平成22年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問題の解答と解説

2022年11月23日作成,2023年4月15日更新

試験時間は 10:50 ~ 11:30(40 分)である。

問1 在庫管理業務を分析した DFD

在庫管理業務を分析した DFD の中の a,b に入る語句の適切な組合せはどれか。

在庫管理業務を分析した DFD
a b
欠品確認 在庫引当
検査 入庫
納期確認 入庫
与信限度確認 在庫引当
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問1 の解答と解説

【答え】

DFD(Data Flow Diagram,データフロー図)とは、情報システムの設計時などに作成される図の一つで、要素間のデータの流れを表した図。データがどこで発生し、どこからどこへ運ばれ、どこへ出力・保管されるのかを図示することができる。DFD では,処理・プロセス(〇),データの吸収先(□),データの流れ(→),データストア(=)の 4 つの記号を用いて対象業務のモデル化を行う。

a は検査プロセス,b は入庫プロセスである。

問2 DFD 作成の手順

新システムのモデル化を行う場合の DFD 作成の手順として,適切なものはどれか。

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問2 の解答と解説

【答え】

物理モデルには,システムや業務の現状を表す現物理モデルと,将来の状態を表す新物理モデルに分類できる。同様に,論理モデルも,現物理モデルと新物理モデルに分類できる。各モデルの関係は,下図のようになる。

物理モデルと論理モデル
図 物理モデルと論理モデル
参考文献

問3 帳票出力ストラテジクラス

デザインパターンの中のストラテジパターンを用いて,帳票出力のクラスを図のとおりに設計した。この帳票出力ストラテジクラスの説明のうち,適切なものはどれか。

帳票出力ストラテジクラス
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問3 の解答と解説

【答え】

ストラテジパターン(Strategy パターン)はデザインパターンの一つで,アルゴリズムだけを切り出して別クラスとして作成したものである。したがって,新規フォーマット用のアルゴリズムが追加しやすい。

ア)クライアントが,それぞれのフォーマットに対応した帳票出力ストラテジクラスを意識する必要がある。

ウ,エ)フォーマットと帳票出力アルゴリズムは,PDF 帳票出力ストラテジおよび HTML 帳票出力ストラテジに記述する。

問4 オブジェクト間の代表的な関係

オブジェクト指向におけるオブジェクト間の代表的な関係には,is-a と part-of の二つがある。表に示すオブジェクト間の関係の組合せのうち,適切なものはどれか。

オブジェクト間の関係
タイヤと自動車 人間と動物 辞書と書物
is-a part-of is-a
is-a part-of part-of
part-of is-a is-a
part-of is-a part-of
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問4 の解答と解説

【答え】

is-a(汎化-特化)関係

「動物-犬」や「家電-テレビ」などのように「…は、○○である」で表される関係。

  • 人間は,動物である
  • 辞書は,書物である
is-a(汎化-特化)関係
図 is-a(汎化-特化)関係
part-of(集約-分解)関係

「コンピュータ-CPU」や「自転車-サドル」などのように「…は、○○の一部である」で表される関係。

  • タイヤは,自動車の一部である
part-of(集約-分解)関係
図 part-of(集約-分解)関係

「タイヤと自動車」は part-of,「人間と動物」および「辞書と書物」は is-a の関係である。

問5 モジュール分割技法

プログラムの構造化設計におけるモジュール分割技法の説明のうち,適切なものはどれか。

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【答え】

STS 分割は,データの流れに着目してモジュールを分割する,モジュール分割技法である。入力データや出力データであることを認識できなくなる点を最大抽象点といい,この最大抽象点で,源泉(Source),変換(Transform),吸収(Sink)の三つのモジュールに分割する。さらに,それぞれのモジュールを階層化して,全体の制御モジュールを最上位に設けたモジュール階層構造図を作成する。

