科目Ⅳ:電力応用 平成22年度

問題11 電動力応用

ポンプの理論動力

M[kg]の物体に加わる重力はMg[N]であるので,この物体をh[m]上昇させるときになされる仕事はMghであり,その単位はJで表される。このことからポンプの所要動力を求めることができる。

密度がρ[t/m³]の流体を,吸込側水槽から吐出し側水槽へ汲み上げることを考える。液体の流量をQ[m³/min]とすると,1秒間に汲み上げる流体の質量はM=1000ρQ/60[kg]である。吸込側水槽と吐出し側水槽の水位の差に相当する実揚程と,管路の摩擦などによる損失を水位に換算した値との和が全揚程であり,これをH[m]で表すと,ポンプの理論動力(1秒間当たりの仕事)は1.63×10-1×ρQH[kW]となる。実際には,これに機械の効率と裕度を考慮する必要がある。ここで,いずれの水槽も開放形であるとし,重力の加速度gは9.8m/s²とする。

ポンプの理論動力(1秒間当たりの仕事)は,

慣性モーメント

図1に示すように,半径r[m],高さh[m],質量m[kg]の円柱が,円の中心を軸として回転したときの慣性モーメントJは,

次に,図2に示すように,この円柱の円の中心から半径r1[m]をくりぬいた中空円柱の質量がm1[kg]となった。この中空円柱が,円の中心を軸として回転したときの慣性モーメントJ1は,

なお,慣性モーメントの単位はkg·m²で表される。

巻取機

図3のような,一定の巻取速度vと一定の張力Fで製品を巻き取る巻取機がある。

この巻取機では,巻き取られる製品の半径r2の増加に対して,電動機の回転速度はr2に反比例する

また,電動機のトルクはr2に比例する

したがって,電動機の運転は定出力特性となる。

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