目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2021年8月13日作成,2023年12月31日更新

令和3年度 問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

(1) 国際単位系(SI)

国際単位系(SI)では,長さ(メートル [m]),質量(キログラム [kg]),時間(秒 [s]),電流(アンペア [A]),熱力学温度(ケルビン [K]),光度(カンデラ [cd])及び物質量(モル [mol])の 7 つを基本単位としている。これに対し,電荷の単位であるクーロン [C] は,前述の 7 つの単位のうちのいくつかを組み合わせて A·s と表されるので,組立単位と呼ばれる。

また,圧力の単位であるパスカル [Pa] も組立単位であり,基本単位を用いて kg/(m·s2) と表される。ここで,高さ 10 m の水柱の底面にかかる水の圧力は,水の密度を 1 000 kg/m3,重力の加速度を 9.8 m/s2 とすると 9.8 × 104 [Pa] となる。

高さ 10 m の水柱の底面にかかる水の圧力は,次式で求められる。

10 [m] × 1 000 [kg/m3] × 9.8 [m/s2] = 9.8 × 104 [kg/(m·s2)] = 9.8 × 104 [Pa]

なお,1 [Pa] は,次のように定義されている。

1 [Pa] は,1 [m2] の面積につき 1 [N] の力が作用する圧力または応力

上記の定義より,パスカルを SI 基本単位や他の SI 組立単位で表すと,以下のようになる。

1 [Pa] = 1 [N/m2] = 1 [kg·(m/s2)/m2] = 1 [kg/(m·s2)]

(2) 我が国の発電設備別の発電電力量の割合

我が国の発電設備別の発電電力量の割合は,2011 年の東日本大震災における原子力発電所事故の影響を強く受けて,この 10 年間で大きく変化している。2010 年度には,火力と原子力の占める割合は火力が約 64 %,原子力が約 26 % であり,水力を除く再生可能エネルギーは 2 % 以下であったが,震災後は原子力が激減するとともに,大気中の二酸化炭素濃度の増加を抑制する観点から,再生可能エネルギーの導入が促進された。その結果,2020 年版のエネルギー白書に記されている 2018 年度の実績では,水力を除く再生可能エネルギーの割合は約 9 [%] まで増加している。また,2018 年度における火力の発電電力量を化石燃料別に比べると,多いものから順に天然ガス,石炭,石油となっている。

電気事業連合会「発電設備と発電電力量」によると,2018年度の年間発電電力量は 10 512 億 kWh であり,その内訳は次のようになっている。

  1. 天然ガス 38 %
  2. 石炭 32 %
  3. 地熱および新エネルギー 9 %
  4. 水力 8 %
  5. 石油等 7 %
  6. 原子力 6 %

(3) 種々のエネルギー源

種々のエネルギー源を対象として,それらを利用する系が外界(多くの場合は環境)と平衡するまでに取り出せる最大の仕事量($E$ とする)をエクセルギーと呼ぶ。また,この $E$ を全エネルギーで除した割合をエクセルギー率($\varepsilon$)と呼ぶ。$\varepsilon$ の値は,電気エネルギーでは 1(100 %)である。また,化学エネルギーと,例えば 1 500 °C の熱エネルギーの $\varepsilon$ の値を比べると,一般に化学エネルギーの方が高い

一方,エネルギー利用機器におけるエネルギー効率を評価する上で,エネルギー源と起点を同一とした変換のプロセスを考慮することは重要であり,例えば蒸気圧縮冷凍機と吸収冷凍機のエネルギー効率を比較する際の成績係数の評価に対しても,注意が必要である。

エクセルギー(Exergy)とは,ある系から力学的な仕事として取り出せるエネルギーのことである。

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