イ)TR 分割では,トランザクションの処理の流れに着目して,モジュールに分割する。

ウ)共通機能分割では,プログラムの機能の共通性に着目して,モジュールに分割する。

エ)ジャクソン法では,データの構造に着目して,モジュールに分割する。

問6 オブジェクト指向の概念

オブジェクト指向の概念で,上位のクラスのデータやメソッドを下位のクラスで利用できる性質を何というか。

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【答え】

上位のクラスのデータやメソッドを下位のクラスで利用できる性質のことを,インヘリタンス(継承)という。

カプセル化
データとメソッドを一体化させて,情報を隠ぺいし,オブジェクトを実現する技術のこと。カプセル化により,外部インタフェース以外にオブジェクトが認識できなくなり,オブジェクトの外部からの独立性が向上する。
多相性
オブジェクト固有のメソッドはそのオブジェクトに持たせ,共通のメッセージをインタフェースにして,オブジェクトごとに異なる振る舞いをする特性のこと。ポリモーフィズムともいう。
抽象化
同種類をひとまとめにして上位の概念を作ること。特に,複数のクラスが持つ共通の性質に着目して上位のクラスを作ることを汎化という。

問7 プログラムのテスト

プログラムのテストに関する記述のうち,適切なものはどれか。

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【答え】

静的テストとは,ソースコードを検査の対象とするもので,プログラムを実行せずにテストする手法である。コードオーディッタなどを用いたコード検査や,プログラム解析ツールやモジュールインタフェースチェックツールなどを用いた静的解析がこれに該当する。静的テストに対して,テストデータを用意してプログラムを実行してテストする手法を動的テストという。

イは結合テスト,ウはボトムアップテスト,エはホワイトボックステストに関する記述である。

問8 同値分割法によるテスト

三つの整数型の入力データ A,B,C が,A ≥ 15 かつ B ≥ 10 かつ C ≥ 5 のときだけ入力データを処理する仕様のプログラムを,同値分割法によってテストする。このときの最少のデータの組合せとして適切なものはどれか。ここで,(x, y, z ) は,入力データ A の値が x,B の値が y,C の値が z であることを表すものとする。

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【答え】

同値分割法では,入力条件の仕様をもとに,入力領域の正常処理を行う「有効同値クラス」と異常処理を行う「無効同値クラス」に分割する。

問題では,入力データ A,B,C は整数で与えられ,A ≥ 15 かつ B ≥ 10 かつ C ≥ 5 の場合は「有効同値クラス」,それ以外は「無効同値クラス」と分類できる。

選択肢ウでは,「有効同値クラス」の代表値として (20, 15, 10) を選択している。一方,「無効同値クラス」からの代表値として,A < 15,B < 10,C < 5 のいずれかが成立する場合を考えた (0, 15, 10),(20, 0, 10),(20, 15, 0) を選択している。よって,最少のデータの組合せとして適切である。

問9 直交表を用いたテストケースの作成

受注処理の入力データをチェックするプログラムを,実験計画法に基づいてテストする。直交表を用いてテストケースを作成する場合,テストケースの a ~ c の組合せとして,適切なものはどれか。

テストの仕様
入力項目 テストの内容
得意先コード 入力されたコードが得意先 DB に存在するか否かを,正しく判断できるか。
商品コード 入力されたコードが商品 DB に存在するか否かを,正しく判断できるか。
受注数量 入力された数量が数字だけか,又は数字以外の文字も含むかを,正しく判断できるか。
直交表
行番号 列番号 1 2 3
1 0 0 0
2 0 1 1
3 1 0 1
4 1 1 0
テストケース
行 列 得意先コード 商品コード 受注数量
1 存在しない 存在しない 数字以外の文字も含む
2 存在しない 存在する 数字だけ
3 存在する 存在しない 数字だけ
4 a b c
テストケースの組合せ
a b c
存在しない 存在しない 数字だけ
存在しない 存在する 数字以外の文字も含む
存在する 存在しない 数字以外の文字も含む
存在する 存在する 数字以外の文字も含む
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問9 の解答と解説

