平成26年度 第2回 線路及び設備管理

2020年6月12日作成,2021年1月3日更新

問1

(1) GE-PON 及び GE-PON に用いられる光受動部品の概要

光アクセスネットワークの形態の一つに、設備センタ内の OLT とユーザ宅内の ONU との間に光受動部品を設置し、1 心の光ファイバを複数の ONU で共有する PDS 方式を採用したものがある。

PDS 方式を用いた光アクセスネットワークの一つである GE-PON では、1 心の光ファイバから複数の光ファイバに光信号を分岐する光受動部品として、一般に、平面光導波路(PLC)型の光スプリッタが用いられている。4 分岐と 8 分岐の PLC 型光スプリッタを組み合わせて設備センタ内の 1 心の光ファイバで最大 32 ユーザを収容する構成では、1 ユーザの伝送路における分岐による原理的な光損失は約 15 [dB] となり、伝送距離を制限する要因となる。

また、GE-PON では、WDM 方式による双方向多重伝送技術が用いられており、設備センタからの下り信号には 1.49 μm 帯の波長帯域が割り当てられている。さらに、光ネットワークを保守・監視するための試験光には信号光とは別の波長帯域が割り当てられており、一般に、通信に影響を及ぼすことなく試験を行うことができるようにユーザ宅内の ONU の直前にファイバグレーティングを利用して試験光を遮断する光フィルタが組み込まれている。ファイバグレーティングは紫外線照射によるガラスの屈折率の増加現象を利用して光ファイバの屈折率を周期的に変化させたものであり、光コネクタに内蔵されている場合もある。

アクセス系線路の光ファイバケーブル設計」参照

(2) 光ファイバ、光デバイスなどにおける諸特性の測定方法など

(ⅰ) 光ファイバの損失測定

  1. 光ファイバの中を光信号が伝搬するときの減衰量(光損失)を $\alpha$ [dB] とすると、$\alpha$ [dB] は、光ファイバの始端に入射した光パワー $P_\text{in}$ と終端から出射する光パワー $P_\text{out}$ の比を対数値で示したもので、次式で表される。(
  2. \[ \alpha = -20\log_{10}\frac{P_\text{in}}{P_\text{out}} \]
  3. 多数の伝搬モードが存在する GI 型マルチモード光ファイバでは、光の入射状態によって測定値が異なることがあるため、発光素子と被測定光ファイバ間に励振用光ファイバなどを挿入して、各伝搬モードの光パワー分布が変わらないように光の入射条件を一定にする工夫が必要となる。(
  4. OTDR を用いた光ファイバの損失測定では、光ファイバに入射する光パルス幅を広くするほどダイナミックレンジは大きくなるが測定分解能は低下する。(
  5. シングルモード光ファイバでは伝搬モードが一つしか存在せず、入射端面において高次の伝搬モードが生じたとしても 1 [m] 程度で減衰するため、マルチモード光ファイバの損失測定の場合と比較して短い励振用光ファイバが用いられる。(

光ファイバの中を光信号が伝搬するときの減衰量(光損失)は,次式で表される。

\[ \alpha = 10\log_{10}\frac{P_\text{out}}{P_\text{in}} \]

(ⅱ) 光ファイバ通信システムに用いられる発光素子及び受光素子の諸特性の測定

  1. 発光素子の光出力パワーの測定では、一般に、発光素子から出射された出力光が光パワーメータに入射され、光電変換回路で電気信号に変換された後、その大きさが測定される。(
  2. 発光素子の光スペクトルの測定では、一般に、光スペクトル測定器が用いられる。光スペクトル測定器には、回折格子を回転させ、分光した光をスリットに通過させて特定の波長成分のみ受光する方法を採用したものがある。(
  3. 受光素子の特性の測定では、パルス発生器を用いて受光素子への入力光信号パワーを徐々に増加させ、ある一定の応答速度を得たときの入力光信号パワーの値によって評価される受光感度の測定が最も重要である。(

