平成23年度 第2回 線路及び設備管理
問1
(1) ネットワーク設備に用いられるケーブルの構造など
メタリック平衡対ケーブルは、絶縁被覆を施した同一の導体径の 2 心又は 4 心の導体心線で構成される平衡対を多数集合してケーブル化したものである。平衡対を構成する導体心線は、一般に、平衡対間に生ずる漏話を軽減するために撚り合わされており、4 心の導体を正方形に配列し、共通の軸回りに一括して撚り合わせたものは星形カッド撚りといわれる。
アクセス系ネットワーク設備に用いられる光ファイバケーブルには、実装密度を高めるため、布設時の張力を分担する坑張力体の周囲にポリエチレンを押出成形して作成されるスロットロッドに光ファイバテープ心線を積層してケーブル化したものがある。また、FTTH における架空区間の配線では、光ファイバケーブルの分岐やユーザへのケーブル引込みのための接続作業が頻繁に発生する。そこで、光ファイバテープ心線を収容するスロッドロッドの撚り方向を一定の間隔で反転させる SZ 撚りの架空用光ファイバケーブルを用いることにより、光ファイバテープ心線の弛みを利用して中間後分岐作業を容易にしている。
「通信ケーブルの種類・特性及び適用」「アクセス系線路の光ファイバケーブル設計」参照
(2) 光通信システムに用いられる光素子、光増幅器など
(ⅰ) 通信システムに用いられる発光素子
- 誘導放出を利用する発光素子である LD の発生光はコヒーレントであり、一方、自然放出を利用する発光素子である LED の発生光はインコヒーレントである。(正)
- 光通信システムにおいて、光源の発光スペクトル幅が広いほど符号間干渉が大きくなり、符号誤りが生じやすくなるため、高速光通信システムの光源は、一般に、LED と比較して発光スペクトル幅が狭い LD が用いられる。(正)
- ファブリペロー形 LD(FP-LD)は、2 枚の反射ミラーを対向させて構成する単一モードの発光素子で、分布帰還形の発光素子(DFB-LD)は、FP-LD の活性層の近くに波状の回析構造を持つ多モードの発光素子である。(誤)
- LD は、LED と同様に、一般に、ダブルヘテロ接合構造であり、LD が反射鏡面などによる共振回路を形成しているのに対し、LED は共振回路がなく、接合面に垂直に光を取り出す構造である。(正)
下線部が逆である。
(ⅱ) 光通信システムに用いられる受光素子
- 光通信システムでは、一般に、光エネルギーを熱エネルギーへ変換した後、電気信号として検出する光電効果を用いた受光素子が用いられる。(誤)
- 光通信システムにおける受光素子には、一般に、アバランシホトダイオード(APD)又はホトダイオード(PD)が用いられ、APD は PD と比較して、受光感度が高いという特徴を有している。(正)
- 受光素子で生ずるショット雑音は、光電子のゆらぎや暗電流によって生ずる。APD の場合、同じ受光レベルにおいて印加する逆電圧を大きくして出力信号を増大すると、一般に、ショット雑音は減少する。(誤)
正しくは,A.「電気エネルギーへ変換した後」,C.「増大」である。
光が物質に当って、電子が飛び出す現象を光電効果(photoelectric effect)という。物質を構成する原子核のまわりを回る束縛電子や、金属の中で自由に動きまわる電子が、入射した光のエネルギーの大部分を吸収し、その系から飛び出せるだけのエネルギーを持ったときに生じる現象である。光電効果を持つ物質を陰極にし、対向した電極を陽極として電界をかけておき、陰極に光を当てると、飛び出した電子が陽極に捕らえられ、電流が流れる。これを光電導現象といい、上記の現象と合わせて光電効果と呼ぶ。
(ⅲ) エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)の基本構成など
- EDFA は、光信号と励起用 LD から出力される励起光とが合波して、合波した光がクラッドにエルビウムイオンを添加したエルビウム添加光ファイバ(EDF)に入射して光信号を増幅する。(誤)
- EDFA には、増幅された光が反射を繰り返して発振することを防ぐため、EDF の出力側に、逆行する光を抑制するために光アイソレータを接続した構成としているものがある。(正)
- EDFA は、励起用 LD として、一般に、低雑音増幅を目的とする場合は 0.98 μm 帯、高出力動作を目的とする場合は 1.65 μm 帯の LD が用いられる。(誤)
