令和4年度 春期 午前Ⅱ 問題の解答と解説

2022年4月17日作成,2022年4月24日更新

試験時間は 10:50 ~ 11:30(40 分)である。

問1 オープンデータバイデザイン

官民データ活用推進基本法などに基づいて進められているオープンデータバイデザインに関して,行政機関における取組の記述として,適切なものはどれか。

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【答え】

オープンデータ・バイ・デザインとは,公共データについて,オープンデータを前提として情報システムや業務プロセス全体の企画,整備及び運用を行うことである。(出典)「オープンデータ基本方針」(平成29年5月30日,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)

オープンデータ・バイ・デザインの具体的な内容は,以下のとおり。

  1. 一括ダウンロードや API を通じたデータ提供
  2. メタデータの公開
  3. 機械判読に適したファイル形式およびデータ構造
  4. データ構造やデータ形式の標準化
  5. 公開済みデータの更新

問2 金融業界で生まれた考え方

金融業界で生まれた考え方で,主に被規制事業者が各種規制に正しく対応できているかどうかをチェックする業務などを,最新 IT を駆使して効率化する取組はどれか。

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【答え】

レグテック(RegTech)は規制(Regulation)と技術(Technology)を組み合わせた造語で,2015 年頃から英国・米国を中心に使われ始めた。主に新しい IT を活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対する金融 IT ソリューションを指している。

問3 分析手法

ある企業では,顧客データについて,顧客を性別,年齢層,職業,年収など複数の属性を組み合わせてセグメント化し,蓄積された大量の購買履歴データに照らして商品の購入可能性が最も高いセグメントを予測している。このときに活用される分析手法はどれか。

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【答え】

決定木分析(デシジョンツリー,decision tree)とは,分類木と回帰木を組み合わせたもので,ツリー(樹形図)によってデータを分析する手法である。

問4 DCF 法

プロジェクト開始時点で 150 万円の支出を行う IT 投資プロジェクトにおいて,3 年間の金銭的価値を DCF 法で算定した場合,正しい金額は a ~ d のどれか。

なお,割引率は 20 % で固定とし,キャッシュフローは全て年度末に発生するものとする。また,金銭的価値の算定の際には年度ごとに百万円未満を切り捨てて計算している。

IT 投資プロジェクト 単位 百万円
投資年 プロジェクト開始時点 1 年後 2 年後 3 年後
キャッシュフロー -150 100 100 100
DCF 法による金銭的価値の算定結果 単位 百万円
算定結果 - 投資年 プロジェクト開始時点 1 年後 2 年後 3 年後 合計
a -150 83 69 57 59
b -150 83 71 62 66
c -150 83 83 83 99
d -150 83 96 99 128

解答と解説

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【答え】

DCF 法は,将来にわたって生み出す収益(キャッシュフロー)を現在価値に割り引いて企業価値を評価する手法である。DCF とは "Discounted Cash Flow" の略である。

1 年後,2 年後,3 年後の金銭的価値は,それぞれ次式で求められる。

1 年後の金銭的価値 = 100 ÷ 1.20 = 83 [万円]
2 年後の金銭的価値 = 100 ÷ 1.202 = 69 [万円]
3 年後の金銭的価値 = 100 ÷ 1.203 = 57 [万円]

問5 情報システム・モデル取引・契約書<第二版>

ベンダ X 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,"情報システム・モデル取引・契約書<第二版>" に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a ~ d の契約形態のうち,準委任型が適切であるものとされるものはどれか。

要件定義 システム外部設計 システム内部設計 ソフトウェア設計,プログラミング,ソフトウェアテスト システム結合 システムテスト 運用テスト
a 準委任型又は請負型 b 請負型 c 準委任型又は請負型 d

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【答え】

要件定義と運用テストは,準委任型の契約形態が適切である。

問6 ダイナミック・ケイパビリティ

D. J. ティースが提唱したダイナミック・ケイパビリティの説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

ダイナミック・ケイパビリティとは,カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・J・ティース氏によって提唱された戦略経営論で,「ものづくり白書 2020」においては「環境や状況が激しく変化する中で,企業がその価値に対応して自己を変革する能力」と説明されている。ダイナミック・ケイパビリティには,以下のような特徴がある。

  • 変化の激しいビジネス環境をいち早く認識する
  • 企業の経営資源を素早く再構築・再編成する

問7 インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングの説明はどれか。

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【答え】

インバウンドマーケティング(Inbound Marketing)とは,価値あるコンテンツと顧客それぞれに合わせた体験を創出し,相手を惹きつけるビジネス手法である。

2006 年にこのマーケティング手法を提唱したブライアン・ハリガン(米国 HubSpot)によるとインバウンドマーケティングとは「一般消費者を特定の商品やサービスに対する顧客に育て上げていくための,全てのステップやツール,ライフスタイルの総称」とされている。なにか特定のツールやシステムを指すのではなく,それらを含むプロセス全体を表す概念である。