正しくは「」である。

(ⅲ) 光ファイバ通信システムの伝送特性の劣化要因、測定方法など

  1. 光伝送特性の劣化要因は、信号光の波形劣化と信号光への雑音の重畳に大別でき、波形劣化の要因には、モード分散、波長分散、偏波モード分散などがある。マルチモード光ファイバを用いた光伝送では、伝搬モードごとに信号光の伝搬時間が異なることによるモード分散が波形劣化の支配的要因である。(
  2. 光ファイバ通信システムに生ずる雑音としては、受光素子において電子が不規則に放出されるために生ずる受光電流の揺らぎによる発光源雑音などがあり、波形劣化としては、光ファイバの構造が伝搬する光の波形に影響するもので、光の波長の違いにより屈折率が異なるために波形が劣化する材料分散などがある。(
  3. 光ファイバ通信システムの伝送特性は、一般に、符号誤り率により評価される。符号誤り率測定器は、一般に、パルス発生器の出力信号のパターンと同一のパルスパターンを内部に持っており、これと光ファイバ伝送システムからの入力信号パターンとを照合することにより符号誤りの有無が確認される。(
  4. 光ファイバ通信システムの建設時においては、建設後におけるシステム保守に活用するために、一般に、将来の特性劣化を考慮し、システム全体の耐久特性として可変減衰器により光伝送端局装置からの光出力パワーを減衰させて受光パワー対符号誤り率の関係を把握しておくことが有効であるとされている。(

正しくは「ショット雑音」「構造分散」である。

(ⅳ) 光ファイバケーブルの試験、保守方法など

  1. 光ファイバケーブルの建設工事では光ファイバの誤切断や誤接続を防止するため、心線対照作業により該当の光ファイバであるか否かを確認するが、地下光ファイバケーブルの故障修理における光ファイバ心線切替作業では既設設備を管理している設備管理簿などを利用するため、一般に、心線対照作業は省略されている。(
  2. 中継系光ファイバケーブルの保守作業において、光ファイバ断線時には、一般に、OTDR に備わっている可視光源を用いて入射端から故障点までの距離を推定する。(
  3. 非ガス保守としている地下光ファイバケーブルは、一般に、各接続点に浸水センサを設置している。浸水センサは、水の浸入により曲げ付与部が光ファイバ心線に曲げを与え、破断させる構造となっており、破断位置を光パワーメータで検出することにより、浸水位置を特定することができる。(
  4. 防水型光ファイバケーブルに用いられる WB テープは、一般に、不織布に吸水材料が塗布してあり、浸水すると吸水材料が吸水、膨張しながらゲル化してケーブルの隙間を埋め尽くし、止水ダムを形成することによりそれ以上の浸水を防止するものである。(

正しくは,1.「心線対照作業は省略されない」,2.「非可視光源」,3.「曲げを発生させる構造となっており,曲げにより増加した光ファイバの光損失」である。

問2

(1) 光海底ケーブルの構造など

図は、鉄 3 分割パイプ形光海底ケーブルの断面形状を示したものである。図に示す光海底ケーブルは、鉄 3 分割パイプの中に光ファイバを収容しているルースタイプのもので、鉄 3 分割パイプの周囲に鋼線が撚られており、図中の矢印 A で示す金属層は、電気抵抗がケーブル 1 [km] 当たり 0.7 ~ 1.0 [Ω] 程度の給電路を形成するとともに内部を密閉して光ファイバに有害な水素ガスの浸入を阻止する役割も担っている。

図中の矢印 B で示すポリエチレンを用いた絶縁層は金属層を被覆しており、図に示す光海底ケーブルは、LW(Light Weight)ケーブルといわれる無外装ケーブルに分類される。

一方、外装ケーブルは、外装鋼線を一重又は二重に巻いて強固な保護構造としたものであり、海底面での外力などによる損傷を防止するとともに 300 [kN] ~ 800 [kN] の張力にも耐えられる高張力型ケーブルであり、一般に、ケーブルが損傷を受けやすい浅海域で使用される。

図 光海底ケーブル

水底線路の概要」参照

(2) 通信土木設備の地中化方式、道路占用など

(ⅰ) 通信土木設備の地中化方式

  1. 自治体管路方式は、地方公共団体が管路設備を敷設する方式であり、管路設備の材料費及び敷設費は地方公共団体が負担する。(
  2. 単独地中化方式は、電線管理者が自らの費用で、単独で地中化を行う方式であり、敷設された管路などの施設は道路占用物件として電線管理者が管理する。(
  3. 要請者負担方式は、各地方での無電柱化協議会で優先度が低いとされた箇所において無電柱化の要請に基づいて実施する場合に採用される方式であり、原則として費用は、要請者と地方公共団体が折半する。(
  4. 情報 BOX は、国土交通省又は地方公共団体の道路管理者が道路管理用光ファイバケーブルを収容する施設として設置するものであり、道路管理の高度化を図るとともに設備の余裕空間を民間事業者に開放している。(

