令和5年度 春期 午前 Ⅱ 問題の解答と解説

2023年4月21日作成,2023年4月22日更新

試験時間は 10:50 ~ 11:30(40 分)である。

問1 SCOR (Supply Chain Operations Reference model)

SCOR (Supply Chain Operations Reference model) で定義している SCM に関する実行プロセスのうち,自社にとっての Source に当たるものは。

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【答え】

SCM (Supply Chain Management) は,資材調達から製品販売までの全体の流れ(サプライチェーン)を企業や組織を超えて管理し,情報を共有化して,商品供給全体の効率化と最適化を図る手法である。

問2 プロビジョニング

クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングの説明はどれか。

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【答え】

プロビジョニング(provisioning)とは,設備やサービスに新たな利用申請や需要が生じた際に,資源の割り当てや設定などを行い,利用や運用が可能な状態にすること。対象や分野によってサーバプロビジョニング,ユーザープロビジョニング,サービスプロビジョニングなどがある。

クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングは,利用者の需要を予想し,ネットワーク設備やシステムリソースなどを計画的に調達して強化し,利用者の要求に応じたサービスを提供できるように備えることである。

問3 分析手法

多数の被験者の検診データから,説明変数である年齢,飲酒の頻度及び喫煙本数が,目的変数であるガンの発症の有無に及ぼす影響を統計的に分析した上で,ある人の年齢,飲酒の頻度及び喫煙本数から,その人のガンの発症確率を推定するモデルを構築した。このとき用いられる分析手法はどれか。

検診データのサンプル
年齢 飲酒の頻度(回/週) 喫煙本数(本/週) ガンの発症の有無
50 7 70
40 5 40
55 2 10
45 5 0

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【答え】

ロジスティック回帰分析は,いくつかの要因(説明変数)から 2 値の結果(目的変数)が起こる確率を説明・予測することができる統計手法で,多変量解析の手法の一つである。

  • いくつかの要因(説明変数):飲酒の頻度(回/週),喫煙本数(本/週)
  • 2 値の結果(目的変数):ガンの発症の有無

問4 NPV

スマートフォン向けのアプリケーションプログラムの開発プロジェクト a ~ d において,2 年間の投資効果を NPV で評価する場合,投資効果が最大となるプロジェクトはどれか。ここで,割引率は 10 % とする。

単位 百万円
プロジェクト 初期投資額 1 年目のキャッシュフロー 2 年目のキャッシュフロー
a 7.9 4.40 4.84
b 5.5 3.30 3.63
c 4.3 3.30 2.42
d 6.1 2.20 3.63

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【答え】

スマートフォン向けのアプリケーションプログラムの開発プロジェクト a ~ d において,2 年間の投資効果を NPV で評価する場合,次式となる。

a の投資効果 = -7.9 + 4.40/1.1 + 4.84/1.12 = 0.10
b の投資効果 = -5.5 + 3.30/1.1 + 3.63/1.12 = 0.50
c の投資効果 = -4.3 + 3.30/1.1 + 2.42/1.12 = 0.70
c の投資効果 = -6.1 + 2.20/1.1 + 3.63/1.12 = -1.10

問5 非機能要件項目

利用者要件のうち,非機能要件項目はどれか。

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【答え】

システム基盤に関わる可用性,性能,拡張性,運用性,保守性,移行性などの項目は,非機能要件項目である。

IPA で公開している「非機能要求グレード」には,以下の 6 つのカテゴリがある。

表 非機能要求グレード
カテゴリ 説明
可用性 システムを継続的に利用可能にするための要求
性能・拡張性 システムの性能と将来のシステム拡張に関する要求
運用・保守性 システムの運用と保守のサービスに関する要求
移行性 現行システム資産の移行に関する要求
セキュリティ 構築する情報システムの安全性の確保に関する要求
システム環境・エコロジー システムの設置環境やエコロジーに関する要求

問6 人口統計的変数

消費者市場のセグメンテーション変数のうち,人口統計的変数はどれか。

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【答え】

セグメンテーションは,市場をニーズや性質に応じて細分化する活動である。

例えば,市場を消費者特性でセグメント化する際,基準となる変数を,地理的変数,人口統計的変数,心理的変数,行動的変数に分類する。

表 消費者特性でのセグメント化
分類 変数
地理的変数 都市規模,人口密度など
人口統計的変数 年齢,性別,職業,家族構成など
心理的変数 性格,価値観,社会階層,パーソナリティ,ライフスタイルなど
行動的変数 購買状況,使用頻度,購買動機,ロイヤリティなど

問7 ブランドエクイティ

ブランド戦略における,ブランドエクイティを説明したものはどれか。

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【答え】

ブランド戦略における,ブランドエクイティは,特定の組織にとって自社のブランドの名前やシンボルと結び付いたブランドの資産の集合であり,製品やサービスの価値を増大させるものである。

問8 エスノグラフィー

マーケティング調査におけるエスノグラフィーの活用事例はどれか。

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【答え】

元来は文化人類学,社会学の用語で,集団や社会の行動様式をフィールドワークによって調査・記録する手法及びその記録文書のことをエスノグラフィー(ethnography)という。近年は商品開発やマーケティングに欠かせない調査手法として注目されている。

