目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年7月25日作成,2019年7月26日更新

平成26年度 問題6 電気計測

(1) 電力量計

1) 交流回路に使用する誘導形電力量計の回転子(円板)の回転速度は負荷電力に比例し,回転数を積算することにより電力量が測定できる。電力量計の 1 kW·h 当たりの回転子の回転数を計器定数といい,単位を [rev/(kW·h)] で表す。

1 000 rev/(kW·h) の電力量計で低圧回路の負荷の測定を行ったところ,30 分間の回転数が 400 回転であった。このとき,負荷の 30 間の平均電力は 800 [W] である。

平衡三相負荷回路に,図に示すように計器用変圧器(VT)及び変流器(CT)を介して,電流計,電圧計,力率計及び三相電力量計が接続されている。この計器用変圧器の定格一次電圧は 6 600 V,定格二次電圧は 110 V であり,変流器の定格一次電流は 200 A,定格二次電流は 5 A である。なお,電圧は線間電圧を表す。

ここで,計器用変圧器及び変流器の二次側において,電圧 $v_2$ が 112 V,電流 $i_2$ が 3 A,力率が 98 %(遅れ),計測開始からの電力量が 120 kW·h であった。

これらの値を一次側に換算すると,次のようになる。

  1. 電流($I_1$):120 [A]
  2. 電圧($V_1$):6 720 [V]
  3. 力率:98 %(遅れ)
  4. 電力量:288 [MW·h]

また,これらの一次側の換算値から,このとき負荷に供給されている電力は 1.37 × 103 kW と算出される。ここで,$\sqrt{3} = 1.73$ とする。

平衡三相負荷回路

電流 $I_1$ は,変流器の定格一次電流は 200 A,定格二次電流は 5 A,電流 $i_2$ が 3 Aであるので,次式で求められる。

\[ I_1 = \frac{200}{5} \times 3 = 120 \text{ [A]} \]

電圧 $V_1$ は,計器用変圧器の定格一次電圧は 6 600 V,定格二次電圧は 110 V,電圧 $v_2$ が 112 Vであるので,次式で求められる。

\[ V_1 = \frac{6,600}{110} \times 112 = 6,720 \text{ [V]} \]

電力量は,計器用変圧器の変圧比,変流器の変流比を用いて,次式で求められる。

\[ 120 \text{ [kW·h]} \times \frac{6,600}{110} \times \frac{200}{5} = 288,000 \text{ [kW·h]} = 288 \text{ [MW·h]} \]

負荷に供給されている電力は,次式で求められる。

\[ \frac{\sqrt{3} \times 120 \text{ [A]} \times 6,720 \text{ [V]} \times 0.98}{1000} = 1367 \fallingdotseq 1.37 \times 10^{3} \text{ [kW]} \]

(2) 流量測定

ポンプ,ファンなどの電動力応用設備において,気体や液体の流量測定を行う場合,測定器は測定対象に応じていろいろな方式のものが用いられる。

  1. 差圧式は,オリフィス板などの絞り機構を設置してその前後の差圧を検出することで,流量がこの差圧の $\displaystyle \frac{1}{2}$ 乗に比例するという原理を利用して流量を求める。特に,気体の流量測定では,圧力や温度により流体の密度が大きく変動するので,圧力や温度を測定して流量の補正を行うことが多い。
  2. 渦式は,流体中に柱状の物体を設置して,その下流に流速に比例して発生する渦の周波数を測定して流量を求める。この渦はカルマン渦と呼ばれる。
  3. 超音波式は,管内の流れに対して斜めに超音波を発射すると,その伝播速度が,超音波の発射方向と流体の流速により変化する性質を利用したものが多く用いられる。超音波式では,測定器を管の外側に設置して,内部の流量を測定することが可能で,これは一般にクランプオン形超音波流量計と呼ばれる。

オリフィスとは,薄い壁に開けた流体を流す小さな穴のことで,そのような穴をつけた薄板をオリフィス板(orifice plate)と呼び,流量を板の位置で調節し,また測定にも使われる。

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