第4類危険物の概要

2022年12月11日更新

第4類危険物の性質

第4類危険物は引火性液体である。身近にあるものでは,ガソリン,灯油,アルコールなどが該当し,火をつけると燃える液体である。

第4類危険物は下表のように 7 種類に分類される。

表 第4類危険物の分類
分類 特徴
特殊引火物 第4類の中でも特に引火しやすいもの ジエチルエーテル,二硫化炭素
第 1 石油類 引火点が 21 度未満の石油類 ガソリン
アルコール類 炭素数 3 以下の飽和 1 価アルコール エチルアルコール,メチルアルコール
第 2 石油類 引火点が 21 度以上 70 度未満の石油類 灯油,軽油
第 3 石油類 引火点が 70 度以上 200 度未満の石油類 重油
第 4 石油類 引火点が 200 度以上 250 度未満の石油類 ギヤー油,シリンダー油
動植物油類 動植物を原料とする油類 ヤシ油,アマニ油
消防法 別表第一 備考(抜粋)
  1. 特殊引火物とは,ジエチルエーテル,二硫化炭素その他 1 気圧において,発火点が 100 度以下のもの又は引火点が零下 20 度以下で沸点が 40 度以下のものをいう。
  2. 第 1 石油類とは,アセトン,ガソリンその他 1 気圧において引火点が 21 度未満のものをいう。
  3. アルコール類とは,1 分子を構成する炭素の原子の数が 1 個から 3 個までの飽和 1 価アルコール(変性アルコールを含む。)をいい,組成等を勘案して総務省令で定めるものを除く。
  4. 第 2 石油類とは,灯油,軽油その他 1 気圧において引火点が 21 度以上 70 度未満のものをいい,塗料類その他の物品であって,組成等を勘案して総務省令で定めるものを除く。
  5. 第 3 石油類とは,重油,クレオソート油その他 1 気圧において引火点が 70 度以上 200 度未満のものをいい,塗料類その他の物品であって,組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。
  6. 第 4 石油類とは,ギヤー油,シリンダー油その他 1 気圧において引火点が 200 度以上 250 度未満のものをいい,塗料類その他の物品であつて,組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。
  7. 動植物油類とは,動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したものであつて,1 気圧において引火点が 250 度未満のものをいい,総務省令で定めるところにより貯蔵保管されているものを除く。

共通する性質

  • 常温(20 度)・常圧(1 気圧)において,液体である。
  • 引火点や沸点の低いものが多い。
  • 燃焼範囲の下限値が低く,わずかな蒸気でも燃焼するものが多い。
  • 比重が1より小さく,非水溶性のものが多い。
  • 液体から蒸発した蒸気は空気より重く,地面の近くに滞留する。
  • 電気の不良導体であり,静電気がたまりやすい。
演習問題

法別表第1に掲げる第4類の危険物の品名に該当しないものは,次のうちどれか。

  1. 特殊引火物
  2. 第1石油類
  3. アルコール類
  4. アルキルアルミニウム
  5. 第4石油類

法別表第1に掲げる第4類の危険物の品名に該当しないものは,4.アルキルアルミニウムである。

演習問題

第 4 類の危険物の一般的性状について,次のうち誤っているものはどれか。

  1. 引火点を有する液体である。
  2. 液温が -40 °C 以下で引火するものもある。
  3. 水に溶けるものもある。
  4. 蒸気は燃焼範囲を有し,この下限値に達する液温が低いものほど引火しやすい。
  5. 発火点以下の温度になると火源がなくても発火する。

正解は,4. である。

第4類危険物の火災予防と消火方法

火災予防

第4類危険物に共通する性質は,可燃性の蒸気を発生し,引火しやすいことである。そのため火災の予防として,下記のことがあげられる。

  • 点火源となる火気や高温体を近づけない。
  • みだりに蒸気を発生させない。(容器は密閉し,冷所に貯蔵する。)
  • 体膨張による体積の増加に備えて,容器の上部に十分な空間をとる。
  • 排気設備で屋外高所へ排出する。また,通風・換気を行い,蒸気濃度を低くする。
  • 火花を発生させる機械器具などを使用しない。また,電気設備は防爆性のあるものを使用し,電気火花が発生しないようにする。
  • 配管の流速を小さくしたり,接地するなどの静電気対策を行う。
演習問題

第 4 類の危険物の貯蔵,取扱いの注意事項として,次のうち誤っているものはどれか。

  1. 火花や高熱を発する場所に接近させない。
  2. かくはんや流動を伴う静電気の発生をできるだけ抑制する。
  3. 発生する蒸気は,なるべく屋外の低所に排出する。
  4. 容器からの液体や蒸気の漏れには十分注意する。
  5. 引火性のある危険物を取り扱う場合には,人体に帯電した静電気を除去する。

正解は,3. である。

演習問題

第 4 類の危険物の貯蔵について,次のうち誤っているものはどれか。

  1. 引火を防止するため,みだりに火気を近づけないこと。
  2. みだりに蒸気を発生させないため,容器は密栓すること。
  3. 可燃性蒸気を滞留させないため,貯蔵場所の通風や換気をよく行うこと。
  4. 自然発火を防止するため,必ず液温を引火点以下に保つこと。
  5. 可燃性蒸気を発生させないため,液面に水を張って貯蔵する危険物もある。

正解は,4. である。

消火の方法

酸素供給体を取り除く窒息消火が適している。一方,第4類危険物の多くは水より軽く,水に溶けない性質をもっているため,水を消火に用いると,油面が広がり,燃焼が拡大するおそれがある。

演習問題

第 4 類の危険物の火災における消火剤の使用について,次のうち誤っているものはどれか。

  1. 重油の火災に泡消火剤を使用した。
  2. トルエンの火災に二酸化炭素消火剤を使用した。
  3. 軽油の火災にハロゲン化物消火剤を使用した。
  4. ベンゼンの火災にりん酸塩類等の粉末消火剤を使用した。
  5. ガソリンの火災に棒状の水を使用した。

正解は,5. である。

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