問題7 工場配電
力率改善用コンデンサ
図1に示すように三相3線式の工場内配電線路の末端に,遅れ力率80%の平衡三相負荷3000kWが接続されている。この負荷の無効電力は2250[kvar]である。開閉器Sによりこの負荷に並列に力率改善用コンデンサ1260[kvar]を接続すると,遅れ力率は95%に改善される。ただし,コンデンサを接続することにより,負荷の大きさ及び力率は変化しないものとする。

このように力率改善により,工場内配電線路の抵抗による電力損失や,インピーダンス
による電圧降下を減少させるため,できるだけ力率を100%に近づけることが必要である。なお,夜間など負荷減少に伴い負荷の無効電力が減少したときに,コンデンサを接続したままで運転すると,配電線路の電流が進み位相となり,負荷の端子電圧を上昇させることになる。したがって,負荷の無効電力の増減に対してコンデンサを開閉できるよう力率調整装置を用いて運転することが望ましい。
負荷の無効電力
は,負荷の有効電力を
,力率角を
とすると,
接続した力率改善用コンデンサの容量を
,改善後の力率角を
とすると,
となる。
単相2線式配電線の電圧降下
図2に示すように,点Aに電源が接続された単相2線式配電線があり,X,Y,Zの各点に抵抗負荷(力率100%)が接続されている。点X-Y間の距離は40m,点Y-Z間の距離は14mであり,点Xの負荷電流は60A,点Yの分岐負荷電流の大きさは20A,点Zの負荷電流は30Aである。
これらの条件の下で,点X-A間及び点A-Z間の電圧降下が同一になる点Aの位置を求める。ただし,電線のインピーダンスは抵抗分のみとし,電線の導体サイズはすべて同一であり,電線1線当たりの抵抗は[Ω\m]とする。また,各負荷電流の大きさは点Aの位置にかかわらず一定とする。
点X-A間の距離を[m]とすると,点X-A間の電圧降下は
[V]であり,点A-Z間の電圧降下は
[V]である。したがって,求める距離
は22[m]となる。

単相2線式配電線のX-A間の電圧降下は,1線当たりの抵抗が
[Ω/m],距離が
[m]であるので,
[V]
であり,A-Z間の電圧降下は,Y-Z間の電圧降下とA-Y間の電圧降下の和となり,
[V]
となる。したがって,X-A間の電圧降下とA-Z間の電圧降下が等しくなる距離
は,
を解いて,
[m]となる。