- EDFA は、一般に、相互変調ひずみが生じやすく、ビットレート依存性があるため、異なる多数の波長を同時に増幅する場合、波長ごとに個別の EDFA を設置する必要がある。(誤)
正しくは,1.「コア」,3.「下線部が逆」である。
EDFA では,誘導放出過程を利用して光信号を光領域で直接増幅できるため,ビットレート依存性はない。
(ⅳ) EDFA の増幅特性など
- EDFA は、半導体増幅器と比較して、一般に、高増幅利得で、かつ、低雑音であり、偏波依存性も少なく、通信用光ファイバとの接続が容易である。(正)
- EDFA の雑音特性を示す指標として、雑音指数が用いられる。雑音指数は EDFA の出力端における SN 比と励起光強度の比で表される。(誤)
- EDFA の増幅作用は誘導放出によって行われるが、誘導放出時には信号光パワーに比例した自然放出光も発生する。(誤)
- EDFA の自然放出光のスペクトルは広い波長域に分布しているが、自然放出光の周波数成分は信号光の周波数成分と異なるため、光フィルタで自然放出光を完全に除去し、信号光のみを取り出すことが可能である。(誤)
正しくは,2.「入力端における SN 比」,3.「」,4.「同じであり,光フィルタなどでも完全に取り除くことはできない」である。
問2
(1) 光海底ケーブルシステムの故障点の判定など
光海底ケーブルシステムにおいて、光海底ケーブルの断線などの故障が発生した場合、一般に、ケーブル船による修理を要することから、故障種別に合った適切な故障点判定方法を用いて正確に故障点を判定する必要がある。
光海底ケーブルにシャント故障が発生した場合には、始めに給電装置から故障点に向けて給電し、海中機材監視装置を用いて故障被疑中継区間を判定する。次にそのときの給電装置の出力電圧値から故障点までの 直流抵抗を計算し、光海底ケーブル、光海底中継器などの製造時データから求められる直流抵抗の値と比較して、故障点を判定する。
光海底ケーブルがオープン故障の場合には、給電装置から故障点に向けて給電できないため、海中機材監視装置は使用できない。そこで静電容量計により故障点までの静電容量を測定し、建設時のデータと比較して、故障点を判定する。
陸揚局から第 1 光海底中継器までの第 1 中継区間では、漁労などの人為的作業によるケーブル故障が多いが、第 1 中継区間の故障の場合は陸揚局からの距離が短いため、一般に、陸揚局から OTDR を用いて、光ファイバの破断点からの光パルスの反射を測定することにより、故障点の判定が可能である。
「水底線路の概要」参照
(2) 通信土木設備
(ⅰ) マンホール及びハンドホール
- マンホールは、一般に、躯体、首部及び鉄蓋から構成されている。躯体の内側にはケーブルダクトが成形された額縁、外側には管路周辺からの湧水を防ぐ防水コンクリート、底部には排水用のピットなどが設けられている。(正)
- マンホールは、一般に、き線ルート及び中継ルートにおいてケーブルや接続部である地下用クロージャを収容する設備で、作業者が入ってケーブルの建設保守作業を行うためのスペースが確保されている。(正)
- レジンコンクリート製ブロックマンホールは、複数に分割されたブロックで構成され、ブロック相互の接合には接着剤が使用されている。(正)
- ハンドホールは、地下配線ルートにおいてケーブルや接続部である地下配線用クロージャを収容する設備で、収容可能な管路条数は片側 2 条までである。(誤)
ハンドホールの収容可能な管路条数は「片側 4 条」までである。
(ⅱ) とう道設備
- とう道設備とは、作業者が内部に入って建設及び保守作業ができ、通信用地下ケーブルを大容量収容できるトンネル形式の通信土木設備である。(正)
- とう道設備は、多条数のケーブルを収容することができる空間とともに、ケーブルの布設及び接続、保守修理作業などができる空間が確保されている。(正)
- とう道設備の施工方法には、シールド工法及び開削工法があり、とう道の断面形状は、一般に、シールド工法、開削工法ともに円形である。(誤)
とう道の断面形状は,一般にシールド工法では円形,開削工法では矩形である。


(ⅲ) 管路設備
- 管路設備は、設備の形態により、一般に、一般管路設備、中口径管路設備及び地下配線管路設備に分けられ、地下配線管路設備には、1 条の管路に配線ケーブルと引込みケーブルを混在させて布設するフリーアクセス方式がある。(正)
