平成23年度 秋期 午前 Ⅱ 問題の解答と解説
試験時間は 10:50 ~ 11:30(40 分)である。
問1 IT 経営力指標
経済産業省が策定した "IT 経営力指標" の説明はどれか。
解答と解説
【答え】イ
IT 経営力指標の七つの機能は以下のとおり。
- 経営戦略と IT 戦略の融合
- 現状の可視化による業務改革の推進と IT の活用による新ビジネスモデルの創出,ビジネス領域の拡大
- 標準化された安定的な IT 基盤の構築
- IT マネジメント体制の確立
- IT 投資評価の仕組みと実践
- IT 活用に関する人材の育成
- IT に起因するリスクへの対応
アは「実務に生かす IT 化の原理原則 17 か条」,ウは「ソフトウェア能力成熟度モデル」,エは「共通フレーム」の説明である。
問2 エンタープライズアーキテクチャ
エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】イ
問3 BI (Business Intelligence)
BI (Business Intelligence) を説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】エ
BI は,企業活動に伴い蓄積されたデータを,分類・加工・分析することで,意思決定を支援する手法である。データマイニングや OLAP などの分析技術は,BI に含まれる要素として位置付けられる。
問4 投資効果を現在価値法で評価
投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。ここで,期間は 3 年間,割引率は 5 % とし,各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。
シナリオ | 投資額 | 回収額 | ||
---|---|---|---|---|
1 年目 | 2 年目 | 3 年目 | ||
A | 220 | 40 | 80 | 120 |
B | 220 | 120 | 80 | 40 |
C | 220 | 80 | 80 | 80 |
投資をしない | 0 | 0 | 0 | 0 |
解答と解説
【答え】イ
割引率を考慮した回収額は次表のとおり。
シナリオ | 投資額 | 回収額 | ||
---|---|---|---|---|
1 年目 | 2 年目 | 3 年目 | ||
A | 220 | 38.1 | 72.6 | 103.7 |
B | 220 | 114.3 | 72.6 | 34.6 |
C | 220 | 76.2 | 72.6 | 69.1 |
投資をしない | 0 | 0 | 0 | 0 |
A ~ C の投資効果は以下のとおり。
投資をしないシナリオの投資効果は 0 万円なので,最も投資効果の大きいシナリオは B となる。
問5 BABOK
BABOK の説明はどれか。
解答と解説
【答え】ウ
問6 要件定義作業
システムの機能要件を定義する上で,前提となる要件定義作業はどれか。
解答と解説
【答え】ウ
システムの機能要件とは,業務要件を実現するためのシステム要件である。このシステムの機能要件を定義するうえで,前提となる要件定義作業では,業務システムで実現すべき業務要件を定義する。すなわち,利害関係者からのニーズを整理し,新たな業務のあり方や運用をまとめたうえで,業務上実現すべき要件を明らかにする作業が要件定義作業である。
アは「システム方式の設計作業」,イは「業務分析作業」,エは「システム要件の定義作業」に関する記述である。
問7 プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)において,投資用の資金源と位置付けられる事業はどれか。
解答と解説
【答え】ウ
問8 TOB
企業戦略における TOB を説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】ア
TOB (Take Over Bit) は「価格と期間を公開」して,買収先企業の株式を市場から買い付ける手法である。市場価格よりも高い買い取り価格を提示し,短期間に株式を買い付けることで,買収を一気に進めることができる。
イは EBO (Employee BuyOut),ウは MBO (Management BuyOut),エはベンチャーキャピタルによるハンズオンの説明である。
問9 コアコンピタンス
コアコンピタンスに該当するものはどれか。
解答と解説
【答え】イ
問10 ブルーオーシャン戦略
ブルーオーシャン戦略を説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】ア
問11 アンゾフの成長ベクトル
アンゾフの成長ベクトルにおいて,B の戦略を表すものはどれか。
製品 | |||
---|---|---|---|
既存 | 新規 | ||
市場 | 既存 | A | B |
新規 | C | D |
解答と解説
【答え】ウ
問12 ブランド戦略
商品のブランド戦略の一つであるラインエクステンションを説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】ウ
ラインエクステンション(line extension)とは,すでに確立された既存ブランドと同じ市場に形態や機能の異なる商品を投入する際に,派生ブランドを展開することである。
アはブランドアップ戦略,イはブランドアライアンス戦略,エはカテゴリエクステンションに関する記述である。
問13 マーケティング要素
売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであえるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。
解答と解説
【答え】ウ
4P に対して,買い手の視点から再定義したものが 4C である。そのため,4P(売り手側でのマーケティング要素)と 4C(買い手側での要素)は,それぞれの要素が下表のように対応している。
4P | 4C |
---|---|
Product(製品) | Customer Value(顧客価値) |
Price(価格) | Customer Cost(顧客コスト) |
Place(場所) | Convenience(利便性) |
Promotion(販売促進) | Communucation(コミュニケーション) |
問14 LTV(顧客 1 人当たりの生涯価値)
