目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2019年10月17日作成,2019年10月17日更新

平成29年度 問題1 エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令

法令は平成29年4月1日時点で施行されているものである。

以下の問題文では,次のように略記する。

  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律を『法』
  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令を『令』
  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行規則を『則』

(1)

1) 『法』第 5 条の条文の一部

経済産業大臣は,工場等におけるエネルギーの使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るため,次に掲げる事項並びにエネルギーの使用の合理化の目標及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関し,工場等においてエネルギーを使用して事業を行う者の判断の基準となるべき事項を定め,これを公表するものとする。

2 経済産業大臣は,工場等において電気を使用して事業を行う者による電気の需要の平準化に資する措置の適切かつ有効な実施を図るため,次に掲げる事項その他当該者が取り組むべき措置に関する指針を定め,これを公表するものとする。

  1. 電気需要平準化時間帯から電気需要平準化時間帯以外の時間帯への電気を消費する機械器具を使用する時間の変更

3 第 1 項に規定する判断の基準となるべき事項及び前項に規定する指針は,エネルギー需給の長期見通し,電気その他のエネルギーの需給を取り巻く環境,エネルギーの使用の合理化に関する技術水準,業種別のエネルギーの使用の合理化の状況その他の事情を勘案して定めるものとし,これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

2) 『法』第 11 条の条文

エネルギー管理者は,第一種エネルギー管理指定工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関し,エネルギーを消費する設備の維持,エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理する。

3) 『法』第 19 条の 3 の条文

エネルギー管理者及びエネルギー管理員は,その職務を誠実に行わなければならない。

2 エネルギー管理統括者は,エネルギー管理者又はエネルギー管理員のその職務を行う工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する意見を尊重しなければならない。

3 エネルギー管理者又はエネルギー管理員が選任された工場等の従業員は,これらの者がその職務を行う上で必要であると認めてする指示に従わなければならない。

(2)

ある化学工場の事業者が,化学製品製造工場と,別の事業所として本社事務所を所有しており,これらが事業者の設置している施設のすべてである。ここで,化学製品製造工場における前年度の燃料,電気などの使用量は,次の a ~ e のとおり,本社事務所における前年度の電気の使用量は,次の f 及び g のとおりであり,a ~ g 以外のエネルギーは使用していなかった。なお,本社事務所は,専ら事務所として使用されていた。

  1. 工場において,ボイラと加熱炉で燃料として使用した A 重油の量を発熱量として換算した量が 22 万ギガジュール。
  2. 工場において,a とは別のボイラで燃料として使用した木材チップの量を熱量として換算した量が 2 万 8 千ギガジュール。
  3. 工場において,コージェネレーション設備で使用した都市ガスの量を発熱量として換算した量が 7 万 5 千ギガジュール。
  4. 工場において,c のコージェネレーション設備で発生した電気と蒸気を使用した。その使用した電気の量を熱量として換算した量が 1 万 6 千ギガジュール,蒸気の量を熱量として換算した量が 3 万 8 千ギガジュール。
  5. 工場において,小売電気事業者から購入して使用した電気の量を熱量として換算した量が 18 万 5 千ギガジュールで,その購入先の小売電気事業者では,専ら化石燃料によって発電した電気を販売していた。
  6. 本社事務所において,小売電気事業者から購入して使用した電気の量を熱量として換算した量が 5 万 5 千ギガジュールで,その購入先の小売電気事業者では,専ら化石燃料によって発電した電気を販売していた。
  7. 本社事務所では,太陽光発電装置を設置して,そこで発電した電気を本社事務所内で使用した。その使用した電気の量を熱量として換算した量が 6 千ギガジュール。

1) 前年度に使用したエネルギー使用量を『法』で定めるところにより原油の数量に換算した量は,工場が 12 384 キロリットル,本社事務所が 1 419 キロリットルとなる。事業者全体におけるエネルギー使用量はそれらの合計であり,その量から判断してこの事業者は特定事業者に該当する。

2) 1) によって特定事業者としての指定を受けた後,この事業者が選任しなければならないのは,次に示す 1. から 6. のうちの 2. と 5. と 6. である。

  1. 工場のエネルギー管理員
  2. 工場のエネルギー管理者
  3. 本社事務所のエネルギー管理員
  4. 本社事務所のエネルギー管理者
  5. エネルギー管理統括者
  6. エネルギー管理企画推進者

3) 2) において,工場については,選任しなければならないのはエネルギー管理員かエネルギー管理者のいずれかであるが,選任すべき人数は 1 名である。

工場のエネルギー使用量

工場のエネルギー使用量は,a. と c. と e. の合算であり,それを原油の数量に換算する。

\[ (220,000 + 75,000 + 185,000) \times 0.0258 = 12,384 \text{ [kL]} \]

本社事務所のエネルギー使用量

本社事務所のエネルギー使用量は,f. であり,それを原油の数量に換算する。

\[ 55,000 \times 0.0258 = 1,419 \text{ [kL]} \]

(3)

1) 『法』第 16 条関連の文章

『法』第 16 条 第 1 項によれば,主務大臣は,特定事業者が設置している工場等におけるエネルギーの使用の合理化の状況が第 5 条 第 1 項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは,当該特定事業者に対し,当該特定事業者のエネルギーを使用して行う事業に係る技術水準,第 5 条 第 2 項に規定する指針に従って講じた措置の状況その他の事情を勘案し,その判断の根拠を示して,エネルギーの使用の合理化に関する計画(以下「合理化計画」という。)を作成し,これを提出すべき旨の指示をすることができる。

この合理化計画に関して,『法』第 16 条 第 2 項から第 4 項の規定によれば,主務大臣は更に次のことをすることができる。

  1. 合理化計画が当該特定事業者が設置している工場等に係るエネルギーの使用の合理化の適確な実施を図る上で適切でないと認めるときは,当該特定事業者に対し,合理化計画を変更すべき旨の指示をすること。
  2. 特定事業者が合理化計画を実施していないと認めるときは,当該特定事業者に対し,合理化計画を適切に実施すべき旨の指示をすること。
  3. 前述の指示を受けた特定事業者がその指示に従わなかったときは,その旨を公表すること。

2) 『法』第 4 章関連の文章

『法』第 4 章は,貨物輸送事業者,荷主,旅客輸送事業者,航空輸送事業者に関する規定を設け,エネルギーの使用の合理化の目標及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する判断の基準となるべき事項に係る措置を規定している。

ここで,貨物輸送事業者とは,本邦内の各地間において発着する他人又は自らの貨物の輸送を業として,エネルギーを使用して行う者をいい,荷主とは,自らの事業に関して自らの貨物を継続して貨物輸送事業者に輸送させる者をいう。

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