【答え】

直交表より行番号 4 のテストケースでは,得意先コードは存在する,商品コードは存在する,受注数量は数字以外の文字も含む,となる。

問10 テスト支援ツール

プログラムの動的テストに用いられるテスト支援ツールはどれか。

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【答え】

プロゴラムを実行せずに行うテストを静的テストといい,プログラムを実行させて行うテストを動的テストという。記号実行ツール,コードオーディタ,図式生成ツールは静的テスト支援ツールであり,ガバレージモニタは動的テスト支援ツールに該当する。

カバレージモニタ
テスト対象となる全経路のうち,どの程度(何パーセント)テストしたかを計測する動的テスト支援ツールである。テストの進捗度合いを評価するために使用される。
記号実行ツール
テストデータとしての実行データではなく,記号化した形式のデータで代用することによってプログラムの実行シミュレーションを行う静的テスト支援ツール
コードオーディタ
プログラミング規約を設定し,その規約に違反していないかを自動検査するコード検査ツールである。
プログラム図式生成ツール
変数は変数のままで実行経路を静的に解析する方法

問11 流れ図

次の流れ図において,

① → ② → ③ → ⑤ → ② → ③ → ④ → ② → ⑥

の順に実行させるために,① において m と n に与えるべき初期値 a と b の関係はどれか。ここで,a,b はともに正の整数とする。

流れ図
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問11 の解答と解説

【答え】

まず,① → ② → ③ → ⑤ により,n = n - m となる。

次に,② → ③ → ④ により,m = 2m - n となる。

最後に,② → ⑥ であり,次式が成り立つ。

2m - n = n - m

よって,3m = 2n が成り立ち,① において m と n に与えるべき初期値 a と b の関係は 3a = 2b である。

別解

実行順に確認していく。

① a →m, b → n
② a ≠ b
③ a < b
⑤ b - a → b
② a ≠ b - a
③ a > b - a
④ a - (b - a) = 2a - b → a
② 2a - b = b - a

よって,3a = 2b であることがわかる。

問12 システム結合テストの評価で考慮すべき基準

共通フレーム 2007 において,システム結合テストの評価で考慮すべき基準となっているものはどれか。

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【答え】

システム結合プロセスは,システム設計及びシステム要件に表現された顧客の期待を満たす完全なシステムを作り出すためにシステム要素(ソフトウェア構成品目,ハードウェア構成品目,手作業及び必要に応じて他のシステム)を結合することを目的とする。

共通フレーム 2007 において,システム結合テストの評価で考慮すべき基準は,システム要件とテスト網羅性である。

問13 構成管理ツール

構成管理ツールを使用して開発用のソースコードを取得する際に,リポジトリ上の位置やリビジョンなどの構成情報を保持したままでソースコードを入手したい。このとき,構成管理ツールに対して行う操作はどれか。

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問13 の解答と解説

【答え】

ある品目に変更の必要が生じた際に,関係する品目の変更を漏れなく行うために,構成管理ツールを使って,品目の依存関係やバージョンを管理する。

構成管理ツールにおいて,構成品目を管理するデータベースをリポジトリという。リポジトリへの操作には次表のようなものがある。

表 リポジトリへの操作
チェックアウト 構成情報を保持したままソースコードをリポジトリから取り出す操作
インポート 新規作成したソースコードをリポジトリに登録する操作
エクスポート 構成情報を持たない状態でソースコードをリポジトリから取り出す操作
チェックイン(コミット) 変更したソースコードをリポジトリに戻す操作