- 一般管路設備は、一般に、呼び径 75 [mm] の管が多条多段に積まれ、地表面下 1 [m] ~ 2 [m] 程度に埋設される。(正)
- 管種には、硬質ビニル管、鋼管、鋳鉄管などがあり、管種の選択に当たっては、液状化の危険度、電磁誘導対策の要否などの埋設場所の環境に応じた最適な管種が決定される。(正)
- 盛土区間における管路の占用位置は、盛土崩壊のおそれが少ない位置を基本とし、管種は、一般に、硬質ビニル管が使用される。(誤)
正しくは「金属管」である。
(ⅳ) 中口径管路設備の構造など
- 中口径管路設備には、一般に、呼び径 250 [mm] ~ 500 [mm] 程度の管路にあらかじめ多条数のケーブル収容用スペーサ(インナパイプ)を布設するパイプインパイプ方式及びケーブル需要の発生時にスペーサを布設するフリースペース方式がある。(正)
- 中口径管路設備をマンホールへ取り付ける際には、耐震対策として、一般に、防水性能を有する離脱防止継手が使用される。(誤)
- 中口径管路設備は、一般に、非開削で施工されるが、埋設物との離隔が十分に確保できないなどの理由から開削で施工されることがある。開削施工には、吊降し工法及び元押し工法がある。(正)
正しくは「軸方向及び軸直角方向の地盤変位を吸収するダクトスリーブ」である。
問3
(1) 線路設備の劣化の要因とその対策
線路設備の長期信頼性を確保するためには、初期における機械的強度だけでなく、経年劣化を考慮した材料選定を行う必要がある。特に、屋外環境で使用される部材では、使用環境に応じた材料選定を行うことが重要である。
屋外環境において、プラスチック材料は、紫外線に長期間さらされると、分子鎖の切断により強度劣化が生じ、割れやすくなる。これを防ぐため、屋外で使用するケーブル外被材料などには、紫外線領域の光を吸収するカーボンブラックなどの材料が含有されている。
金属材料は、水と酸素に長期間さらされると、一般に、酸化還元反応により腐食が進行する。金属材料は、イオン化傾向が高いほど腐食しやすく、また、金属材料の腐食の進行は、どの程度安定で緻密な酸化物の皮膜が表面上に形成されて水と酸素を遮断することができるかにも影響される。
架空線路設備の吊線などに使用される鋼材は、鉄を主成分としているため、その防食対策として、亜鉛をめっきして緻密な腐食生成物の皮膜を形成し、腐食速度を遅らせる方法が広く用いられている。
「腐食・損傷対策」参照
(2) 光ファイバケーブルの接続部の故障と防水対策など
(ⅰ) 地下用光クロージャの防水対策など
- 地下用光クロージャは、光ファイバ心線を高密度に収容可能で、一般に、構成部品が特殊なため、地下用光クロージャの仕様に合わせた専用工具を用いることで容易に組立・解体が可能で作業性に優れた構造を有している。(誤)
- マンホールなどにおいて、地下用光クロージャは、溜水により水没することがあるため、一般に、ゴム製のガスケット付き端面板を上下 2 分割されたスリーブで覆い、かしめ工具により上下 2 分割されたスリーブをかしめて防水性を確保している。(誤)
- 地下用光クロージャの浸水対策としては、地下用光クロージャに収容する光ファイバケーブルにシール材を巻き、その上にゴムパッキンを巻いて端面板と密着させ、スリーブ間に棒状のゴムを挟み込み密着させる方法がある。(正)
- 地下用光クロージャの組立作業では、ガスケットを挟み込まないように注意して上スリーブが 90 度以上開くことを確認し、光ファイバケーブルと端面板の間にアジャストテープを巻いた場合は、ガスフラッシュテストを行わない。(誤)
地下用光クロージャは機械的な組立て構造を持ち,ケーブル挿入部はネジ締結構造により防水性能が確保されている。
(ⅱ) 接続部における光ファイバの断線などの原因と対策
- 光ファイバ心線の被覆除去作業時において、清掃していない被覆除去工具を用いると被覆の除去深さに狂いが生じ、刃が光ファイバ表面を傷つけてしまい、傷が経時的に成長して断線する場合があるため、工具を清掃して使用する必要がある。(正)
- 光ファイバ心線の接続作業時において、光ファイバの切断にニッパを用いると光ファイバの切断不良が原因で光ファイバが断線する場合があるため、切断面を球面状に成形して光ファイバのコアどうしを精度良く接触できる光ファイバカッタを使用する必要がある。(誤)
