平成21年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問題の解答と解説

2022年11月25日作成,2023年4月15日更新

試験時間は 10:50 ~ 11:30(40 分)である。

問1 UML のアクティビティ図

UML のアクティビティ図の特徴はどれか。

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問1 の解答と解説

【答え】

UML のアクティビティ図は,業務や処理の流れを表現する。

参考文献

問2 階層化された DFD

図は,階層化された DFD における,あるレベルの DFD の一部である。プロセス 1 を子プロセスに分割して詳細化した DFD のうち,適切なものはどれか。ここで,プロセス 1 の子プロセスは,プロセス 1-1,1-2 及び 1-3 と表す。

階層化された DFD における,あるレベルの DFD の一部
  1. 選択肢ア
  2. 選択肢イ
  3. 選択肢ウ
  4. 選択肢エ
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【答え】

DFD(Data Flow Diagram,データフロー図)とは、情報システムの設計時などに作成される図の一つで、要素間のデータの流れを表した図。データがどこで発生し、どこからどこへ運ばれ、どこへ出力・保管されるのかを図示することができる。DFD では,処理・プロセス(〇),データの吸収先(□),データの流れ(→),データストア(=)の 4 つの記号を用いて対象業務のモデル化を行う。

DFD において,一つのプロセスを複数の子プロセスに詳細化する場合,プロセスに入るデータフローの数とプロセスから出るデータフローの数は,詳細化の前後でそれぞれ同じでなければならない。

提示された DFD では,プロセス 1 に入るデータフローは 2 本であり,プロセス 1 から出るデータフローも 2 本である。これを詳細化したものであるから,プロセス 1-1 とプロセス 1-2 とプロセス 1-3 に対して,入るデータフローが合計 2 本,出るデータフローが合計 2 本である。

ア)分割後のプロセス 1-1 から入るデータフローが 1 本だけなので誤り。

ウ)分割後のデータフロー 1-3 から出るデータフローが 1 本だけで,プロセス 1-2 からデータフローが出ていないので誤り。

エ)分割後のプロセス 1-2 に入るデータフローがないので,分割方法として適切とはいえない。

問3 BPMN

要求分析・設計技法のうち,BPMN の説明はどれか。

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【答え】

BPMN (Business Process Model and Notation) は,業務プロセスの記述を目的に策定された図式表現である。

BPMN
図 BPMN

問4 SQL インジェクション対策

SQL インジェクション対策として実施するものはどれか。

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【答え】

SQL インジェクションを防ぐために,Web アプリケーション内でデータベースへの問合せを作成する際にバインド機構を使用する。

プレースホルダは,SQL 文中のユーザ入力を割り当てる部分に特殊文字(※)を使用したひな形を用意し,後から実際の値を割り当てる機構である。後から割り当てる値は,SQL 文の特殊文字がエスケープされた完全な数値または文字列として扱われるため安全に実行することができる。

※ 特殊文字とは,シングルクォーテーション「'」,バックスラッシュ「\」,セミコロン「;」など

問5 "良いプログラム" がもっている特徴

あるプログラム言語の解説書の中に次の記述がある。この記述中の "良いプログラム" がもっている特徴はどれか。

このプログラム言語では,関数を呼び出すときに引数を保持するためにスタックが使用される。引数で受け渡すデータを,どの関数からでも参照できる共通域に移せば,スタックの使用量を減らすことができるが,"良いプログラム" とはみなされないこともある。

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【答え】

オプションの指定によって,引数で受け渡すデータをどの関数からでも参照できる共通域に移すと,プログラムの一部(関数)を変更したとき,他の関数への影響が懸念される。

問6 モジュール強度

モジュール設計書を基にモジュール強度を評価した。適切な評価はどれか。

[モジュール設計書(抜粋)]

上位モジュールから渡される処理コードに対応した処理をする。処理コードが "1" のときは挿入処理,処理コードが "U" のときは更新処理,処理コードが "D" のときは削除処理である。

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【答え】

論理的強度とは,機能を定義することができない(何を行うモジュールであるかがあいまいである),構成要素間に特定の関係がない(お互い無関係に近い)状態である。

参考文献

問7 ブラックボックステストのテストデータの作成方法

ブラックボックステストのテストデータの作成方法のうち,最も適切なものはどれか。

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【答え】

ブラックボックステストは,プログラムの外部仕様に注目してテストケースを設計する。ブラックボックステストには,同値分割,限界値分析,実験計画法がある。

同値分割
入力データを同値クラスに分割し,代表値をテストする。
限界値分析
同値クラスの境界値をテストする。
実験計画法
テストケースの有効な組合せを抽出する。

問8 プログラムテスト仕様書の作成手順

プログラムテスト仕様書の作成手順として,作業項目を適切な順序に並べたものはどれか。

  1. テスト環境,テスト方法などのプログラムテストに関する概要を記述する。
  2. テストケースごとのテストデータの作成と予想結果の作成を行う。
  3. テスト項目を全て列挙する。
  4. テスト効率を上げるために,適切なテストケースを設定する。
  5. テストを実行するときの個々の詳細な手順を設定する。
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【答え】

