令和3年度 下期 午前 第二種電気工事士 筆記試験 解答と解説
2021年10月24日(日)午前に実施された令和3年度 下期 電気工事士 筆記試験の解答と解説です。
次の各問いには4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてあるので,その中から一つを選択し,解答と解説を表示 をクリックする。
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本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|
70,135 名 | 40,464 名 | 57.7 % |
No. 1 合成抵抗
図のような回路で,スイッチ S1 を閉じ,スイッチ S2 を開いたときの,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω] は。

解答と解説
【答え】ロ
スイッチ S1 を閉じ,スイッチ S2 を開いたとき,端子 a-b 間では,30 [Ω] と 30 [Ω] の抵抗が直列に接続されている。よって,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω] は,60 [Ω] である。
No. 2 導線の抵抗率
電気抵抗 $R$ [Ω],直径 $D$ [mm],長さ $L$ [m] の導線の抵抗率 [Ω·m] を表す式は,
解答と解説
【答え】ハ
導線の抵抗率を $\rho$ [Ω·m] とすると,電気抵抗は次式で表される。
\[ R=\rho\frac{4L}{\pi D^2 \times 10^{-6}} \]上式より,導線の抵抗率を求める。
\[ \rho=\frac{\pi D^2 R}{4L \times 10^6} \]No. 3 発熱量
消費電力が 300 W の電熱器を,2 時間使用したときの発熱量 [kJ] は。
解答と解説
【答え】ハ
消費電力が 300 W の電熱器を,2 時間使用したときの発熱量 [kJ] は,次式で求められる。
No. 4 回路の消費電力
図のような抵抗とリアクタンスとが直列に接続された回路の消費電力 [W] は。

解答と解説
【答え】ロ
回路に流れる電流の大きさは,次式で求められる。
\[ \frac{100}{\sqrt{8^2 + 6^2}} = 10 \text{ [A]} \]回路の消費電力は,抵抗の消費電力であり,その大きさは,次式で求められる。
No. 5 Y 結線の線間電圧
図のように三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に 20 A の電流が流れた。線間電圧 $E$ [V] は。

解答と解説
【答え】ハ
図のような Y 結線の三相負荷に三相交流電圧を加えたときの相電圧は,次式で求められる。
Y 結線の線間電圧 $E$ [V] は,相電圧の $\sqrt{3}$ 倍である。
\[ E = \sqrt{3} \times 120 = 207.6 \text{ [V]} \]No. 6 単相 2 線式回路
図のような単相 2 線式回路において,d-d' 間の電圧が 100 V のとき a-a' 間の電圧 [V] は。
ただし,$r_1$,$r_2$ 及び $r_3$ は電線の電気抵抗 [Ω] とする。

解答と解説
【答え】ニ
c-d 間,c'-d' 間での電圧降下は,次式で求められる。
b-c 間,b'-c' 間での電圧降下は,次式で求められる。
a-b 間,a'-b' 間での電圧降下は,次式で求められる。
a-a' 間の電圧は,d-d' 間の電圧 100 V に,これまで求めた電圧降下を足すことで求められる。
No. 7 単相 3 線式回路
図のような単相 3 線式回路において,電線 1 線当たりの抵抗が 0.05 Ω のとき,a-b 間の電圧 [V] は。

解答と解説
【答え】ニ
a-b 間の電圧は,次式で求められる。
No. 8 合成樹脂管工事における電線 1 本当たりの許容電流
低圧屋内配線の合成樹脂管工事で,管内に直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)を 4 本収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。
ただし,周囲温度は 30 °C 以下とする。
解答と解説
【答え】ハ
直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は 35 [A],管内の電線数 4 本の電流減少係数は 0.63 なので,題意の許容電流は,次式で求められる。
No. 9 分岐回路の電線の許容電流
図のように定格電流 40 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は。

解答と解説
【答え】ニ
a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は,その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流 40 [A] の 55 % である。
No. 10 分岐回路の電線の太さとコンセントの組合せ
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは 3 m,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