- 端面が汚れた光コネクタを接続すると、光信号が汚れにさえぎられ、伝送特性が劣化する場合があるため、光コネクタの端面を光コネクタクリーナなどを用いて清掃する必要がある。(正)
- 熱収縮スリーブを用いて融着接続部を補強・固定するとき、光ファイバにねじれが加わったまま固定すると、応力が徐々に加わり、破断に至る場合があるため、熱収縮スリーブを加熱する前にねじれがないことを確認する必要がある。(正)
正しくは「鏡面状に切断して」である。
(ⅲ) 防水構造の光ファイバケーブルに用いられる吸水(WB)テープなど
- 光ファイバは浸水しても即時には伝送特性への影響が及ばないため、一般に、WB テープにより光ファイバケーブル内への浸水を防止し、光パワーメータを用いて浸水部の探査を行う非ガス保守方式が適用されている。(誤)
- 光ファイバケーブルの外被損傷などにより内部に水が浸透すると、WB テープが吸水して膨張することにより、光ファイバケーブル内にダムが形成されて水の浸入が阻止される。(正)
- 光ファイバケーブル内に浸水した場合において、長期的な破断寿命への影響と光ファイバケーブル内の金属の腐食により発生する酸素による長期的な光損失の増加を防止するため、一般に、WB テープとアルミシースで構成された防水構造の光ファイバケーブルが用いられる。(誤)
正しくは,A.「浸水検知モジュール」,C.「水素」である。
(ⅳ) 光ファイバケーブルの浸水検知方法など
- 光ファイバケーブル内への浸水を検知する浸水検知モジュールの構造は、吸水膨張剤、可動体、せん断応力付与部などから構成され、内部が浸水すると、吸水膨張剤が水により膨張し、可動体を押し上げて光ファイバを断線させる仕組みである。(誤)
- 浸水検知モジュールは、一般に、架空線路設備及び地下線路設備の光クロージャや光キャビネット内において、テープ心線を挟み込んで設置される。(誤)
- 光ファイバケーブル内への浸水発生や浸水位置は、浸水検知モジュールが動作することによって生ずる光損失などを光ファイバ ID テスタを用いて検知することができる。(誤)
- 浸水した光ファイバの破断確率は、一般に、乾燥状態と比較して 10 倍以上といわれており、破断確率の上昇を抑制するには光ファイバケーブルが浸水している期間を制限する必要がある。(正)
正しくは,1.「光ファイバに曲げを発生させる仕組み」,2.「下線部が不適」,3.「OTDR」である。
問4
(1) 「建設副産物適正処理推進要綱」に基づく、建設副産物の処理
発注者と施工者は、適切な役割分担のもとに建設副産物に関わる総合的な対策を適切に実施しなければならない。ここで、建設副産物とは、建設工事に伴い副次的に得られた物品をいう。また、建設工事に使用される建設資材のうち、建設リサイクル法施行令(平成 12 年政令第 495 号)において、「コンクリート」、「コンクリート及び鉄から成る建設資材」、「木材」及び「アスファルト・コンクリート」は、特定建設資材と定められている。
発注者は、発注に当たっては、元請業者に対して、適切な費用を負担するとともに、実施に関しての明確な指示を行うこと等を通じて、建設副産物の発生の抑制並びに分別解体等、建設廃棄物の再資源化等及び適正な処理の促進に努めなければならない。一方、元請業者は、建築物等の設計及びこれに用いる建設資材の選択、建設工事の施工方法等の工夫、施工技術の開発等により、建設副産物の発生を抑制するよう努めるとともに、分別解体等、建設廃棄物の再資源化等及び適正な処理の実施を容易にし、それに要する費用を低減するよう努めなければならない。
また、元請業者は、工事現場の責任者に対する指導、並びに職員、下請負人、資材納入業者及び産業廃棄物処理業者に対する建設副産物対策に関する意識の啓発等のため、社内管理体制の整備に努めなければならない。
「工事計画」参照
(2) システムの信頼性
(ⅰ) アベイラビリティ
- 与えられた時点でシステムが動作可能である確率は、一般に、時点アベイラビリティ、瞬間アベイラビリティなどといわれる。(正)
- 運用アベイラビリティは、MUT(平均動作可能時間)を MUT と MDT(平均動作不可能時間)の和で除したもので表すことができる。(正)
- 保全可能なシステムにおいては信頼度とアベイラビリティが同じ値となる。(誤)
アベイラビリティは信頼度と似ているが,修理による保全と合わせた確率である。
(ⅱ) 保全