正しくは「要請者が負担する」である。

(ⅱ) 道路占用

  1. 通信土木設備の工事は、そのほとんどが道路占用工事となり、道路占用工事を行う場合、道路法に基づく道路占用許可及び道路交通法に基づく道路使用許可の取得が必要である。(
  2. 道路占用工事においては、沿道住民への迷惑防止、公共事業の繰り返し工事防止などの観点から、一般に、工事計画段階で幹事企業が道路工事調整会議を主催して、必要により同一掘削溝内での共同施工などの調整が図られる。(
  3. 道路占用許可手続の標準的な期間は、受付から 2 ~ 3 週間以内と道路法に定められており、申請書類の不備などを補正するために必要とする期間及び申請途中で申請者が申請内容を変更するために必要とする期間も、標準的な期間に含まれる。(

正しくは,B.「道路管理者」,C.「行政手続法」「含まれない」である。

(ⅲ) 通信土木設備工事における管路の設置

  1. 形状が曲線的な道路に管路を設置する場合は、管路の平面線形を曲線とすることは許されないため、管路の平面線形は直線とし、MH 箇所で屈曲点を設ける方法が採られる。(
  2. 管路内に水が滞留して凍結のおそれがある区間における管路の縦断線形は、中だるみを避け、やむを得ず、中だるみを設ける場合は、管路のダクト口に水、土砂などの流入を防ぐダクト止水対策を施す。(
  3. 管路の土被りは、国土交通省などの通達により、車道部では道路の舗装の厚さに 0.5 [m] を加えた値以下としないこととされている。(
  4. 橋梁に添架される管路の添架位置は、一般に、道路橋桁の中央又は道路橋の床版の上で、洪水時の流水などによる外力、直射日光などの影響を受けにくい箇所とされている。(

正しくは,1.「」,3.「0.3 [m]」,4.「両側」「床板の下」である。

主線管路の線形は,平面線形,縦断線形とも直線とすることが望ましいが,一般に,道路形状,地下埋設物などに応じて曲線を設ける場合の曲率半径の標準は 10 [m] 以上とされている。

管路の土被りは,国土交通省などの通達により,車道部では道路の舗装の厚さ(路面から路盤の最下面までの距離)に 0.3 [m] を加えた値(当該値が 0.6 [m] に満たない場合には 0.6 [m])以下としないこと,歩道部では 0.5 [m] の最低土被りを確保することとされている。

(ⅳ) 通信土木設備の埋設物探査方法

  1. 電磁波レーダ法では、地表面に置かれた送信アンテナから地中に向けて電磁パルスを放射し、電気特性が異なる界面で発生する弾性波を受信アンテナでとらえることにより、弾性波の減衰量から埋設物の位置や深度を算出する。(
  2. 電磁波レーダ法は、電気特性が伝搬媒体である周辺の土と異なるものであれば、埋設管の材質は金属、非金属とも探査可能であるが、空洞の探査には利用できない。(
  3. 電磁波レーダ法は、一般に、口径 75 [mm] 以上の埋設管の探知に適用できる探査能力があり、探査深度は土質、舗装条件にかかわらず十数 [m] 程度までの探査が可能である。(
  4. 電磁誘導法は、地中に埋設された金属媒体(光ファイバケーブルの鋼心など)に発信機から信号を送り、金属媒体から発生する誘導磁界を地上で測定することにより、埋設物の位置や深度を探査する方法である。(

正しくは,1.「反射波」「反射波の伝搬時間」,2.「にも利用できる」,3.「口径 25 [mm] 〜 1,000 [mm] までの」「などによって異なるが,一般に 1.5 [m] 〜 数 [m]」である。

問3

(1) 光ファイバ伝送システムにおける中継器の機能、特徴など

再生中継方式における再生中継器では、受光素子で光信号が電気信号に変換された後、3R 機能といわれる等化増幅、タイミング抽出及び識別再生が行われ、再生された電気信号が再び光信号に変換される。