マーケティング調査におけるエスノグラフィーの活用事例として,消費行動の現場で観察やインタビューを行い,気付かなかった需要を発掘する。

問9 自社 Web サイトへの流入経路分析を行う目的

自社 Web サイトへの流入経路分析を行う目的に該当するものはどれか。

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【答え】

自社 Web サイトへの流入経路分析を行う目的は,自社が投資したバナー広告や SEO 対策の効果を検証するためである。

問10 サービスプロフィットチェーン

J. L. ヘスケットと W. E. サッサーが提唱したサービスプロフィットチェーンの説明はどれか。

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【答え】

サービスプロフィットチェーン (SPC : Service Profit Chain) とは,従業員満足,顧客満足の企業の利益の因果関係を示したフレームワークである。

問11 継続的改善サイクル

図は,シックスシグマの基本となる日常業務の効率や品質の向上を目指す継続的改善サイクルである。このサイクルの c に該当するフェーズはどれか。ここで,ア ~ エは a ~ d のいずれかに対応する。

シックスシグマの基本となる日常業務の効率や品質の向上を目指す継続的改善サイクル

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【答え】

下図は,シックスシグマの基本となる日常業務の効率や品質の向上を目指す継続的改善サイクルである DMAIC の活動フェーズである。

DMAIC の活動フェーズ
図 DMAIC の活動フェーズ

問12 ダブルビン方式

ダブルビン方式の特徴はどれか。

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【答え】

在庫を 2 つのまとまり A,B に区切っておいて,A の在庫を使い終わった時点で B を使い始め,その間に A を補充するということを A → B → A と交互に行う方式。

管理が簡便でコストが低くおさえられるため単価が安い品目や,ABC 分析の結果で C ランクとされた品目を対象とすることが多い。

ダブルビン方式の特徴は,発注点と発注量が等しく,都度の在庫調査の必要がない。

問13 SECI モデル

SECI モデルにおける,内面化の説明はどれか。

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【答え】

SECI は,知識を創造するナレッジマネジメントの実践フレームワークで,四つの手順を繰り返すことによって,組織的な知識を獲得する。

SECI
図 SECI
  • 共同化:個人の暗黙知を組織の暗黙知とする。
  • 表出化:組織の暗黙知を組織の形式知とする。
  • 結合化:組織の形式知を組み合わせて新たな組織の形式知とする。
  • 内面化:組織の形式知から新たな個人の暗黙知を得る。

問14 技術経営における "魔の川"

技術経営における "魔の川" の説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

魔の川(Devil River)とは,一つの研究開発プロジェクトが基礎的な研究(Research)から出発して,製品化を目指す開発(Development)段階へと進めるかどうかの関門のことである。この関門を乗り越えられずに,単に研究で終わって終結を迎えるプロジェクトも実際には多い。

魔の川,死の谷,ダーウィンの海という技術経営の 3 つの障壁のイメージを示す。

技術経営の 3 つの障壁
図 技術経営の 3 つの障壁

問15 BIM/CIM

BIM/CIM の説明はどれか。

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【答え】

BIM/CIM は,計画,調査,設計段階から 3 次元モデルを導入することにより,その後の施工,維持管理の各段階においても 3 次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし,一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としています。

最新の ICT を活用して,建設生産システムの計画,調査,設計,施工,管理の各段階において情報を共有することにより,効率的で質の高い建設生産・管理システムを構築します。

それにより,ミスや手戻りの大幅な減少,単純作業の軽減,工程短縮等の施工現場の安全性向上,事業効率及び経済効果に加え,副次的なものとしてよりよいインフラの整備・維持管理による国民生活の向上,建設業界に従事する人のモチベーションアップ,充実感等の心の豊かさの向上が期待されています。

問16 JIT (Just In Time)

JIT (Just In Time) の特徴はどれか。

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【答え】

無駄の原因となる在庫を極力持たず「必要な物を,必要な時に,必要なだけ」生産・供給することで「ムダ,ムラ,ムリ」を徹底的に排除するというトヨタ自動車の生産方式における重要な考え方の 1 つ。各工程は使用した分だけを前工程に発注する。

問17 OT (Operational Technology)

IT との連携が進むとされる OT (Operational Technology) の説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

IT との連携が進むとされる OT (Operational Technology) は,工場やプラント,ビルなどの制御する機器を運用するシステムやその技術である。

問18 ベイズ統計

ベイズ統計の説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

ベイズ統計は,事前分布・事後分布といった確立に関する考え方に基づいて体系化されたものであり,ディープラーニング,迷惑メールフィルタなどに利用されている統計理論である。

問19 活動基準原価計算 (Activity-Based Costing)

