目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2023年8月4日更新

平成18年度 問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

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現在の大規模商用発電の方式には,火力,原子力,水力などがある。これらのうち,火力発電では,燃料の持つ化学的エネルギーを,まずエネルギーに変換し,更にこれを,力学的エネルギーに変換して発電機を回転させる。

我が国の原子力発電では,天然ウランに 0.7 [%] 程度含まれているウラン 235 の割合を 2 ~ 3 % にまで濃縮した低濃縮ウラン燃料を用いている。

熱エネルギーから電気エネルギーへの変換において,熱力学的サイクルを経ないで直接的に変換を行うものがある。その代表的なものがゼーベック効果を利用する熱電発電である。その理論最高効率は,カルノー効率を超えない

大気に含まれる成分の中で,波長 0.5 ~ 10 μm の熱放射を吸収する可能性のある物質には二酸化炭素水蒸気,メタン,一酸化二窒素(亜酸化窒素),オゾンなどがあり,これらは温室効果ガスと呼ばれている。これらの中で大気中に存在する量が最も多く,熱放射を吸収する量も多いのは水蒸気である。また,これに次いで存在する比率の高いものは二酸化炭素である。

エネルギーの発生と使用の間に時間的又は空間的な隔たりがある場合などには,エネルギーを蓄えて使用することが有効である。蓄熱によって熱エネルギーの需給調整を行うことができ,エネルギーの利用効率向上や有効利用が可能となる。また,冷暖房システムに見られるような 1 日の時間帯によって需要変動が大きいものに対しては,蓄熱装置の設置により,熱源設備の設備容量の低減や稼働率の向上などが可能となる。

実用化されている蓄熱の方法には,液体や固体の顕熱を利用する顕熱蓄熱,また,変化したときの潜熱を利用する潜熱蓄熱などがある。前者の例としては水を利用する蓄冷や岩石への蓄熱など,後者の例としては氷を使う氷蓄熱がある。他の実用化例として,ボイラ設備などにおいて水蒸気の持つ熱量を一時貯めておき,負荷の増加に応じてそれを利用するアキュムレータなどがある。

空調用の蓄熱装置とヒートポンプを組み合わせたシステムは,一般に夜間電力でヒートポンプを稼働させ,蓄熱槽に蓄熱して昼間の空調に利用するシステムとして用いられ,電力需要の負荷平準化に寄与している。また,ヒートポンプは,空調だけでなく,高温まで昇温できるようになったことから給湯にも利用され,さらに技術の進歩によるヒートポンプの COP (Coefficient of Performance) の向上もあり,大きな省エネルギー効果を持つ技術として期待されている。

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