したがって、再生中継方式においては、波形劣化や雑音の累積を回避できるという利点がある反面、複雑な回路構成となり、また、タイミング抽出機能が必要とされるため、伝送速度が固定的となるという欠点がある。

一方、線形中継方式における線形中継器では、一般に、受信した光信号を光のまま増幅する光ファイバ増幅器が用いられており、再生中継方式における増幅器では実現が困難である低雑音性と広帯域性を実現している。光ファイバ増幅器の一つであるエルビウム添加光ファイバ増幅器には、増幅された光が反射を繰り返すことにより発振することを防ぐため、逆行する光を抑制する光アイソレータをエルビウム添加光ファイバの出力側に接続した構成のものがある。

また、光ファイバ増幅器は、複数の波長の光を一括して増幅することができるため、WDM 伝送システムへの適用においてその利点が生かされる。

WDM 伝送システムにおける光信号の劣化要因としては非線形光学効果があり、その一つである四光波混合は、チャネル間クロストークを発生させ、WDM 伝送システムの性能を制限する支配的要因である。

WDM 伝送システムにおける四光波混合による伝送品質の劣化を避ける方法の一つとして、ゼロ分散波長を伝送波長域に重ならないようにするために NZDSF といわれる光ファイバを用いる方法がある。

中継系光ファイバケーブルの伝送技術」参照

(2) 通信線が受ける誘導とその対策など

(ⅰ) 電磁誘導とその対策

  1. 送電線に 1 線地絡事故が生じて地絡電流が大地帰路電流となって流れることにより、近接する通信線と大地間に誘起される電圧は異常時誘導縦電圧といわれ、高安定送電線及びその他の一般送電線での制限値は、一般に、650 [V] とされている。(
  2. 送電線の常時運転時に、各相の負荷電流の不平衡などによって近接する通信線と大地間に誘起される電圧は常時誘導縦電圧といわれ、作業者の安全確保を対象とした場合の制限値は、一般に、60 [V] とされている。(
  3. 送電線に流れる常時の高調波電流などによって近接する通信線と大地間に誘起される電圧は常時誘導雑音電圧といわれ、一般電話回線の場合の制限値は、一般に、0.5 [mV] とされている。(
  4. 電磁誘導を軽減するための対策の一つとして、架空線路区間を地下化し、ケーブルを金属管路に収容することにより、遮蔽係数を小さくする方法がある。(

正しくは「異常時誘導危険電圧」である。

(ⅱ) 送電線からの静電誘導により通信線に発生する対地電圧

図に示すように、対地電圧 $V_E$ の送電線の近くに通信線がある場合、送電線と大地間の静電容量を $C_1$、通信線と大地間の静電容量を $C_2$、送電線と通信線間の静電容量を $C_3$ としたとき、送電線からの静電誘導により通信線に発生する対地電圧 $V_C$ について述べた次の文章のうち、正しいものは、「対地電圧 $V_C$ は,静電容量 $C_3$ が静電容量 $C_2$ と比較して大きいほど大きい。」である。

図 送電線からの静電誘導により通信線に発生する対地電圧

誘導対策」参照

図に示すように、対地電圧 $V_\text{E}$ の送電線の近くに通信線がある場合、送電線と大地間の静電容量を $C_1$,通信線と大地間の静電容量を $C_2$,送電線と通信線間の静電容量を $C_3$ としたとき、送電線からの静電誘導により通信線に発生する対地電圧 $V_\text{C}$ について,対地電圧 $V_\text{C}$ は,静電容量 $C_3$ が静電容量 $C_2$ と比較して大きいほど大きい。

\[ V_\text{C}=\frac{C_3}{C_2+C_3}V_\text{E} \]