ある顧客層の今後 3 年間を通しての,年間顧客維持率が 40 %,1 人当たり年平均売上高が 200 万円,売上高コスト比率が 50 % と想定される場合,今後 3 年間の LTV(顧客 1 人当たりの生涯価値)は何万円か。ここで,割引率は考慮しないものとする。
解答と解説
【答え】イ
顧客 1 人当たりの年平均売上高が 200 万円,売上高コスト比率が 50 % と想定されるので,顧客 1 人当たりの平均利益は 100 万円となる(初年度の利益)。
次に,この顧客の年間顧客維持率が 40 % であることから,2 年目,3 年目の利益は次式で求められる。
以上より,今後 3 年間の LTV(顧客 1 人当たりの生涯価値)は,次のようになる。
問15 ファイブフォース分析
ファイブフォース分析において,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威と,もう一つはどれか。
解答と解説
【答え】ア
マイケル・ポーターは競争要因が戦略を決定するとし,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,サプライヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威を挙げている。これら五つの要因を分析することにより,自社が置かれている競争環境が明らかになる。
問16 SECI モデル
SECI モデルにおける,内面化の説明はどれか。
解答と解説
【答え】ア
問17 問題解決技法
特許を分析して生まれた問題解決技法であり,問題(矛盾)を創造的・発明的に解決するための弁証法的な思考法を具体的な方法論にまとめたものはどれか。
解答と解説
【答え】イ
TRIZ は,ソビエト連邦発の問題解決理論・全体最適化理論・システム思考・クリエイティブシンキングである。ロシア語の Teoriya Resheniya Izobretatelskikh Zadatch の頭文字である。
TRIZ は,「特許の分析」によって生まれた問題解決法である。対象を分割する,問題を分離するなどの発明原理を適用することで,問題を創造的,発明的に解決する。
QFD(Quality Function Deployment : 品質機能展開)は,すべての製品開発プロセスに対する要求品質とその代用品質をマトリクス(星取表)を用いて分析し,合理的な製品設計を可能にする製品開発手法である。
シックスシグマは,各種の品質管理技法や統計分析手法を体系的に適用し,プロセスの欠陥を識別・除去する経営管理技法である。
親和図法は,収集したデータを相互の親和性によってグループ化し,解決すべき問題の所在や形態を明確にする問題解決技法。新 QC 七つ道具の一つ。
問18 生産計画
ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。
- 当月末の予想在庫量を,前月末の実在庫量と当月の計画生産量と予想販売量から求める。
- 当月末の予想在庫量と,翌月分の予想販売量から,翌月末の予想在庫量が翌々月から 3 か月間の予想販売量と等しくなるように翌月の計画生産量を決定する。
解答と解説
【答え】イ
8 月末の予想在庫量は,7 月末の実在庫量と当月分の計画生産量と予想販売量から求められる。
8 月末の予想在庫量は,9 月から 11 月の予想販売量と等しい。
上の 2 式より,I8 を消去し,8 月分計画生産量 P8 で整理する。
問19 エスクローサービス
インターネットオークションにおいて,出品者と落札者の間の決済で使用されるエスクローサービスはどれか。
解答と解説
【答え】エ
問20 ロングテール
e-ビジネス分野で提唱されているロングテールの考え方を説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】ア
問21 c 管理図
c 管理図で管理する対象はどれか。
解答と解説
【答え】エ
問22 線形計画法
製品 X 及び Y を生産するために 2 種類の原料 A,B が必要である。製品 1 個の生産に必要となる原料の量と調達可能量は表に示すとおりである。製品 X と Y の販売 1 個当たりの利益が,それぞれ 100 円,150 円であるとき,最大利益は何円か。
原料 | 製品 X の生産 1 個当たりの必要量 | 製品 Y の生産 1 個当たりの必要量 | 調達可能量 |
---|---|---|---|
A | 2 | 1 | 100 |
B | 1 | 2 | 80 |
解答と解説
【答え】ウ
問23 ABC(活動基準原価計算)の考え方
ABC(活動基準原価計算)の考え方を説明したものはどれか。
解答と解説
【答え】ウ
ABC は,原価計算に用いられる手法で,間接費を活動単位に細かく分類して各部門に割り当てる。割合を用いた単純な配賦に比べ,原価を正確に把握することができる。
問24 キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書における,営業活動のキャッシュフローは何万円か。
税金等調整前当期純利益 | 108 |
---|---|
減価償却費 | 42 |
売上債権の増加額 | 60 |
棚卸資産の減少額 | 30 |
仕入債務の増加額 | 40 |
法人税等の支払額 | 62 |
解答と解説
【答え】ウ
問25 国税関係帳簿
国税関係帳簿を磁気媒体で保存する場合,法律で規定されているものはどれか。
解答と解説
【答え】ア
国税関係帳簿を磁気媒体で保存する場合,あらかじめ所轄の税務署長の承認を受けることが必要となる,と法律で規定されている。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第4条 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等
保存義務者は,国税関係帳簿の全部又は一部について,自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって,納税地等の所轄税務署長(財務省令で定める場合にあっては,納税地等の所轄税関長。以下「所轄税務署長等」という。)の承認を受けたときは,財務省令で定めるところにより,当該承認を受けた国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該承認を受けた国税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。
以下,省略