問14 投資効果を評価する指標

情報システムの導入に伴って変化するキャッシュフローの現在価値を計算することで,投資効果を評価する指標はどれか。

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【答え】

NPV(Net Present Value : 正味現在価値)法は,投資効果を“投資から得られるキャッシュフローの現在価値”の合計で評価する方法である。

キャッシュフローの現在価値の算出には,DCF(Discounted Cash Flow : 割引現金収入価値)法を用いることがある。DCF 法は $t$ 年後の年間キャッシュフローを $C_\text{t}$ とすると,割引率を $r$ とした複利計算で表される。

初期投資額を $I$,想定期間を $n$ 年間とすると,NPV は次の式で表される。

\[ \text{NPV} = \sum_{t=1}^{n}{\frac{C_\text{t}}{(1+r)^n}}-I \]

問15 E-R モデル

情報システムの全体計画立案のために E-R モデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。

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問15 の解答と解説

【答え】

E-R モデルは,現実世界で扱う情報を抽象化して,エンティティ(実体)とリレーションシップ(関連)の二つの要素を用いて表現したものである。

E-R モデルを用いて全社レベルのデータモデルを作成する場合,まず,企業の全体像を把握するために基本的なエンティティを抽出し,それらの相互関係を表す E-R モデルを作成する。次に,業務レベルのエンティティ,正規化のためのエンティティといった具合に,エンティティをトップダウンで詳細化していき,すべてのリレーションを表現した全社のデータモデルを作成する。

問16 システム管理基準

"システム管理基準" によれば,企画業務で立案する開発計画で明確にすべきものはどれか。

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問16 の解答と解説

【答え】

企画業務で立案する開発計画で明確にすべきものは,ユーザ部門及び情報システム部門の役割分担である。

問17 UML の活用シーン

業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。

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問17 の解答と解説

【答え】

UML (Unified Modeling Language) は,モデル化において最も広く用いられる図式表現である。オブジェクトモデリングのために標準化された記述ツールであるが,現在では業務プロセスの分析など幅広く利用されている。

参考文献

問18 スーパコンピュータの特徴

スーパコンピュータの特徴として,適切なものはどれか。

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問18 の解答と解説

【答え】

スーパコンピュータ (supercomputer) とは,大規模な科学技術計算などを行うために構築された超高性能コンピュータシステム。その時点での最先端の技術や製品を結集して開発され,価格も性能も他のコンピュータとは比べ物にならないほど高い。

問19 ロードバランサが定期的に行っているアプリケーションレベルの稼働監視

Web システムにおいて,ロードバランサ(負荷分散装置)が定期的に行っているアプリケーションレベルの稼働監視に関する記述として,最も適切なものはどれか。

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問19 の解答と解説

【答え】

ロードバランサ(負荷分散装置)が行うアプリケーションレベルの稼働監視は,Web サーバが活動しているかどうかだけでなく,正常に動いているかどうかも含めたところまでの監視となる。したがって,Web サーバの特定の URL にアクセスして,結果の妥当性を確認するところまでが含まれる。

アは OS レベル,ウはトランスポートレベル,エはネットワークレベルの稼働監視に該当する。

問20 フェールソフト

フェールソフトの説明として,適切なものはどれか。

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問20 の解答と解説

【答え】

フェイルソフト (fail soft) とは,機器やシステムの設計などについての考え方の一つで,事故や故障が発生した際に,問題の個所を切り離すなどして被害の拡大を防ぎ,全体を止めることなく残りの部分で運転を継続すること。

問21 概念データモデルの解釈

概念データモデルの解釈として,適切なものはどれか。ここで,モデルの表記には UML を用いる。

概念データモデルの解釈
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問21 の解答と解説

【答え】

問22 商品の販売状況分析

商品の販売状況分析を商品軸,販売チャネル軸,時間軸,顧客タイプ軸で行う。データ集計の観点を,商品,販売チャネルごとから,商品,顧客タイプごとに切り替える操作はどれか。

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問22 の解答と解説

【答え】

OLAP とは,"Online Analytical Processing" の頭文字を取った略語で,日本語では「オンライン分析処理」または「多次元分析」と訳される。