静電誘導電圧 $V_\text{C}$ は,電磁誘導のように,相互の平行長に比例して増大する傾向はなく,相互の離隔によって決まる。

(3) 光ファイバケーブルにおける故障とその対策など

(ⅰ) 光ファイバケーブル布設時に生ずる故障要因など

  1. テープスロット型光ファイバケーブル布設時においてケーブルに張力が加わると、光ファイバテープ心線は、牽引端でケーブル外被と一緒に固定されていない状態のとき、ケーブル内に引き込まれ、その後、張力が開放されてケーブル長が元に戻ると光ファイバテープ心線が細かく連続的に曲がる波打ち現象を生じて断線に至るおそれがある。(
  2. テープスロット型光ファイバケーブルに過度な側圧が加わって光ファイバの断線などを生ずることがないように、光ファイバケーブルには布設時及び固定時における最小許容曲げ半径が設けられている。布設時における最小許容曲げ半径は、布設が一過性であるため、一般に、固定時における最小許容曲げ半径と比較して小さくとることができる。(
  3. ケーブル牽引機を用いた光ファイバケーブル布設時において、光ファイバケーブルに捻回が発生しないようにケーブル引張端に撚り返し金物を使用する場合は、過度な張力が加わることはないため、一般に、ケーブル牽引速度の制限はない。

光ファイバケーブルの最小許容曲げ半径は、光ファイバ、テンションメンバ、ケーブルシースの材質や構造などによって異なるため、基本は、メーカ推奨値によるが、メーカ推奨値が不明な場合は、布設中はケーブル外径の 20 倍以上、布設後は 10 倍以上とする ANSI/TIA/EIA 規格を適用する。

光ファイバケーブルに捻回が生じないように,ケーブルとプーリングアイとの間に撚り返し金物を取付け,布設方法が先端牽引方法の場合であって布設張力がケーブルの許容張力を超えるときは,布設ルートの中間で中間牽引機などが用いられる。

(ⅱ) 光ファイバの接続部における故障の原因とその対策など

  1. 光ファイバ心線の被覆除去作業時において、清掃していない被覆除去工具を用いると被覆の除去深さに狂いが生じ、刃が光ファイバ表面を傷つけ、その傷が経時的に成長して断線する場合があるため、被覆除去工具を清掃して使用する必要がある。(
  2. 現場組立コネクタは、基本的な構造として内部にメカニカルスプライス機構を有しており、現場組立コネクタでの故障原因としては、光ファイバ心線切断時におけるカッタの切断刃の欠損や摩耗による光ファイバ端面の欠け、突起などの切断不良、内蔵光ファイバと対向する光ファイバが突き当たらず隙間が生ずる突き合わせ不良などがある。(
  3. 融着接続は、一般に、光ファイバ被覆除去、光ファイバ切断、光ファイバの軸合せ、融着、熱収縮スリーブによる融着接続部の補強の手順で行われ、その後、断線故障を防止するためにスクリーニング試験による強度の確認が実施される。(
  4. 熱収縮スリーブを用いて融着接続部を補強・固定するとき、光ファイバに捻れが加わったまま固定すると、応力が徐々に加わり、破断に至る場合があるため、熱収縮スリーブを加熱する前に捻れがないことを確認する必要がある。(

正しくは「著しく弱い接続部を除去するため」である。なお,スクリーニング試験は,熱収縮スリーブを用いた補強前に実施する。

  1. 光ファイバ被覆除去
  2. 光ファイバ切断
  3. 光ファイバの軸合せ
  4. 融着
  5. スクリーニング試験
  6. 熱収縮スリーブによる融着接続部の補強

問4

(1) 労働安全衛生に関する法令に基づく安全管理体制など

労働安全の管理体制については、一定数以上の労働者を使用する事業場において、事業者は当該事業場での安全衛生業務全般を統括管理する責任を負う者として、その事業場の責任者を総括安全衛生管理者として選任しなければならない。

さらに、建設業や通信業などの業種で常時 50 人以上の労働者を使用する事業場においては、安全に係る技術的事項を管理する安全管理者を選任しなければならない。

一方、業種を問わず常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、労働者の意見を反映させるために、衛生委員会を設置することが義務付けられている。衛生委員会の運営方法として、開催回数は毎月 1 回以上で、重要な議事内容は記録し、3 年間保存しなければならない。

また、労働災害を防止するための管理を必要とするもので、政令で定めるものについては、その作業区分に応じて作業主任者を選任しなければならない。作業主任者は、作業に従事する労働者の指揮のほか、機械・安全装置の点検、器具・工具などの使用状況の監視などに関する職務を行うものであり、技能講習修了者や免許所有者の中から選任されるものである。例えば、酸素欠乏危険場所などにおける作業、つり足場、張出し足場又は高さ 5 [m] 以上の構造の足場組立て、解体又は変更の作業などの区分に応じて作業主任者の選任が必要となる。

