科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成23年度

問題9 電気機器

変圧器における電圧調整-タップ切換方式-

一般に電気機器は,電圧に関していえば,機器に表示された定格電圧で使用する場合に最も効率が良い。工場において大きな電圧変動や電圧降下は,機器の効率低下をもたらすだけでなく,生産能率の低下や製品不良の原因ともなる。変圧器における電圧調整は,巻線にタップを設けて変圧比を切り換えることによってなされる。タップ切換方式には大別して,無電圧タップ切換と負荷時タップ切換とがあり,負荷時タップ切換には直接式と間接式とがある。直接式は,外部回路に接続された巻線の負荷電流が負荷時タップ切換器を直接流れるように結線する方式であり,間接式は,直列変圧器の励磁巻線を流れる電流が負荷時タップ切換器を流れるように結線する方式である。直接式ではタップ切換器は通常,三相変圧器の中性点側に設けられる。また,間接式のタップ切換器は,巻線の絶縁レベルが非常に高い場合や電流が極めて大きい場合などに採用される。

同期発電機の並行運転

2台以上の同期発電機を安定に並行運転させるためには,各発電機は,起電力の周波数及び大きさが等しく,起電力の位相がほぼ一致していて相回転が等しく,また,その波形が等しいことが必要である。これらの必要条件の中で,起電力の大きさと位相に焦点を当て,条件が満足されない状態で並行運転した場合に発生する現象は次のようになる。

起電力の大きさが異なる場合には,発電機間の無効循環電流が流れる。この電流は,起電力の大きい発電機では遅れ電流であるので界磁を弱め,起電力の小さい発電機では進み電流であるので界磁を強める作用をする。

位相が一致しない場合には,発電機間に同期化電流が流れる。この電流により,発電機間に有効電力の授受が生じ,並行運転を行う発電機間に相差角変化を元に戻すように作用する。

単相変圧器の無負荷試験と短絡試験

一次側電圧6600V,二次側電圧210Vの単相変圧器の無負荷試験と短絡試験(二次側定格電流時)を行い,次の結果を得た。

無負荷試験結果:一次側電圧6600V,一次側電流0.053A,一次側入力電力36W
短絡試験結果:一次側供給電圧165V,一次側電流1.515A,一次側入力電力168W

これらの試験結果から,この変圧器に定格容量の50%容量の負荷を接続したときの全損失(無負荷損+負荷損)は78[W]である。また,この変圧器の定格容量基準の短絡インピーダンスは2.5[%]であり,これは短絡試験時に供給した電圧値と,そのとき得られた電流との関係から,一次換算のオーム値で108.9[Ω]となる。一方,短絡試験時の損失から,一次換算の巻線抵抗は73.2[Ω]と計算されるので,一次換算漏れリアクタンスは80.65[Ω]となる。これらの数値から,この変圧器に,定格容量と同じ容量で力率が0.8の付加を接続したとき,簡略式を用いた電圧変動率εは2.45[%]と計算される。

定格容量の50%容量の負荷を接続したときの全損失は,

変圧器の定格容量基準の短絡インピーダンスは,

一次換算のオーム値で,

一次換算の巻線抵抗は,

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