科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成19年度

問題8 工場配電

図aはある工場の配電系統を示す。定格一次電圧22kV,定格二次電圧6.6kV,定格容量5MV·Aの受電用変圧器が22kV系統に接続され,図bに示される日負荷曲線を有する力率100%の6.6kVの平衡三相負荷に電力を供給している。なお,負荷力率は常に100%一定である。

図a
図b

この工場の設備容量の値を受電用変圧器の定格容量と同じとすると,需要率は60.0[%],1日の平均電力は1750[kW],日負荷率は58.3[%]である。

需要率は,
(需要率)=(最大電力)/(設備容量)=3000/5000×100=60.0[%]
となり,1日の平均電力は,
1750[kW]
となる。日負荷率は,次式で計算される。
(日負荷率)=(1日の平均電力)/(最大需要電力)=1750/3000×100=58.3[%]

この変圧器の無負荷損を10kW,定格運転時の負荷損を40kWとすると,この変圧器の効率が最大となるのは,変圧器の出力が2500[kV·A]のときで,そのときの効率は99.21[%]となる。また,図bのような日負荷曲線の負荷に電力を供給する場合,この変圧器の1日の損失電力量は394[kW·h],全日効率は99.07[%]となる。

無負荷損と負荷損が等しくなるとき,効率は最大となる。効率が最大のときの負荷率をαとおくと,
より,α=0.5となり,変圧器の効率が最大となるときの,変圧器の出力は,
5000×0.5=2500[kV·A]
となり,そのときの効率ηは,
η=99.206
となる。次に題意の負荷曲線に電力を供給する場合,1日の損失電力量Wは,
W=393.6
となる。一方,1日の出力電力量は,
1000×8+3000×9+1000×7=42000[kW·h]
であるので,全日効率ηdは,
ηd=99.07[%]
となる。

変圧器の定格容量5MV·Aを基準容量として,この変圧器のパーセント短絡インピーダンス%Ztを5%とする。また,受電端からみた22kV系統の三相短絡容量は500MV·Aであり,この値から,5MV·Aを基準容量とするパーセントインピーダンス%Zsを求めると1[%]となる。

パーセントインピーダンスは,基準容量が同じであれば系統電圧が異なっても同一の値となる。このことを考慮すれば,6.6kV母線から22kV系統をみた5MV·Aを基準容量とするパーセントインピーダンスは6[%]となる。よって,6.6kV母線三相短絡容量は83.3[MV·A]となり,この結果,6.6kV母線における三相短絡電流は7.29[kA]となる。

なお,%Zs%Ztは共に純リアクタンスとし,また,負荷側からの寄与電流はないものとする。

22kV系統の5MV·Aを基準とするパーセントインピーダンス%Zsは,
%Zs=1[%]
となる。6.6kV母線から22kV系統をみた5MV·Aを基準とするパーセントインピーダンス%Zは,
%Z=6[%]
となる。よって,6.6kV母線の短絡容量は,
Ps=83.3[MV·A]
となり,6.6kV母線における三相短絡電流は,
Is=7289[A]
となる。
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