建設機械による労働災害の防止の観点から、玉掛け作業を行う場合、一般に、玉掛け技能講習を修了した者を選任することが必要とされる。これは、制限荷重が 1 トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が 1 トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務に就く者を制限しているものであり、荷物の重さにかかわらず、クレーンなどの能力が 1 トン以上の場合に当該資格者が必要とされる。

安全管理」参照

(2) 信頼性試験など

(ⅰ) 信頼性試験

  1. 実使用状態でアイテムの動作、環境、保全、観測の条件などを記録して行う試験は、一般に、フィールド試験(現地試験)といわれる。(
  2. 規定のストレス及びそれらの持続的、反復的負荷がアイテムの性質に及ぼす影響を調査するため、ある期間にわたって行う試験は、一般に、限界試験といわれる。(
  3. アイテムに対して等時間間隔でストレス水準を順次段階的に増加して行う試験は、一般に、ステップストレス試験といわれる。(
  4. 加速試験における加速手段として、ストレスを厳しくして劣化を加速させる方法、負荷の間欠動作の繰り返し度数の増加や連続動作による時間的加速を図る方法などがある。(

正しくは「耐久試験」である。

(ⅱ) 信頼性抜取試験

  1. 信頼性抜取試験では、一般に、大量生産品ではロットから、生産量の少ない品目の場合にはアイテム集団から任意抽出したサンプルについて、故障率などの信頼性を調べた結果に基づき全体の合否判定を行う。(
  2. 抜取方式には計数型と計量型があり、寿命時間を観測して合否判定を行う方式は、計量型抜取方式に分類される。(
  3. 1 回だけ抜き取ったサンプル中の故障件数のデータを観測して合否の判定を行う方式は、一般に、計数 1 回抜取方式といわれる。(
  4. 信頼性抜取試験の結果、合格水準である良いロットが不合格になる確率は消費者危険率といわれ、不合格水準である悪いロットが合格となる確率は生産者危険率といわれる。(

下線部が逆である。

(3) 10,000 個のメモリ素子を組み込んだ基板 A の信頼性

基板 A は偶発故障期間にあるものとし、$\log_{e}0.99 = -0.01$、$e^{-0.05}=0.95$ とする。

基板Aの使用開始後 100 時間における信頼度が 0.99 であるとき、メモリ素子 1 個の故障率は、10 [FIT] である。また、基板 A の使用開始後 500 時間以内に故障する確率は、5 [%] である。ただし、メモリ素子個々の故障率は同一値とする。

基板の故障率を $\lambda$ とすると,基板の使用開始後 100 時間における信頼度が 0.99 であるので,次式が成り立つ。

\[ \exp(-\lambda \times 100)=0.99 \] \[ -\lambda \times 100 = \log_{e}0.99=-0.01 \]

上式より,$\lambda=1\times10^{-4}$ である。

10,000 個のメモリ素子を組み込んだ基板の故障率は $\lambda$ であるので,メモリ素子 1 個当たりの故障率は,次式で求められる。

\[ \frac{\lambda}{10000}=1\times10^{-8} \]

1 [FIT] は,故障率 1 × 10-9 であるので,FIT 単位に換算すると,メモリ素子 1 個当たりの故障率は,10 [FIT] である。

故障率の表記として,$1 \times 10^{-9}$ [件/時間] を単位とした FIT(Failure In Time / Failure Unit)が用いられることもある。

この基板の使用開始後 500 時間以内に故障する確率は,次式で求められ,5 [%] である。

\[ 1-\exp(-500 \times \lambda)=1-\exp(-500 \times 1 \times 10^{-4})=1-\exp(0.05)=1-0.95=0.05 \]

問5

(1) マルウェア

マルウェアとは、有害なプログラムの総称であり、様々な種類のマルウェアが存在している。マルウェアの一つであるワームは、他のファイルなどに寄生して活動するのではなく、主にネットワークを利用して自己増殖し、単体で感染活動やその他の有害な活動を行う。また、ボットはコンピュータに感染した後、ハーダーといわれる攻撃者からの指示に従って動作し、あらゆる攻撃に利用される危険性がある。例えば、企業などで社内外の境界においてセキュリティ対策を行っていたとしても、社内のコンピュータが 1 台でもボットに感染すると、そのコンピュータを踏み台にして社内に攻撃が行われるおそれがある。

