[徹底解説]接触防護措置と簡易接触防護措置
要旨
- 接触防護措置とは,設備に人が接触しないように講じる措置
- 簡易接触防護措置とは,設備に人が容易に接触しないように講じる措置
電気設備の技術基準の解釈
電気設備の技術基準の解釈の用語の定義において,接触防護措置と簡易接触防護措置は,それぞれ次のように定義されている。
接触防護措置
次のいずれかに適合するように施設することをいう。
- 設備を,屋内にあっては床上 2.3 m 以上,屋外にあっては地表上 2.5 m 以上の高さに,かつ,人が通る場所から手を伸ばしてもふれることのない範囲に施設すること。
- 設備に人が接近又は接触しないよう,さく,へい等を設け,又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
簡易接触防護措置
次のいずれかに適合するように施設することをいう。
- 設備を,屋内にあっては床上 1.8 m 以上,屋外にあっては地表上 2 m 以上の高さに,かつ,人が通る場所から手を伸ばしてもふれることのない範囲に施設すること。
- 設備に人が接近又は接触しないよう,さく,へい等を設け,又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
接触防護措置と簡易接触防護措置について整理すると,下表となる。設備に人が「容易」に接触するかということが,「簡易」であるかの分かれ目のようだ。
防護措置 | 屋内 | 屋外 |
---|---|---|
接触防護措置 | 床上 2.3 m 以上 | 地表上 2.5 m 以上 |
簡易接触防護措置 | 床上 1.8 m 以上 | 地表上 2 m 以上 |
電気設備の技術基準の解釈の解説
電気設備の技術基準の解釈の解説において,接触防護措置と簡易接触防護措置は,それぞれ次のように解説されている。
接触防護措置
接触防護措置とは,設備に人が接触しないように講じる措置であり,イ又はロのいずれかを満足すればよい。
イは,設備を高所に施設して空間的に離隔する場合について規定している。「人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に」と規定しているのは,高所であっても,建物の窓や屋外階段等から手を伸ばして触れることのできるような施設方法では,保安上問題があるからである。
ロは,物理的な防護措置を行う場合を規定しており,代表的な施設例を以下に示す。
- 金属管,合成樹脂管,トラフ,ダクト,金属ボックスなどに収める。
- さく,へい,手すり,壁などを設ける。
- 設備を施設している箇所を立入禁止にする。
防護措置の方法は,設備の施設環境や求められる保安レベルを考慮し,適切な方法とすることが必要である。
なお,この解釈では,イ又はロのどちらでも対応可能な場合にのみ接触防護措置という用語を用いており,電気浴器の施設の場合のように,ロしか選択し得ない場合は,接触防護措置という用語を用いずに,個別の対応方法を記載している。
簡易接触防護措置
簡易接触防護措置とは,設備に人が容易に接触しないように講じる措置であり,考え方は接触防護措置と同様であるが,イについては,接触防護措置よりも高さ等を若干緩やかにしている。
演習問題
令和4年度 上期 午前 第二種電気工事士 筆記試験 問20
電気設備の簡易接触防護措置としての最小の高さの組合せとして,正しいものは。
ただし,人の通る場所から容易に触れることのない範囲に施設する。
屋内で床面からの最小高さ [m] | 屋外で地表面からの最小高さ [m] |
---|---|
a 1.6 | e 2 |
b 1.7 | f 2.1 |
c 1.8 | g 2.2 |
d 1.9 | h 2.3 |
- イ.a,h
- ロ.b,g
- ハ.c,e
- ニ.d,f
電気設備の簡易接触防護措置としての最小の高さの組合せは,屋内で床面からの最小高さは 1.8 [m],屋外で地表面からの最小高さは 2 [m] である。よって,正解は「ハ.c,e」である。