- 予防保全時間をとらないと、大きな休止損失を招いたり品質や安全性の面で問題を生ずることがある。(正)
- 故障率が DFR(Decreasing Failure Rate)型の部品の保全においては、使用に先立ちスクリーニング、エージングなどを行うより、定期的に部品を取り替える予防保全を行う方が有効である。(誤)
- 装置の故障の兆候を監視して必要なときに措置を行う状態監視保全は、予防保全の一形態であり、統計的・数理的に故障が予測できない場合に有効である。(正)
正しくは「アイテムを使用開始前又は使用開始後の初期に動作させて,欠点を除去し,是正するデバギングが有効」である。
(3) ある装置の信頼性
装置は偶発故障期間にあるものとする。また、指数関数の値は、$e^{0.25}=1.28$、$e^{-0.025}=0.975$、$e^{-0.25}=0.779$、$e^{-0.001}=0.999$ とし、$e$ は自然対数の底とする。
(ⅰ) 信頼度
装置 A を 1,200 時間使用したところ 3 回の故障が発生した。装置 A の 100 時間使用時点における信頼度は、77.9 [%] である。
装置 A を 1,200 時間使用したところ 3 回の故障が発生したので,故障率 $\lambda$ は 3/1200 [回/時間] である。装置 A の 100 時間使用時点における信頼度 $R$ は次式で求められる。
\[ R = \exp(-\frac{3}{1200}\times 100)=\exp(-0.25)=0.779 \](ⅱ) 平均故障率
装置 B の稼動開始後 400 時間経過時点の信頼度を 99.9 [%] 以上に維持するためには、装置 B の平均故障率を 2.5 × 10-4 [%/時間] 以下にしなければならない。
装置 B の平均故障率を $\lambda$ [%/時間] とすれば,装置 B の稼動開始後 400 時間経過時点の信頼度を 99.9 [%] 以上に維持するためには,次式が成り立つ。
\[ \exp(-\frac{\lambda}{100}\times 400)\ge 0.999 \] \[ \exp(-4\lambda)\ge \exp(-0.001) \] \[ \lambda \le \frac{0.001}{4}=2.5\times 10^{-4} \]問5
(1) 検疫ネットワークとシンクライアント
社内ネットワークへのウイルスの侵入や社内ユーザが扱う電子データの情報漏えいなどを防ぐ対策として、検疫ネットワークとシンクライアントなどが有効とされている。
このうち、検疫ネットワークは、外部から持ち込まれたパーソナルコンピュータ(PC)が社内 LAN に接続されることによって、社内 LAN に被害を与えることを食い止めるための仕組みである。
検疫ネットワークを実現する方式のうち、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ方式では、ネットワークに接続された PC に対し、始めに検疫ネットワーク接続用の仮の IP アドレスを付与し、次に検査に合格した PC に対し、社内 LAN に接続できる IP アドレスを払い出す。また、パーソナルファイアウォール方式では、あらかじめ PC に検疫用のソフトウェアをインストールしておき、PC を集中管理するポリシーサーバから配信されたポリシーに従ってネットワークへのアクセス制御を行う。
シンクライアントは、OS やアプリケーションをネットワーク側のサーバで集中管理するシステムである。シンクライアントを実現する方式のうち、画面転送方式では、OS とアプリケーションをサーバで実行し、クライアント PC とはキーボードやマウスの入力情報と画面の出力情報を送受する。また、ネットワークブート方式では、サーバにクライアント PC のディスクイメージを置いておき、PC 起動時にネットワーク経由でディスクイメージをダウンロードし、アプリケーションの処理を PC で行う。
「ネットワークセキュリティ対策」参照
(2) GMITS(IT セキュリティに対するガイドライン)に基づくリスク分析アプローチ
- ベースラインアプローチは、個々の情報資産の分析作業に多くの時間、労力、専門知識などを必要とするが、適切な管理策の選択ができる手法である。(誤)
- 詳細リスク分析は、基本的なリスクを想定した上で、既存の基準やガイドラインから管理策を選択する手法である。(誤)
