科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規 平成24年度

問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

馬力という仕事率

ジェームズ・ワットは蒸気機関の出力を評価するために,馬力という仕事率の単位を定義した。その測定装置の概念は図に示すように,馬に負荷をかけて円周上を回転運動させるものである。このときの状況を国際単位系(SI)で表すと,馬は,負荷が8.0×10²[N]のもとで半径3.7mの円周を1時間に144周したので,その仕事率,すなわち,ジェームズ・ワットが定義した1馬力は約0.746kWとなった。この0.746kWは50kgの物体を地球表面上で速度1.5[m/s]で鉛直方向に持ち上げる仕事率に相当する。

ここで,重力の加速度を9.8m/s²とし,円周率πは3.14とする。

図1 馬力測定装置概念図

エクセルギー率

エネルギーは保存され,原理的にはほとんどのエネルギー形態間での変換が可能である。しかし,エネルギーを実際に利用する立場からは,有効エネルギーあるいはエクセルギーという視点が重要である。エクセルギーの値をエンタルピーの値で除したエクセルギー率を見ると,エクセルギー率が最も高い電気エネルギーと,これに続く化学エネルギーに比較して,エネルギーはエクセルギー率が低いと表現されることも多い。

エクセルギー(Exergy):ある系から力学的な仕事として取り出せるエネルギーのことである。単に有効エネルギー(Available energy)ともいう。

原子力発電所

高速中性子を減速させるのに一般の水を用いる原子炉を軽水炉と呼び,沸騰水型と加圧水型の2種類に大別される。これらのうち,原子炉と発電用蒸気タービンの間に蒸気発生器という熱交換器があるのは加圧水型である。これらの原子力発電所の蒸気タービンにおける入口蒸気の温度や圧力は,一般の事業用火力発電所の蒸気タービンにおける入口蒸気と比べると低い

温室効果ガス

地球表面の温度は,基本的には,太陽から入射する放射(ふく射)エネルギーと,地球から宇宙に放出される放射エネルギーのバランスで決まる。まず,太陽から地球(大気圏外)に入射する放射エネルギーの密度は,入射方向に垂直な単位面積を考えると1.5[kW/m²]程度であり,太陽定数とも呼ばれる。また,この入射する放射エネルギーは波長0.2[μm]付近で最大になる。一方,地球から宇宙に放射される放射エネルギーは波長10μm付近で最大になる。温室効果の点から,地球の表面温度に総量で最も大きな影響を及ぼす大気中のガス成分は水蒸気であり,その次に大きな影響を及ぼす大気中のガス成分は二酸化炭素である。

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