解答と解説
【答え】イ
ロ.配線用遮断器の定格電流が 20 A であり,コンセントの定格電流は 20 A のものでなければならない。
ハ.配線用遮断器の定格電流が 30 A であり,コンセントの定格電流は 20 A 以上 30 以下のものでなければならない。
ニ.配線用遮断器の定格電流が 20 A であり,コンセントの定格電流は 20 A のものでなければならない。
No. 11 リングレジューサ
金属管工事において使用されるリングレジューサの使用目的は。
解答と解説
【答え】イ
リングレジューサは,アウトレットボックスのノックアウト(打ち抜き穴)の径が,それに接続する金属管の外径より大きいときに使用する。
No. 12 電熱器具
許容電流から判断して,公称断面積 1.25 mm2 のゴムコード(絶縁物が天然ゴムの混合物)を使用できる最も消費電力の大きな電熱器具は。
ただし,電熱器具の定格電圧は 100 V で,周囲温度は 30 °C 以下とする。
解答と解説
【答え】ロ
絶縁物の種類がビニル混合物(耐熱性を有するものを除く),天然ゴム混合物の最高許容温度は 60 °C であり,周囲温度が 30 °C 以下での許容電流を下表に示す。
公称断面積 [mm2] | 素数 / 直径 [本/mm] | 許容電流 |
---|---|---|
0.75 | 30/0.18 | 7 |
1.25 | 50/0.18 | 12 |
2 | 37/0.26 | 17 |
3.5 | 45/0.32 | 23 |
5.5 | 70/0.32 | 35 |
題意のゴムコードの許容電流は 12 [A]。選択肢中で,使用できる最も消費電力の大きな電熱器具は 1 000 W のオーブントースターである。
No. 13 電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せ
電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せとして,適切なものは。
解答と解説
【答え】イ
リーマは,金属管の端の内側の突起を取り除いて滑らかにする。
No. 14 三相誘導電動機の始動電流
三相誘導電動機の始動電流を小さくするために用いられる方法は。
解答と解説
【答え】ニ
スターデルタ始動器を用いて,始動時に電動機の巻線をスター結線にし,運転時にデルタ結線にする。始動電流がじか入れ始動に比べ 1/3 になるが,始動時の回転力(トルク)も 1/3 になり始動時間が長くなる。
No. 15 配線用遮断器
低圧電路に使用する定格電流 20 A の配線用遮断器に 40 A の電流が継続して流れたとき,この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間 [分] の限度(最大の時間)は。
解答と解説
【答え】ロ
配線用遮断器の定格電流が 30 A であるとき,定格電流の 2 倍の電流を通じた場合,2 分以内に自動的に動作しなければならない。
No. 16 材料の識別
写真に示す材料の用途は。

解答と解説
【答え】イ
写真に示す材料の名称は TS カップリングで,硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)相互を接続するのに用いる。
No. 17 器具の識別
写真に示す器具の名称は。

解答と解説
【答え】ロ
写真に示す器具の名称は線付防水ソケットである。
屋内外で臨時配線用の電球受口に使用する。工事現場や祭りの縁日など雨のかかる場所に仮設照明灯で使用するソケットである。
No. 18 測定器具の識別
写真に示す測定器具の名称は。