- 非形式的アプローチは、体系的に構造化されたリスク分析手法ではなく、詳細リスク分析と比較して、時間、労力などをあまり必要としないが、リスク分析の結果を正当化することが必要となる手法である。(正)
- 組合せアプローチは、一般に、詳細リスク分析と非形式的アプローチを組み合わせることにより、リスク分析を実施する重要な部分を厳密に押さえながら全体についても基本的な管理策を適用できる手法である。(誤)
正しくは,1.「詳細リスク分析」,2.「ベースラインアプローチ」,4.「ベースライン」である。
ベースラインアプローチ
既存の標準や基準をもとにベースライン(自組織の対策基準)を策定し、チェックしていく方法。簡単にできる方法であるが、選択する標準や基準によっては求める対策のレベルが高すぎたり、低すぎたりする場合がある。
詳細リスク分析
詳細なリスクアセスメントを実施。情報資産に対し「資産価値」「脅威」「脆弱性」「セキュリティ要件」を識別し、リスクを評価していく。
厳密なリスク評価が行えるものの多大な工数や費用がかかる。
(3) パーソナルコンピュータ(PC)のセキュリティ対策
- 専用ワイヤを用い、机など持ち運ぶことが難しいものと PC のセキュリティスロットとを結びつけるスクリーンロックによる対策は、PC の盗難を防ぐ効果が期待できる。(誤)
- 微細なルーバーを組み込んだフィルタを PC 画面に貼って左右の視野角を狭めるプライバシーフィルタによる対策は、のぞき見を防ぐ効果が期待できる。(正)
- メモリロックによる対策は、一定時間操作が行われなかった場合に PC の画面を切り替えて、再び正しいパスワードが入力されるまで操作を禁止することができる。(誤)
正しくは,A.「セキュリティワイヤ」,C.「スクリーンロック」である。
(4) 線路設備の安全、安全作業な
(ⅰ) 構造物の安全、安全作業など
- 「電気設備の技術基準の解釈」では、鉄筋コンクリート柱に対して、設計荷重の 2 倍の荷重を加えたとき、これに耐えることを求めている。(正)
- 高さ 2 [m] 以上で保守作業を行う場合、墜落により危険を及ぼすおそれがあるときは、作業床を設けなければならない。作業床を設けることができないときは安全帯を使用するなど、作業の安全を確保しなければならない。(正)
- 電柱における登り幅とは、架設物を取り付けない空間を設け、安全な昇降と作業のために設けられた空間である。(正)
- 「建設工事公衆災害防止対策要綱」では、道路の通行を制限する場合、道路管理者や所轄警察署長から特別に指示がない場合で、制限した後の道路の車線が1車線となる場合は、その車道幅員は 2.5 [m] 以上とし、2車線となる場合は、その車道幅員は 6.0 [m] 以上としている。(誤)
制限した後の道路の車線が 1 車線となる場合にあっては,その車道幅員は 3 メートル以上とし,2 車線となる場合にあっては,その車道幅員は 5.5 メートル以上とする。
(ⅱ) 労働安全衛生法の規定に基づく資格
線路設備などの屋外作業に従事する者は、その業務内容によって労働安全衛生法の規定に基づく資格などが必要とされるが、業務内容、必要な資格などについて述べた次の文章
- クレーンを使用して、1 トン以上の電柱の玉掛け作業をする者は、玉掛け作業に係る特別教育を修了した者でなければならない。(誤)
- クレーンを使用して、5 トン以上の電柱を吊り、移動作業をする者は、当該作業に係るクレーンの運転技能講習を修了した者でなければならない。(誤)
- 架空線路の保守作業では、作業床の高さが 2 [m] 以上 10 [m] 未満の高所作業車を運転(道路上を走行させる運転を除く。)する者は、高所作業車運転技能講習の修了者(修了証の交付を受けた者)又は、高所作業車運転業務の特別教育を修了した者でなければならない。(正)
- 吊り足場などの足場組立て等作業主任者は、足場組立て等作業主任者特別教育を修了した者のうちから選任しなければならない。(誤)
- マンホール内で作業を行う場合の酸素欠乏危険作業主任者は、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(旧第二種酸素欠乏危険作業主任者)特別教育を修了した者のうちから選任しなければならない。(誤)
正しくは,1.「技能講習」,2.「運転士免許を取得している者」,4.「技能講習」,5.「技能講習」である。