活動基準原価計算 (Activity-Based Costing) を導入して実現できることはどれか。

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【答え】

活動基準原価計算 (Activity-Based Costing) を導入して実現できることは,間接費を発生要因と結び付けて把握することである。

問20 事業計画

表の事業計画案に対して,新規設備投資を伴う減価償却費(固定費)の増加 1,000 万円を織り込み,かつ,売上総利益を 3,000 万円とするようにしたい。変動費率に変化がないとすると,売上高の増加を何万円にすればよいか。

単位 万円
売上高 20,000
売上原価 変動費 10,000
固定費 8,000
18,000
売上総利益 2,000
・・・ ・・・

解答と解説

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【答え】

変動費率を求める。

変動費率 = 変動費 / 売上高 = 10,000 / 20,000 = 0.5

売上高の増加を X 万円とすると,題意を満たすには,次式が成り立つ。

20,000 + X - {0.5 × (20,000 + X) + (8,000 + 1,000)} = 3,000

上式を解くと,X = 4,000 万円となる。

問21 連結売上高総利益率

連結売上高総利益率は何 % か。ここで,B 社は A 社の 100 % 子会社で,仕入れは全て親会社からであり,売上は全て親会社以外である。また,期首,期末とも在庫はない。

A 社損益計算書,単位 万円
売上高 4,000
子会社売上高 800
売上原価 3,000
売上総利益 1,800
B 社損益計算書,単位 万円
売上高 1,000
売上原価 800
売上総利益 200

解答と解説

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【答え】

連結売上高は 5,000 万円(= 4,000 + 1,000),売上総利益は 2,000 万円(= 1,800 + 200)であり,連結売上高総利益率は,次式で求められる。

2,000 / 5,000 × 100 = 40 %

問22 資金決済法における暗号資産

資金決済法における暗号資産に関する記述として,適切なものはどれか。

解答と解説

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【答え】

資金決済に関する法律において,暗号資産とは,次に掲げるものと定義されている。

  1. 物品を購入し,若しくは借り受け,又は役務の提供を受ける場合に,これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ,かつ,不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り,本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって,電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
  2. 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって,電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

問23 デジタル署名

送信者 A は,署名生成鍵 X を使って文書ファイルのデジタル署名を生成した。送信者 A から,文書ファイルとその文書ファイルのデジタル署名を受信者 B が受信したとき,受信者 B ができることはどれか。ここで,受信者 B は署名生成鍵 X と対をなす,署名検証鍵 Y を保有しており,受信者 B と第三者は署名生成鍵 X を知らないものとする。

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【答え】

デジタル署名 (digital signature) とは,文書やメッセージなどのデータの真正性を証明するために付加される,短い暗号データ。作成者を証明し,改竄やすり替えが行われていないことを保証する。欧米で紙の文書に記されるサイン(signature)に似た働きをするためこのように呼ばれる。

問24 共通鍵暗号方式

暗号技術のうち,共通鍵暗号方式のものはどれか。

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【答え】

共通鍵暗号 (shared key cryptosystem) とは,暗号化と復号に同じ暗号鍵を用いる暗号方式。暗号文の送信者と受信者で同じ鍵を共有する必要があり,あらかじめ安全な経路で鍵を共有しなければならない。

代表的な共通鍵暗号方式として,1977 年に米 IBM 社が開発し米政府標準に採用された DES(Data Encryption Standard)や,その後継として 2000 年に米政府標準となった AES(Advanced Encryption Standard / 暗号アルゴリズムとしては Rijndael),ストリーム暗号の標準的な方式として広く普及している RC4(ARCFOUR)などがよく知られる。

問25 非合法な手段を使わずに入手できる公開情報

サイバー攻撃に関する脅威に対処するために,非合法な手段を使わずに入手できる公開情報について,収集,分析及び活用が進んでいる。公開情報を収集,分析し,得られる知見,若しくは知見を得るために公開情報を収集,分析する活動,方法などを指すものはどれか。

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【答え】

OSINT は Open Source Intelligence の略であり,一般に公開されている情報源からアクセス可能なデータを収集,分析,決定する諜報活動の一種である。米国国防総省(DoD)によって,「特定の情報要件に対処する目的で,一般に入手可能な情報を収集し,利用し,適切な対象者に適時に普及させた情報」と定義されている。

  • IoC (Indicator of Compromise) とは,システムがサイバー攻撃を受けた際に残る様々な指標のこと。日本語では「侵害指標」や「セキュリティ侵害インジケーター」と呼ばれる。例えば,マルウェアのファイル名,攻撃時に通信先となった IP アドレスなど,「攻撃された後に残る痕跡」の情報が IoC として記録される。
  • SIEM (Security Information and Event Management) とは,ファイアウォールや IDS/IPS,プロキシなどから出力されるログやデータを一元的に集約し,それらのデータを組み合わせて相関分析を行うことにより,ネットワークの監視やサイバー攻撃やマルウェア感染などのインシデントを検知することを目的とした仕組みである。
  • TTP (Tactics, Techniques, and Procedures) は,サイバー攻撃者の振る舞いである戦術・技術・手順の総称である。米国国立標準技術研究所(NIST)は,戦術・技術・手順を,前者から後者にかけてより詳細かつ具体的になっていく振る舞いと定義している。
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