令和4年度 第2種 法規

2022年8月20日作成,2023年9月16日更新

令和4年度第二種電気主任技術者試験一次試験 法規科目の合格基準は,90 点満点換算で 54 点以上,受験者は 4,107 人,合格者数は 2,780 人で,合格率は 67.7 % だった。

はじめに

  1. 問題文中に「電気設備技術基準」とあるのは,「電気設備に関する技術基準を定める省令」の略である。
  2. 問題文中に「電気設備技術基準の解釈」とあるのは,「電気設備の技術基準の解釈における第1章~第6章及び第8章」をいう。なお,「第7章 国際規格の取り入れ」の各規定について問う出題にあっては,問題文中にその旨を明示する。
  3. 問題は,令和4年4月1日現在,効力のある法令(電気設備の技術基準の解釈を含む。)に基づいて作成している。

目次

  1. 再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保
  2. 油(絶縁油)の公害等の防止
  3. 特別高圧屋内配線の施設
  4. 電力系統における電力用コンデンサ及びリアクトル
  5. 電気設備の接地及び保安上又は機能上必要な場合における電路の接地
  6. 特別高圧架空電線路の施設制限
  7. 電力供給と供給予備力

問1 再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保

次の文章は,再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保に関する記述である。

a) 固定価格買取り制度

我が国において,固定価格買取り制度の導入後,太陽電池発電設備,風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の導入件数が増加し,その多くは太陽電池発電である。また,資源エネルギー庁の調べによれば,太陽電池発電設備及び風力発電設備の出力別の導入件数では,それらの多くが一定の出力未満(太陽電池 50 kW 未満,風力 20 kW 未満)の小出力発電設備である。

b) 電気保安統計

電気保安統計によれば,太陽電池発電設備については,事故件数や事故率ともに増加している。また,小出力発電設備を含む再生可能エネルギー発電設備の事故が社会的影響を及ぼした事案も発生している。

c) 再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保

再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保が不可欠であり,事故情報を収集し事故原因の究明や再発防止策を講じることが必要である。

d) 事故報告

このため,新たに,太陽電池発電設備(10 kW 以上 50 kW 未満)及び風力発電設備(20 kW 未満)の小出力発電設備についても,それらの所有者や占有者には,令和3年4月1日から電気事業法に基づく事故報告を行うことが義務付けられた。本報告の対象となる事故は,感電などによる死傷事故,電気火災事故,他の物件への損傷事故,主要電気工作物の破損事故,の四項目である。

問1 の解答と解説を表示

(1)

正解は(リ)小出力発電設備である。

(2)

正解は(ホ)事故率である。

(3)

正解は(ヲ)再発防止策である。

(4)

正解は(二)電気事業法である。

(5)

正解は(ル)他の物件への損傷事故である。

参考文献

問2 油(絶縁油)の公害等の防止

「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく油(絶縁油)の公害等の防止に関する記述である。

a)

ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を有する電気機械器具及び電線は,電路に施設してはならない。

b)

ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油とは,絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの量が試料 1 kg につき 0.5 mg 以下である絶縁油以外のものである。

c)

水質汚染防止法の規定による貯油施設等を設置する発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所には,貯油施設等の破損その他の事故が発生し,油を含む水が当該設置場所から公共用水域に排出され,又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがないよう,適切な措置を講じなければならない。

問2 の解答と解説を表示

(1)

正解は(カ)電気機械器具である。

(2)

正解は(ロ)電路である。

(3)

正解は(リ)0.5である。

(4)

正解は(ヘ)公共用水域である。

(5)

正解は(ワ)地下に浸透である。

問3 特別高圧屋内配線の施設

a)

特別高圧屋内配線は,電気集じん装置等を施設する場合を除き,次によること。

  • 使用電圧は,100 000 V 以下であること。
  • 電線は,ケーブルであること。
  • ケーブルは,鉄製又は鉄筋コンクリート製の管,ダクトその他の堅ろうな防護装置に収めて施設すること。
  • 管その他のケーブルを収める防護措置の金属製部分,金属製の電線接続箱及びケーブルの被覆に使用する金属体には,A 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は,D 種接地工事によることができる。
  • 危険のおそれがないように施設すること。

b)

特別高圧屋内配線が,低圧屋内配線,管灯回路の配線,高圧屋内配線,弱電流電線等又は水管,ガス管若しくはこれらに類するものと接近又は交差する場合は,次によること。

  • 特別高圧屋内配線と低圧屋内電線,管灯回路の配線又は高圧屋内電線との離隔距離は,60 cm 以上であること。ただし,相互の間に堅ろうな耐火性の隔壁を設ける場合は,この限りでない。
  • 特別高圧屋内配線と弱電流電線等又は水管,ガス管若しくはこれらに類するものとは,接触しないように施設すること。
問3 の解答と解説を表示

(1)

正解は(ハ)100 000である。

(2)

正解は(カ)A 種である。

(3)

正解は(ヨ)接触である。

(4)

正解は(ヌ)60である。

(5)

正解は(ロ)耐火性である。

参考文献

問4 電力系統における電力用コンデンサ及びリアクトル

a)

電力系統において,地中ケーブルの拡大などによる静電容量の増大に伴い,軽負荷時に受電端電圧が送電端電圧より上昇するフェランチ現象が発生することがある。この対策として分路リアクトルを投入し,電圧及び無効電力調整を行う。

b)