OLAP による多次元分析は,例えば商品の販売状況分析を商品軸,販売軸,時間軸,顧客タイプ軸で行う。データ集計の観点を,商品,販売チャネルごとから,商品,顧客タイプごとに切り替える操作はダイスである。

問23 Bluetooth や IEEE 802.11b 及び IEEE 802.11g の無線 LAN

10 mW/MHz 以下の電力密度であれば無線局の免許が不要であり,Bluetooth や IEEE 802.11b 及び IEEE 802.11g の無線 LAN で使用されている周波数帯はどれか。

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問23 の解答と解説

【答え】

2.4 GHz 周波数帯は,10 mW/MHz 以下の出力であれば無線局の免許なしで利用でき,産業・科学・医学用の機器に用いられていることから,"ISM バンド" (Industry Science Medical band) と呼ばれている。2.4 GHz 周波数帯を使う通信には,IEEE 802.11b および IEEE 802.11g の無線 LAN や Bluetooth,HomeRF(家庭内無線通信)などがある。

13.56 MHz 帯
RFID(無線 IC チップ)を用いた自動車生産ライン,図書館蔵書管理,博物館所蔵品管理,航空手荷物管理などに使われる周波数帯
950 MHz 帯
RFID タグを用いた倉庫の出入庫管理などに使われる周波数帯
5.2 GHz 帯
IEEE 802.11a の無線 LAN に使われる周波数帯。2.4 GHz の無線 LAN と比べると伝送距離が短く障害物の影響を受けやすいが,伝送できる情報量が非常に大きく,ノイズに強い。

問24 CSMA/CD 方式

CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

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【答え】

CSMA/CD 方式(搬送波感知多重アクセス / 衝突検出方式)は,一本の同軸ケーブルに複数のコンピュータが接続されているバス型のトポロジを前提としており,次のような手順で送信が行われる。

  1. 伝送路上に他のノードからフレームが送出されていないかを確認する
  2. 複数のクライアントは同じ回線を共用し、他者が通信をしていなければ自分の通信を開始する
  3. 複数の通信が同時に行われた場合は衝突を検出し、送信を中止してランダム時間待ってから再び送信をする

CSMA/CD は、伝送路上の通信量が増加するにつれて衝突の発生も増加し、さらに再送が増え通信量が増えてしまうという欠点がある。一般に CSMA/CD 方式では、伝送路の使用率が 30 % を超えると急激に送信遅延時間が長くなってしまい実用的ではなくなると言われている。

問25 ディジタル署名

ディジタル署名を利用する目的として,適切なものはどれか。

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【答え】

ディジタル署名では,送信者が送信者の秘密鍵を用いて暗号化を行い,送信者本人しか作成できないデータ(署名)を作成する。受信者は,送信者の公開鍵を使ってそれを復号する。もし,受信者が正しく復号できたのであれば,それは送信者本人のみが所有するカギによって暗号化されたことを証明することになり,受信者が送信者を確認することができる。ただし,公開鍵自体が第三者のなりすましによって受信者に渡されるというセキュリティリスクがあり,信頼できる第三者が公開鍵の正当性(正当な送信者が生成した公開鍵であること)を証明する PKI (Public Key Infrastructure) の仕組みを利用する必要がある。なお,認証子としてメッセージダイジェスト(送信平文を MD5 などで圧縮した認証子のこと)を使用すると,送信者の確認と平文改ざんの有無を同時に識別することができる。

ア)暗号文を元のメッセージに戻すのは復号であり,復号鍵を使用する。

イ)メッセージに付加するのは,固定文字列だけではなく,メッセージを圧縮し暗号化したメッセージダイジェストである。また,ディジタル署名では改ざんの有無は検出できるが,改ざんの部位は特定できない。

エ)署名用の鍵ではなく暗号化鍵を使用して行う,メッセージの暗号化に関する記述である。

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