国際電気通信連合憲章

2019年5月7日作成,2021年9月1日更新

国際電気通信連合憲章

国際電気通信連合憲章
連合の目的,電気通信に関する一般的規定及び無線通信に関する特別規定に関する事項
その他の事項

第一条 連合の目的

1 連合の目的は、次のとおりとする。

  1. すべての種類の電気通信の改善及び合理的利用のため、すべての構成国の間における国際協力を維持し及び増進すること。
    連合の目的として掲げられたすべての目的を達成するため、団体及び機関の連合の活動への参加を促進し及び拡大させ、並びに当該団体及び機関と構成国との間の実りある協力及び連携を促進すること。
  2. 電気通信の分野において開発途上国に対する技術援助を促進し及び提供すること、その実施に必要な物的資源人的資源及び資金の移動を促進すること並びに情報の取得を促進すること。
  3. 電気通信業務の能率を増進し、その有用性を増大し、及び公衆によるその利用をできる限り普及するため、技術的手段の発達及びその最も能率的な運用を促進すること。
  4. 新たな電気通信技術の便益を全人類に供与するよう努めること。
  5. 平和的関係を円滑にするため、電気通信業務の利用を促進すること。
  6. これらの目的を達成するため、構成国の努力を調和させ、並びに構成国と部門構成員との間の実りあるかつ建設的な協力及び連携を促進すること。
  7. 経済社会の情報化が世界的に進展していることにかんがみ、地域的及び世界的な他の政府間機関並びに電気通信に関係がある非政府機関と協力して、電気通信の問題に対する一層広範な取組方法の採用を国際的に促進すること。

2 このため、連合は、特に次のことを行う。

  1. 各国の無線通信の局の間の有害な混信を避けるため、無線周波数スペクトル帯の分配、無線周波数の割り振り及び周波数割当ての登録(宇宙業務のため、対地静止衛星軌道上の関連する軌道位置又は他の軌道上の衛星の関連する特性を登録することを含む。)を行うこと。
  2. 各国の無線通信の局の間の有害な混信を除去するため並びに無線通信業務に係る無線周波数スペクトルの使用及び対地静止衛星軌道その他の衛星軌道の使用を改善するための努力を調整すること。
  3. 満足すべき業務の質を保ちつつ、電気通信の世界的な標準化を促進すること。
  4. 連合が有するすべての手段(必要な場合には、連合が国際連合の適当な計画に参加すること及び自己の資源を使用することを含む。)により、開発途上国に対する技術援助を確保するための国際協力及び連帯を促進し、並びに開発途上国における電気通信設備及び電気通信網の創設、拡充及び整備を促進すること。
  5. 電気通信手段、特に宇宙技術を使用する電気通信手段が有する可能性を十分に利用することができるように、これらの手段の発達を調和させるための努力を調整すること。
  6. 電気通信の良好な業務及び健全なかつ独立の経理と両立する範囲内で、できる限り低い基準の料金を設定するため、構成国及び部門構成員の間の協力を促進すること。
  7. 電気通信業務の協力によって人命の安全を確保する措置の採用を促進すること。
  8. 電気通信に関し、研究を行い、規則を定め、決議を採択し、勧告及び希望を作成し、並びに情報の収集及び公表を行うこと。
  9. 国際的な金融機関及び開発機関と共に、社会的な事業計画、特に、電気通信業務を各国において最も孤立した地域にまで提供することを目的とするものを進展させるための優先的かつ有利な信用枠の形成を促進することに従事すること。
  10. 連合の目的を達成するため、関係団体の連合の活動への参加及び地域的機関その他の機関との協力を奨励すること。

第三十三条 国際電気通信業務を利用する公衆の権利

構成国は、公衆に対し、国際公衆通信業務によって通信する権利を承認する。各種類の通信において、業務、料金及び保障は、すべての利用者に対し、いかなる優先権又は特恵も与えることなく同一とする

第三十四条 電気通信の停止

1 構成国は、国内法令に従って、国の安全を害すると認められる私報又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる私報の伝送を停止する権利を留保する。この場合には、私報の全部又は一部の停止を直ちに発信局に通知する。ただし、その通知が国の安全を害すると認められる場合は、この限りでない。

2 構成国は、また、国内法令に従って、他の私用の電気通信であって国の安全を害すると認められるもの又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められるものを切断する権利を留保する。

第三十六条 責任

構成国は、国際電気通信業務の利用者に対し、特に損害賠償の請求に関しては、いかなる責任も負わない。

第三十七条 電気通信の秘密

1 構成国は、国際通信の秘密を確保するため、使用される電気通信のシステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する。

2 もっとも、構成国は、国内法令の適用又は自国が締約国である国際条約の実施を確保するため、国際通信に関し、権限のある当局に通報する権利を留保する。

第三十八条 電気通信路及び電気通信設備の設置、運用及び保護

1 構成国は、国際電気通信の迅速なかつ不断の交換を確保するために必要な通信路及び設備を最良の技術的条件で設置するため、有用な措置をとる。

2 第一八六号の通信路及び設備は、できる限り、実際の運用上の経験から最良と認められた方法及び手続によって運用し、良好に使用することができる状態に維持し、並びに科学及び技術の進歩に合わせて進歩していくようにしなければならない。

3 構成国は、その管轄の範囲内において、第一八六号の通信路及び設備を保護する。

4 すべての構成国は、特別の取極による別段の定めがある場合を除くほか、その管理の範囲内にある国際電気通信回線の部分の維持を確保するために有用な措置をとる。構成国は、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が他の構成国の管轄内にある電気通信設備の運用を混乱させることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第四十条 人命の安全に関する電気通信の優先順位

国際電気通信業務は、海上、陸上、空中及び宇宙空間における人命の安全に関するすべての電気通信並びに世界保健機関の伝染病に関する特別に緊急な電気通信に対し、絶対的優先順位を与えなければならない。

第四十五条 有害な混信

1 すべての局は、その目的のいかんを問わず、他の構成国、認められた事業体その他正当に許可を得て、かつ、無線通信規則に従って無線通信業務を行う事業体の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせないように設置し及び運用しなければならない。

2 各構成国は、認められた事業体その他正当に許可を得て無線通信業務を行う事業体に第一九七号の規定を遵守させることを約束する。

3 構成国は、また、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が第一九七号の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第四十六条 遭難の呼出し及び通報

無線通信の局は、遭難の呼出し及び通報を、いずれから発せられたかを問わず、絶対的優位順位において受信し、同様にこの通報に応答し、及び直ちに必要な措置をとる義務を負う。

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