マルウェアの脅威からコンピュータを守るため、一般に、ウイルス対策ソフトウェアが用いられる。ウイルス対策ソフトウェアがマルウェアを検知する手法の一つにヒューリスティック方式がある。これは、マルウェアが引き起こす特徴的な動作を検知するもので、一般に、未知のマルウェアを検知できる可能性がある反面、誤検知率が高いという欠点があるとされている。

ネットワークセキュリティ対策」参照

(2) ISMS の要求事項を満たすための管理策

JIS Q 27001 : 2014 に規定されている、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の要求事項を満たすための管理策について述べた次の文章

  1. 全ての種類の利用者について、全てのシステム及びサービスへのアクセス権を割り当てる又は無効化するために、利用者アクセスの提供についての正式なプロセスを実施しなければならない。(
  2. 情報及び情報処理施設に関連する資産を特定しなければならない。また、これらの資産の目録を、作成し、維持しなければならない。(
  3. 情報は、業務効率、価値、重要性、及び認可されていない開示又は変更に対して取扱いに慎重を要する度合いの観点から、分類しなければならない。(
  4. 利用者の活動、例外処理、過失及び情報セキュリティ事象を記録したイベントログを取得し、保持し、定期的にレビューしなければならない。(

情報は,法的要求事項,価値,重要性,及び認可されていない開示又は変更に対して取扱いに慎重を要する度合いの観点から,分類しなければならない。

(3) 標的型攻撃

  1. 標的型攻撃では、電子メールに添付されたファイルにウイルスが組み込まれていてもファイルを開いた後に文書などが表示される場合もあるため、ウイルスが組み込まれていることに気付かないおそれがある。(
  2. 標的型攻撃では、ウイルスに感染したコンピュータがインターネット上に存在する攻撃用制御サーバと通信することがある。この通信には IRC プロトコルや独自プロトコルが用いられ、HTTP は用いられない。(
  3. 標的型攻撃の特徴として、攻撃対象が絞られているため、セキュリティベンダによる検体の入手が難しいこと、攻撃を受けた被害者が気付きにくいため攻撃そのものが長期にわたって表面化しにくいことなどが挙げられる。(

正しくは「HTTP が用いられることもある」か。

(4) 建設副産物適正処理推進要綱に基づく建設副産物の処理など

  1. 建設工事に使用される建設資材のうち、建設リサイクル法施行令で定められた特定建設資材とは、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、アスファルト・コンクリートをいい、木材は含まれない。(
  2. 建設副産物適正処理推進要綱に定められた対象建設工事とは、特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事等であって、その施工技術が建設リサイクル法施行令又は都道府県が条例で定める建設工事の技術基準以上のものをいう。(
  3. 発注者及び施工者は、基本方針として、対象建設工事から発生する特定建設資材廃棄物のうち、再使用及び再生利用がされないものは縮減に努め、縮減がされないものは熱回収に努めることとされている。(
  4. 元請業者は、建築物等の設計及びこれに用いる建設資材の選択、建設工事の施工方法等の工夫、施工技術の開発等により、建設副産物の発生を抑制するよう努めるとともに、分別解体等、建設廃棄物の再資源化等及び適正な処理の実施を容易にし、それに要する費用を低減するよう努めなければならない。(

正しくは,1.「木材も含まれる」,2.「規模」,3.「下線部は不要」である。

建設副産物を処分するに当たっては,縮減することができるものについては縮減に努める。

(5) 建設業法などに定める内容に基づく建設工事の請負契約における元請負人の義務など

  1. 元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ注文者の意見を聴く必要があるが、下請負人の意見を聴く必要はない。(
  2. 元請負人は、請負代金の出来高部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来高に対する割合及び当該下請負人が施工した出来高部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から 20 日以内又は特約に基づく期間内に支払わなければならない。(
  3. 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から 20 日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。(
  4. 特定建設業者は、発注者から請求があったときは、営業所ごとに備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。
    なお、請負代金の額が 4,500 万円以上の工事の場合は、施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければならない。(

正しくは,1.「あらかじめ下請負人の意見をきかなければならない」,2.「1 月以内で,かつ,できる限り短い期間内」,4.「請負代金の額が 4,000 万円以上の工事の場合は、施工体制台帳を作成し,工事現場ごとに備え置かなければならない」である。

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