プログラムテストは,一般的に,① テスト計画の策定,② テスト項目とテストケースの設定,③ テストデータの作成,④ テストの実施,⑤ テスト結果の評価の順で行われる。

挙げられた a から e の作業項目は,それぞれ,① では a を行い,② では d,c の順で行う。③ では b を行い,④ では e を行う。

問9 全数検査

製品を出荷前に全数検査することによって,出荷後の故障数を減少させ,修理費用を低減させたい。次の条件で全数検査を行ったときに低減させられる費用は何万円か。ここで,検査時に故障が発見された製品は修理して出荷するものとする。

[条件]
  1. 製造する個数:500 個
  2. 全数検査を実施しなかった場合の,出荷個数に対する故障率:3 %
  3. 全数検査で発見される製造個数に対する故障率:2 %
  4. 全数検査を実施した場合の出荷個数に対する故障率:1 %
  5. 検査費用:1 万円/個
  6. 出荷以前の故障修理費用:50 万円/個
  7. 出荷後の故障修理費用:200 万円/個
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【答え】

全数検査を実施しなかった場合,出荷後の故障品の修理費用のみが発生し,その費用は次式で求められる。

500 個 × 3 % × 200 万円/個 = 3,000 万円

全数検査を実施した場合,検査費用,出荷前の故障品の修理費用,出荷後の故障品の修理費用が発生し,その費用は次式で求められる。

500 個 × 1 万円/個 + 500 個 × 2 % × 50 万円/個 + 500 個 × 1 % × 200 万円/個 = 2,000 万円

よって,低減できる費用は 1,000 万円である。

問10 特許権

開発した製品で利用している新規技術に関して特許の出願を行った。日本において特許権の取得が可能なものはどれか。

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【答え】

特許法では発明の実施を,生産,使用,譲渡等,輸出,輸入又は譲渡等の申出をする行為と定義している。よって,特許を使用した製品を輸出する場合は特許権者から実施許諾を受けなければならない。

特許権の存続期間は出願日から 20 年,存続期間延長登録制度を利用しても最長 5 年しか延長できないので,出願日から 25 年を超えた特許は特許権者から実施許諾を受ける必要はない。

問11 情報システムのアウトソーシング

情報システムのアウトソーシングを説明したものはどれか。

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【答え】

アウトソーシングとは,企業が業務の一部を別の企業などに委託すること。外注,外製,外部委託,業務委託,社外調達などもほぼ同義。自社で人員を確保するのが困難な高度に専門的な業務や,専業の事業者の方が低コストで処理できるような業務で行われることが多い。

情報システムのアウトソーシングとは,外部の企業に,情報システムの開発,運用,保守などに関するすべて又は一部の業務を委託することである。

問12 システム化計画の立案よりも後のプロセスで実施するもの

共通フレーム 2007 によれば,システム化計画の立案よりも後のプロセスで実施するものはどれか。

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【答え】

共通フレーム 2007 によれば,システム化計画の立案よりも後のプロセスでシステム化の対象となる業務要件の定義作業を実施する。

問13 企画プロセスの目的

ソフトウェアライフサイクルを,企画,要件定義,開発,運用,保守のプロセスに区分したとき,企画プロセスの目的はどれか。

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【答え】

ソフトウェアライフサイクルの企画プロセスの目的は,事業の目的,目標を達成するために必要なシステムに関連する要求事項の集合とシステム化の方針,及び,システムを実現するための実施計画を得る。

問14 非機能要件

受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。

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【答え】

受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものは,受注管理システムの稼働率を決められた水準に維持するために,障害発生時は半日以内に回復できることである。

参考文献

問15 企画業務の段階で策定すべきもの

"システム管理基準" によれば,企画業務の段階で策定すべきものはどれか。

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【答え】

"システム管理基準" によれば,企画業務の段階で,関連するほかの情報システムと役割を分担し,組織体として最大の効果を上げる機能を実現するために,全体最適化計画との整合性を考慮して策定する開発計画を策定する。

問16 システムの機能要件定義

システムの機能要件を定義する上で,前提となる要件定義作業はどれか。

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【答え】

システムの機能要件を定義する上で,前提となる要件定義作業は,利害関係者からのニーズを整理し,新しい業務の在り方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を明らかにすることである。

問17 契約に関する書類

請書を渡すと契約が成立する書類はどれか。

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【答え】

注文書に対して請書を渡すと契約が成立する。

問18 品質機能展開

製品開発の際に用いられ,表の行に目的とする品質を,列に直接管理可能な要素を記入した 2 元表を用い,互いの関係付けから重要性の高い品質要素は何かを明らかにする手法はどれか。

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問18 の解答と解説

【答え】

品質機能展開は,製品開発の際に用いられ,表の行に目的とする品質を,列に直接管理可能な要素を記入した 2 元表を用い,互いの関係付けから重要性の高い品質要素は何かを明らかにする手法である。