配電系統において,力率改善,電圧降下の抑制,電力損失の低減などを目的に並列コンデンサが使われている。力率改善のために使用する場合,負荷の有効電力を $P$ [kW],力率を $\cos{\delta_1}$ とし,コンデンサ設置の前後で有効電力が一定であるとき,力率を $\cos{\delta_2}$ に改善するために必要な並列コンデンサの容量は $P(\tan{\delta_1}-\tan{\delta_2})$ [kvar] となる。

問4 の解答と解説を表示

(1)

正解は(カ)静電容量である。

(2)

正解は(ヌ)フェランチである。

(3)

正解は(ヲ)分路リアクトルである。

(4)

正解は(リ)電圧降下である。

(5)

正解は(イ)$P(\tan{\delta_1}-\tan{\delta_2})$ である。

参考文献

問5 電気設備の接地及び保安上又は機能上必要な場合における電路の接地

a)

電路の保護装置の確実な動作の確保,異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は,他の解釈の規定による場合のほか,次に掲げる場所に接地を施すことができる。

  1. 電路の中性点(使用電圧が 300 V 以下の電路において中性点に接地を施し難いときは,電路の一端子
  2. 特別高圧の直流電路
  3. 燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路

b)

変圧器の安定巻線若しくは遊休巻線又は電圧調整器の内蔵巻線を異常電圧から保護するために必要な場合は,その巻線に接地を施すことができる。この場合の接地工事は,A 種接地工事によること。

c)

需要場所の引込口付近において,地中に埋設されている建物の鉄骨であって,大地との間の電気抵抗値が 3 Ω 以下の値を保っているものがある場合は,これを接地極に使用して,B 種接地工事を施した低圧電路の中性線又は接地側電線に,高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止のために施す接地に加えて接地工事を施すことができる。

d)

電子機器に接続する使用電圧が 150 V 以下の電路,その他機能上必要な場所において,電路に接地を施すことにより,感電,火災その他の危険を生じることのない場合には,電路に接地を施すことができる。

問5 の解答と解説を表示

(1)

正解は(ホ)一端子である。

(2)

正解は(ヌ)燃料電池である。

(3)

正解は(ヨ)Aである。

(4)

正解は(リ)加えてである。

(5)

正解は(イ)150 である。

参考文献

問6 特別高圧架空電線路の施設制限

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,電線にケーブルを使用しない場合における,使用電圧が 170 000 V 未満の特別高圧架空電線路の市街地その他人家の密集する地域における施設制限に関する記述である。

a)

電線の地表上の高さは,下表に規定する値以上であること。ただし,発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の構内と構外とを結ぶ 1 径間の架空電線にあっては,この限りではない。

使用電圧の区分 電線の種類 高さ
35 000 V 以下 特別高圧絶縁電線 8 m
その他 10 m
35 000 V 超過 全て (10 + $c$) m
(備考)$c$ は,使用電圧と 35 000 V の差を 10 000 V で除した値(小数点以下を切り上げる。)に 0.12 を乗したもの

b)

支持物は,鉄柱(鋼板組立柱を除く。),鉄筋コンクリート柱又は鉄塔であること。

c)

支持物には,危険である旨の表示を見やすい箇所に設けること。ただし,使用電圧が,35 000 V 以下の特別高圧架空電線路の電線に特別高圧絶縁電線を使用する場合は,この限りでない。

d)

電線を支持するがいし装置は,次のいずれかのものであること。

  1. 50 % 衝撃せん絡電圧の値が,当該電線の近接する他の部分を支持するがいし装置の値の 110 %(使用電圧が 130 000 V を超える場合は,105 %)以上のもの
  2. アークホーンを取り付けた懸垂がいし,長幹がいし又はラインポストがいしを使用するもの
  3. 2 連以上の懸垂がいし又は長幹がいしを使用するもの
  4. 2 個以上のラインポストがいしを使用するもの

e)

使用電圧が 100 000 V を超える特別高圧架空電線路には,地絡を生じた場合又は短絡した場合に 1 秒以内に自動的にこれを電路から遮断する装置を施設すること。

問6 の解答と解説を表示

(1)

正解は(ト)特別高圧絶縁電線である。

(2)

正解は(ハ)8 である。

(3)

正解は(ル)鉄柱である。

(4)

正解は(ロ)50 % 衝撃せん絡電圧である。

(5)

正解は(ホ)1 である。

問7 電力供給と供給予備力

電力需給は,一般に最大電力バランスと電力量バランスとで表現される。最大電力バランスとは,需要の最大と供給能力を比較するもので,供給能力が需要を上回る分を供給予備力といい,これは供給信頼度に関わるものである。

また,電力量バランスは,月別・年度別に電力供給量の電源別の分担を決めるもので,発電所の運用計画などに役立てられる。

保有すべき供給予備力は,需給変動,地域間連系線の容量などを考慮して算出される。このうち,需給変動は,景気変動によって生じる需要変動(持続的需要変動)と,日々の需要変動及び電源の計画外停止や出水変動による供給力の低下を含む需給変動(偶発的需給変動)に分類される。地域間連系線の容量が増強されると,供給量不足時に電力融通が可能となり,増強前に比べて必要な供給予備力は小さくなる

問7 の解答と解説を表示

(1)

正解は(ホ)最大電力である。

(2)

正解は(ヌ)電力量である。

(3)

正解は(ト)地域間連系線の容量である。

(4)

正解は(ロ)計画外停止である。

(5)

正解は(ヘ)小さくなるである。

参考文献

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