解答と解説
【答え】ハ
写真に示す測定器具の名称は絶縁抵抗計ある。指示板に「MΩ」の単位が記載されていることから,絶縁抵抗計と識別する。
なお,絶縁抵抗計は,絶縁物の絶縁抵抗を測定するのに用いる。
No. 19 リングスリーブ
低圧屋内配線工事で,600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)をリングスリーブ用圧着工具とリングスリーブ E 形を用いて終端接続を行った。接続する電線に適合するリングスリーブの種類と圧着マーク(刻印)の組合せで,a ~ d のうちから不適切なものを全て選んだ組合せとして,正しいものは。
接続する電線の太さ(直径)及び本数 | リングスリーブの種類 | 圧着マーク(刻印) | |
---|---|---|---|
a | 1.6 mm 2 本 | 小 | ○ |
b | 1.6 mm 2 本と 2.0 mm 1 本 | 中 | 中 |
c | 1.6 mm 4 本 | 中 | 中 |
d | 1.6 mm 1 本と 2.0 mm 2 本 | 中 | 中 |
解答と解説
【答え】ロ
接続する電線の太さ・本数,リングスリーブ,圧着ペンチの組み合わせは,次表の通り。
接続する電線の太さ・本数 | リングスリーブ | 圧着ペンチ | ||
---|---|---|---|---|
ダイス | 刻印 | |||
1.6 mm | 2 本 | 小 | 1.6×2,小 | ○ |
3~4 本 | 小 | 小 | ||
2.0 mm | 2 本 | |||
2.0 mm×1本+1.6 mm×(1~2)本 | ||||
2.0 mm×1本+1.6 mm×(3~4)本 | 中 | 中 | 中 |
表より,b と c は不適切であることがわかる。
No. 20 D 種接地工事の省略
D 種接地工事を省略できないものは。
ただし,電路には定格感度電流 15 mA,動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型の漏電遮断器が取り付けられているものとする。
解答と解説
【答え】ハ
水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流 15 mA 以下,動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合,接地工事を省略できる。
ハ.は水気のある場所であるため,D 種接地工事を省略できない。
No. 21 三相電動機回路の施工方法
使用電圧が 200 V の三相電動機回路の施工方法で,不適切なものは。
解答と解説
【答え】イ
1 種金属製可とう電線管を使用することができるのは,展開した場所又は点検できる隠ぺい場所であって,乾燥した場所であることに適合する場合である。
No. 22 低圧進相コンデンサ
三相誘導電動機回路の力率を改善するために,低圧進相コンデンサを接続する場合,その接続場所及び接続方法として,最も適切なものは。
解答と解説
【答え】イ
低圧進相コンデンサを接続する場合,接続場所及び接続方法は以下の通り。
- 接続場所は,手元開閉器の負荷側である。
- 接続方法は,電動機と並列に接続する。
No. 23 金属管工事による低圧屋内配線の施工方法
金属管工事による低圧屋内配線の施工方法として,不適切なものは。
解答と解説
【答え】ロ
コンビネーションカップリングは,金属製可とう電線管と金属管とを接続するのに用いる。

No. 24 低圧回路を試験する場合の試験項目と測定器
低圧回路を試験する場合の試験項目と測定器に関する記述として,誤っているものは。
解答と解説
【答え】ニ
電動機の回転速の測定には,回転計(revolution indicators)を用いる。
なお,検相器は三相回路の相順を調べるのに用いる。
No. 25 絶縁抵抗測定
分岐開閉器を開放して負荷を電源から完全に分離し,その負荷側の低圧屋内電路と大地間の絶縁抵抗を一括測定する方法として,適切なものは。
解答と解説
【答え】ロ
電路と大地との間の絶縁抵抗測定は,スイッチ類をすべてオン(負荷側の点滅器をすべて「入」),負荷を使用している状態(常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたまま)にして,絶縁抵抗計(メガー)から電路に直流電圧をかけることで測定する。
No. 26 接地抵抗計
接地抵抗計(電池式)に関する記述として,正しいものは。
解答と解説
【答え】ニ
イ.接地抵抗計はアナログ形とディジタル形がある。
ロ.接地抵抗計の出力端子における電圧は,交流電圧である。
ハ.接地抵抗測定の前には,被測定接地極(E 極),P 補助極(電圧極),C 補助極(電流極)の順に約 10 m 間隔で直線上に配置する。なお,接地抵抗の測定方法を下図に示す。

No. 27 アナログ式回路計
アナログ式回路計(電池内蔵)の回路抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。
解答と解説
【答え】ハ
正しくは,赤と黒の測定端子(テストリード)を接続し,指針が 0 Ω になるよう調整する。
No. 28 電気工事士の義務又は制限
電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは。
解答と解説
No. 29 特定電気用品
「電気用品安全法」の適用を受ける次の配線器具のうち,特定電気用品の組合せとして,正しいものは。
ただし,定格電圧,定格電流,極数等から全てが「電気用品安全法」に定める電気用品であるとする。
解答と解説
No. 30 一般用電気工作物
一般用電気工作物の適用を受けるものは。
ただし,発電設備は電圧 600 V 以下で,1 構内に設置するものとする。
解答と解説
【答え】ハ
一般用電気工作物は,600 V 以下の電圧で受電し,受電の場所と同一の構内で使用する電気工作物で,小出力発電設備を設置しているものも含まれる。
ニ.は高圧受電であるため不適。イ,ロ,ハの中で小出力発電設備に該当するものを選択する。
出力 50 kW 未満の太陽電池発電設備は,小出力発電設備に該当するため,ハ.が一般用電気工作物の適用を受ける。