問19 EA のビジネスアーキテクチャで DFD を作成する目的

経済産業省によれば,エンタープライズアーキテクチャ(EA)のビジネスアーキテクチャで機能情報関連図(DFD)を作成する目的はどれか。

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【答え】

エンタープライズアーキテクチャ(EA)のビジネスアーキテクチャで機能情報関連図(DFD)を作成する目的は,業務・システムの機能と情報の流れを明確にするためである。

問20 BI (Business Intelligence)

BI (Business Intelligence) を説明したものはどれか。

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【答え】

BI (Business Intelligence) とは,企業内の膨大なデータを蓄積し,分類・加工・分析をすることで,企業の迅速な意思決定に活用しようとする手法である。

問21 シリアル ATA

シリアル ATA の説明として,適切なものはどれか。

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【答え】

シリアル ATA (Serial ATA) とは,コンピュータとハードディスクや光学ドライブなどの記憶装置を接続する IDE(ATA)規格の拡張仕様の一つ。従来の ATA 仕様の後継仕様で,2000年11月に業界団体「Serial ATA Working Group」によって仕様の策定が行われた。同グループにはコンピュータメーカや記憶装置メーカの大手が参加している。

問22 マルチプロセッサの性能

1 台の CPU の性能を 1 とするとき,その CPU を $n$ 台用いたマルチプロセッサの性能 $P$ が,

\[ P=\frac{n}{1+(n-1)a} \]

で表されるとする。ここで,$a$ はオーバヘッドを表す定数である。例えば,$a=0.1$,$n=4$ とすると,$P\ne 3$ なので,4 台の CPU から成るマルチプロセッサの性能は約 3 になる。この式で表されるマルチプロセッサの性能には上限があり,$n$ を幾ら大きくしても $P$ はある値以上に大きくならない。$a=0.1$ の場合,$P$ の上限は幾らか。

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【答え】

与えられた数式の $n$ を無限大に接近させる極限値を計算する。

\[ \lim_{n\to \infty}{\frac{n}{1+(n-1)a}} \] \[ \lim_{n\to \infty}{\frac{n}{an+1-a}} \] \[ \lim_{n\to \infty}{\frac{1}{a+\frac{1-a}{n}}}=\frac{1}{a} \]

よって,$a=0.1$ の場合,$n$ をいくら大きくしても性能 $P$ は 10 以上にはならない。

$a=0.1$ の場合,CPU 台数 $n$ とマルチプロセッサの性能 $P$ との関係を下図に示す。

CPU 台数とマルチプロセッサの性能との関係
参考文献

問23 SQL 文

"納品" 表と "顧客" 表を自然結合する SQL 文はどれか。

納品
顧客番号 商品番号 納品数量
顧客
顧客番号 顧客名
  1. SELECT
    	FROM 納品,顧客
    	WHERE 納品.顧客番号 = 顧客.顧客番号
  2. SELECT 顧客.顧客番号,納品.商品番号,納品.納品数量,顧客.顧客名
    	FROM 納品,顧客
    	WHERE 納品.顧客番号 <> 顧客.顧客番号
  3. SELECT 納品.顧客番号,納品.商品番号,納品.納品番号
    	FROM 納品
    	WHERE 納品.顧客番号 IN (SELECT 顧客番号 FROM 顧客)
  4. SELECT 納品.顧客番号,納品.商品番号,納品.納品数量,顧客.顧客名
    	FROM 納品,顧客
    	WHERE 納品.顧客番号 = 顧客.顧客番号
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問23 の解答と解説

【答え】

テーブルの結合を使用すると,複数のテーブルから関連するデータを取得して,同時に表示させることができる。

選択肢エの SQL 文では,"納品" 表と "顧客" 表を結合し,顧客番号,商品番号,納品数量,顧客名のリストが取得できる。

問24 MAC アドレスを取得するために用いるプロトコル

IP アドレスから MAC アドレスを取得するために用いるプロトコルはどれか。

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【答え】

ARP(Address Resolution Protocol)とは,IP アドレスから MAC アドレスを得るためのプロトコルである。IP アドレスから MAC アドレスを得る手順を以下に示す。

  1. 要求パケットに送信元の IP アドレス・MAC アドレスと通信相手の IP アドレスの情報を格納して、Ethernet ネットワークにブロードキャストする。
  2. 要求パケットを受け取った各ノードは、自分の IP アドレスと同一であれば、自分の MAC アドレスを送信元に伝える。

RARP (Reverse Address Resolution Protocol) とは,Ethernet の MAC アドレスから IP アドレスの情報を得ることのできるプロトコルである。ARP とは逆の動きのこのプロトコルは,現在ほぼ使用されていない。

問25 パケットフィルタリング型ファイアウォール

パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。

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問25 の解答と解説

【答え】

パケットフィルタリング型ファイアウォールでは,通信パケットの通過を許可するかどうかを判断するとき,送信元と宛先の IP アドレスとポート番号を用いる。パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,外部に公開していないサーバへのアクセスを防げる。

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