問8 コーズリレーテッドマーケティング

コーズリレーテッドマーケティングの特徴はどれか。

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【答え】

企業が商品やサービスの売上によって得た利益の一部を NGO や国連機関などの組織に寄付し,その社会奉仕活動と企業名を結びつけることによる訴求効果を狙うマーケティング・コミュニケーション手法。英語表記の "Cause related marketing" を略して CRM とも呼ばれる。

問9 マーケットバスケット分析

マーケットバスケット分析の説明はどれか。

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【答え】

マーケットバスケット分析は,POS データや電子商取引の販売データなどを分析し,一緒に購入される商品の組合せを見つける探索的分析方法である。通常,顧客ごとに週単位,月単位で集計した販売データをもとに購入商品の組合せを分析する。

イ,ウは商圏分析,エは ABC 分析の説明である。

問10 需要の価格弾力性

需要の価格弾力性に関する説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

需要の価格弾力性(price elasticity of demand)とは,価格の変化率(価格の変化金額 ÷ 価格)によって,需要量の変化率(需要量の変動の大きさ ÷ 需要量)を除した比率。

価格弾力性 = 需要の変化率 / 価格の変化率

問11 PEST 分析

企業が実施するマクロ環境分析のうち,PEST 分析によって戦略を策定している事例はどれか。

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【答え】

PEST 分析は,主に経営戦略や海外戦略等の策定,マーケティングを行う際に使用し,自社を取り巻くマクロ環境(外部環境)が,現在または将来にどのような影響を与えるか,把握・予測するためのもの手法でである。Politics(政治),Economy(経済),Society(社会),Technology(技術)という 4 つの視点から分析することから,それぞれの頭文字をとり PEST という。

アは購買行動の事例,イはアンゾフの成長マトリクスのうち「製品開発戦略」の事例,ウはアンゾフの成長マトリクスのうち「市場拡大戦略」の事例である。

問12 マルチサイドプラットフォームのビジネスモデル

マルチサイドプラットフォームのビジネスモデルの説明はどれか。

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【答え】

マルチサイドプラットフォームとは,「相互に依存する関係である 2 つ以上のグループを引き合わせるプラットフォーム」のことである。さまざまなニーズをもった複数の顧客がプラットフォームに参加し,顧客間の相互作用を生み出す場である。

例えば,Google は検索プラットフォームを構築して,検索主とあらゆる個人・企業を結びつけている。

問13 SECI モデル

新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得することを,SECI モデルでは,どれに分類するか。

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【答え】

表 SECI モデル
プロセス 説明
共同化
Socialization
組織内の個人,小グループで暗黙知の共有化や,新たな暗黙知を創造すること。 OJT などを通して個人のノウハウを伝達する。
表出化
Externalization
組織内の個人,小グループが有する暗黙知を形式知として明示化すること。 会社のもつノウハウをマニュアル化する。
結合化
(連結化)
Combination
明示化した形式知を組み合わせ,それを基に新たな知識を創造すること マニュアルを組み合わせて新マニュアルを作成する。
内面化
Internalization
新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得すること。 マニュアルに記載された方法を実践し,習得する。

問14 プロダクトイノベーション

プロダクトイノベーションの例として,適切なものはどれか。

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【答え】

プロダクトイノベーションは,革新的な新製品を開発するといった,製品そのものに関する技術革新。

問15 SoE (Systems of Engagement)

企業システムにおける SoE (Systems of Engagement) の説明はどれか。

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【答え】

SOE (System of Engagement) とは,人間と他の人間,組織,物事などの間の結びつき,関与(engagement)を作り出し,あるいは強化するために構築される情報システムで,情報の記録は機能の一部として提供されるが主目的ではない。

問16 生産計画

ある期間の生産計画において,表の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が 5 個,部品 D の在庫残が 25 個あり,他の在庫残,仕掛残,引当残などはないものとする。

レベル 0 レベル 1 レベル 2
品目 数量(個) 品目 数量(個) 品目 数量(個)
製品 A 1 ユニット B 4 部品 D 3
製品 E 1
ユニット C 1 部品 D 1
製品 F 2

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【答え】

製品 A を 10 個生産するとき,ユニット B は 40 個,ユニット C は 10 個必要である。ユニット B には在庫残が 5 個あるので,ユニット B は 35 個,ユニット C は 10 個生産する。

ユニット B を 35 個生産するとき,部品 D は 105 個必要である。また,ユニット C を 10 個生産するとき,部品 D は 10 個必要である。

部品 D は合計 115 (= 105 + 10) 個必要であるが,在庫残が 25 個あるので,部品 D は 90 個生産(正味所要量)する。

問17 サイバーフィジカルシステム(CPS)

