が最大となる連続した 1 時間について 1 年間の呼量及び呼数の最大のものから順に 30 日分の呼量及び呼数を抜き取つてそれぞれ平均した呼量及び呼数又はその予測呼量及び予測呼数をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれにも適合しなければならない。(各号,省略)

呼数(こすう)

電話網などの通信回線における単位時間当たりの接続(呼)の回数。【デジタル大辞泉

呼量(こりょう)

単位時間あたりの通信回線(設備)の占有量。単位時間あたりの平均使用回数と平均占有時間の積で表される。単位はアーラン。【コトバンク

呼損率(こそんりつ)

電話をかけた時に,回線数が足らずに電話が発着信できない確率のこと。

アーラン B 式

回線数を $n$ [本],呼数を $a$ [アーラン],呼損率を $B$ とすると,アーラン B 式は次式で求められる。

\[ B = \frac{\frac{a^n}{n!}}{1 + \frac{a}{1!} + \frac{a^2}{2!} + \cdot \cdot \cdot + \frac{a^n}{n!}} \]
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