プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題の対策

2022年5月8日作成,2023年10月9日更新

目次

午後Ⅰ問題の出題傾向

午後Ⅰ問題の試験時間は 12:30 ~ 14:00(1 時間 30 分)である。記述式で出題される試験問題の問は 3 つあり,そのうち 2 問を選択して解答する。

午後Ⅰ問題の配点(満点)は 100 点で,基準点は 60 点である。試験結果に問題の難易差が認められた場合には,基準点の変更を行うことがある。

令和5年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 価値の共創を目指すプロジェクトチームのマネジメント

設問 解答案 公式解答
設問1 (1) 新たな体験価値を迅速に創出することを目的としているから
(2) メンバーが意見をはっきりと主張することができる状態
(3) 各自の経験に基づいた自分なりの意見をもっている状況
(4) 行動の基本原則に基づいて作業を進めていくため
設問2 (1) 提供する具体的な体験価値に対するメンバーそれぞれの思いを共有するため
(2) 出資元各社の期待を意識することなく,メンバーが活動できる環境
設問3 チームによる価値の共創力を高めることを目指すため

問2 システム開発プロジェクトにおけるイコールパートナーシップ

未選択

問3 化学品製造業における予兆検知システム

設問 解答案 公式解答
設問1 システム化の検討に抵抗があるベテラン技術者を納得させるため
設問2 (1) 工場の技術者からプロジェクトへの協力を得るため
(2) 設備の障害検知のアルゴリズムを利用したコンサルティング
(3) 【ベテラン技術者】プラントの特性を把握した交換・修理のノウハウを提供する役割
【中堅技術者】完成したシステムを利用して障害の予兆を検知する役割
設問3 (1) 【要件定義フェーズ】システムの開発のスコープが未定である
【開発】システムの開発のスコープが定まっている
(2) 手順の間違いが事故につながることを知ることで,事故を未然に防止する

令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問題を受験した。私は,問1と問2を選択し,以下のような解答を記入した結果,成績は 67 点であった。解答例・解答の要点は朱書きで記載する。

問1 SaaS を利用して短期間にシステムを導入するプロジェクト 解答案

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,ビジネス環境の変化に迅速に対応することを木t系に,SaaS を利用して業務改善やサービス品質向上などの顧客体験価値(UX)改善を図る場合は,効率的な導入を実現するようにプロジェクト計画を作成する必要がある。

本問では,ギフト販売会社のコールセンター業務で SaaS を利用して短期間にシステム導入するプロジェクトを題材として,SaaS の特長を生かした導入手順の決定,システムの利用者と認識を共有するプロセス及び UX 改善ノウハウの蓄積方法について,PM としての実践的な能力を問う。

設問1

顧客からの問合せの対応が遅れ,顧客が不満を抱き,見込み客を失うリスク

AI ボットの運用開始がクリスマスギフト商戦に遅れるリスク

設問2(1)

顧客がどのように AI ボットを使うのかというイメージ

  • AI ボット導入によるコールセンター業務の実施イメージ
  • 顧客がどのように AI ボットを使うかのイメージ
設問2(2)

オペレータの運用がどのように変わるのか

より類似性の高い質問や回答の提示状況

設問2(3)

自社に最適な画面・機能の詳細な要求

FAQ の自動更新に関わる要求

設問2(4)

詳細な対応記録は集計・分析・ファイル出力可能

パラメータ設定の変更だけで実現できる。

設問3(1)

顧客の真のニーズを踏まえたギフトを企画・販売できるかの評価

顧客の真のニーズを踏まえたギフトを販売できるかどうか

設問3(2)

問合せの詳細な対応履歴はデータ化できていないため

デジタルマーケティング戦略の立案を先にすべきだから

設問3(3)

様々なマーケティング業務で AI を活用したデータ分析などを行うこと

マーケティング業務で AI を活用したデータ分析などを行う。

問2 EC サイト刷新プロジェクトにおけるプロジェクト計画 解答案

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,新規事業を実現するためのプロジェクトにおいては,現状の体制やプロセスにとらわれずに,プロジェクトの計画を作成する必要がある。

本問では,アパレル業において EC サイトを刷新し,仮想店舗構想実現を目的とするプロジェクトを題材として,顧客要望を迅速かつ的確に把握して対応できるプロジェクトチームの編成,顧客価値体験を迅速に提供するための,社内外の知識の集約や開発・運用プロセスの整備などを反映したプロジェクト計画の作成について,PM としての知識と実践的な能力を問う。

設問1(1)

(開発課)利用部門からの要求を迅速に実現すること

(開発課)利用部門の要求を迅速に実現すること

(運用課)利用部門と合意した SLA を遵守すること

(運用課)システムの安定運用を実現すること

設問1(2)

疑似的に試着ができ,コーディネートの提案を受けること

実店舗同様に試着したり提案を受けたりできること

設問2(1)

顧客のニーズに合ったコーディネートを提案するスキル

的確に顧客のニーズを把握するスキル

設問2(2)

外部の知見を導入しながら社内の人材を育成するため

A 社社内にスキルをもった人材を育成するため

設問2(3)