インダストリー4.0 の重要な概念であるサイバーフィジカルシステム(CPS)の説明はどれか。

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【答え】

サイバーフィジカルシステム (CPS : Cyber-Physical System) とは,現実空間(フィジカル空間)でセンサーネットワークが生み出す膨大な観測データなどの情報について,サイバー空間の強力なコンピューティング能力と結びつけ数値化し定量的に分析することで,これまでの「経験と勘」に頼ってきた事象を効率化し,より高度な社会を実現するために,「あらゆる社会システムの効率化」「新産業の創出」「知的生産性の向上」などを目指すサービスおよびシステム。

これまで実現できなかった「部分最適」から「全体最適」へ向かうアプローチであり,データの収集,蓄積,解析により得られた解析結果を実世界へフィードバックする一連のサイクルについて社会規模での実現を目指す。

問18 BCM において考慮すべきレジリエンス

BCM (Business Continuity Management) において考慮すべきレジリエンスの説明はどれか。

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【答え】

レジリエンス(レジリエンシー)とは,企業や組織が事業が停止してしまうような事態に直面したときにも,受ける影響の範囲を小さく抑え,通常と同じレベルで製品・サービスを提供し続けられる能力のことを指す。

レジリエンスを確保し高めていくためには,影響を受けないようにする「対応力」と,影響を受けても早期に元通りの状態に戻れるようにする「復旧力」との両面からの対策が必要である。

なお,アは「コアコンピタンス」,イは「BCM の基本方針の一つ」,ウは「BCP (Business Continuity Plan : 事業継続計画)」の説明である。

問19 問題解決

問題解決に当たって,現実にとらわれることなく理想的なシステムを想定した上で,次に,理想との比較から現状の問題点を洗い出し,具体的な改善案を策定する手法はどれか。

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【答え】

ワークデザイン法(Work Design Method)は,アメリカのジェラルド・ナドラー博士によって 1959 年に発表された IE (Industrial Engineering) 技法・問題解決法の一つ。

さまざまな問題解決を図る際に効果的に改善・改革を行うための方法論であり,機能展開と理想システムをキーワードとする。

問20 営業活動によるキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書における,営業活動によるキャッシュフローは何万円か。

単位 百万円
税金等調整前当期純利益 108
減価償却費 42
売上債権の増加額 60
棚卸資産の減少額 30
仕入債務の増加額 40
法人税等の支払額 62

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【答え】

キャッシュフロー計算書は,「営業活動によるキャッシュフロー」,「投資活動によるキャッシュフロー」,「財務活動によるキャッシュフロー」という区分で記載される。

営業活動によるキャッシュフローは,次式で求められる。

108 + 42 - 60 + 30 + 40 - 62 = 98 百万円

問21 会計手続

固定資産について回収可能価額と帳簿価額とを比較し,回収可能価額が帳簿価額を下回る場合,その差額を損失として認識し,当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計手続はどれか。

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【答え】

減損会計(Accounting for Impairment)とは,価値が低下している固定資産の帳簿価額を,実態に合わせて減額する会計処理。資産効率を意識した経営の推進力となる。

問22 フェアユース

フェアユースの説明はどれか。

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【答え】

フェアユース(fair use,公正利用)とは,著作物を構成に利用する場合,著作権者の許諾がなくても,著作権の侵害にあたらないとする考え方。例えば,学校教育,報道,研究,調査などの目的で適正に利用する場合などがこれにあたる。

問23 電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト

総務省及び経済産業省が策定した "電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTEREC 暗号テスト)" を構成する暗号リストの説明のうち,適切なものはどれか。

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【答え】

電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)とは,暗号技術研究会及び関連委員会(CRYPTREC)により安全性及び実装性能が確認された暗号技術について,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断され,当該技術の利用を推奨するもののリスト。

問24 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度管理基準

"政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)管理基準" に関する記述のうち,適切なものはどれか。

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【答え】

政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program : 通称,ISMAP(イスマップ))は,政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより,政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り,もってクラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度です。

問25 情報セキュリティ対策

参加者が毎回変わる 100 名程度の公開セミナにおいて,参加者に対して無線 LAN 接続環境を提供する。参加者の端末以外からのアクセスポイントへの接続を防止するために効果がある情報セキュリティ対策はどれか。

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【答え】

参加者が毎回変わる 100 名程度の公開セミナにおいて,参加者に対して無線 LAN 接続環境を提供する。参加者の端末以外からのアクセスポイントへの接続を防止するために効果がある情報セキュリティ対策は「アクセスポイントがもつ認証機能において,参加者の端末とアクセスポイントとの間で事前に共有する鍵をセミナごとに変更する。」である。

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