多様な視点からの意見を理解し,メンバーの意識を高めるため

メンバーに多様な視点からの意見を理解してもらうため

設問3(1)

顧客に価値を提供するプロセスの軽量化

デプロイまでの時間を短縮する効果

設問3(2)

開発と運用が一体となった活動(DevOps)を実現すること

ガバナンス規程を遵守しつつ,安定した運用を提供すること

問3 プロジェクトにおけるチームビルディング

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトチームのメンバーを選定し,プロジェクトチームのマネジメントルールを定めるとともに,リーダーシップを発揮して,プロジェクトの目標を実現するようにチームビルディングを行う必要がある。

本問では,玩具製造会社での新事業の実現を目的とするシステム開発のプロジェクトを題材として,意欲のあるメンバーの選定,多様性による価値創造を狙ったチームの形成,チームによる自律的なマネジメントの実現及び支援型リーダーシップの発揮について,PM としての実践的な能力を問う。

令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 新たな事業を実現するためのシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクト計画

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,現状を抜本的に変革するような事業戦略に対応したプロジェクトにおいては,現状を正確に分析した上で,前例にとらわれずにプロジェクトの計画を作成する必要がある。

本問では,生命保険会社の子会社設立を通じて,新たな事業を実現するためのシステム開発プロジェクトを題材としている。デジタルトランスフォーメーション(DX)などの新しい考え方を取り入れたり,必要な人材を社外から集めたりして事業戦略を実現すること,プロジェクト計画を段階的に詳細化するようなプロジェクトの特徴にあった修整をすることなど,不確実性の高いプロジェクトにおける計画の作成やリスクへの対応について,PM として知識と実践的な能力を問う。

問2 業務管理システムの改善のためのシステム開発プロジェクト

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,近年の多様化するプロジェクトへの要求に応えてプロジェクトを成功に導くために,プロジェクトの特徴を捉え,その特徴に合わせて適切なプロジェクト計画を作成する必要がある。

本問では,顧客満足度を向上させる活動の一環としてのシステム開発プロジェクトを題材としている。顧客満足度向上の目標を事業部門と共有し,協力して迅速に目標を達成するというプロジェクトの特徴に合わせて,マネジメントプロセスを修正して,適切なプロジェクト計画を作成することについて,PM としての実践的な能力を問う。

問3 マルチベンダのシステム開発プロジェクト

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの立ち上げを行う際,過去のプロジェクトで得られた教訓を生かして,継続的な改善を意識して,より良くプロジェクトを推進するための計画を立案しなければならない。特に,過去のプロジェクトと類似の特徴をもつプロジェクトの場合は,過去のプロジェクトの推進を阻害した問題とその原因を深掘りし,再発を回避するようにプロジェクト計画を作成する。

本問では,マルチベンダのシステム開発プロジェクトを題材として,ステークホルダマネジメント,プロジェクト作業の管理及び変更管理について,幅広く過去の教訓を踏まえてプロジェクト計画を作成する,PM としての問題分析力と対応力を問う。

令和2年度 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 デジタルトランスフォーメーション(DX)推進におけるプロジェクトの立ち上げ

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクト全体計画の作成に先立って,システム開発プロジェクトの責任者として,確実に便益を現実化するために,プロジェクト憲章の作成に積極的に取り組むことを求められる場合がある。

本問では,化学製品製造業の企業における DX 推進を題材として,プロジェクト憲章を理解しているかどうか,具体的にプロジェクト憲章を作成し,プロジェクトチームを編成し,プロジェクトを立ち上げる実務能力を習得しているかどうかを問う。

問2 システム開発プロジェクトにおける,プロジェクトチームの開発

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトを円滑に運営するために,プロジェクトチームの状況について的確に掌握し,プロジェクトチームの構成員に,必要な能力の獲得や自らの成長を促すための活動を計画する必要がある。

本問では,顧客のサービスの提供価値を継続的かつ迅速に高めるために,システムのリリース間隔の短縮と持続的な成長を期待されるプロジェクトチームを題材として,プロジェクトチームの開発に関する実践的な能力を問う。

問3 SaaS を利用した人材管理システム導入プロジェクト

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクト計画の作成に当たり,プロジェクトの要求事項を収集し,将来のリスクがプロジェクトに与える影響を考慮し,全体調整を図った上で,一貫性のある実行可能な計画とする必要がある。

本問では,SaaS を利用した人材管理システムを導入するプロジェクトを題材として,SaaS の特徴を踏まえて拡張性を生かした導入方法,データ整備方法,デモンストレーションやプロトタイプを有効活用した要件定義の方法,プロジェクトのメンバが正確にコミュニケーションする手段について,PM としてのプロジェクト計画作成の実践的な能力を問う。

平成31年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 コールセンタにおけるサービス利用のための移行

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,個別に開発したシステムからサービスの利用への移行に際し,サービス仕様と顧客の要件を把握した上で,確実にプロジェクトマネジメントを行う必要がある。その際,新機能の導入に関しても主導的な役割が期待される。

本問では,通信販売事業者が持つコンタクトセンタのサービスへの移行プロジェクトを題材として,移行計画の立案,新機能の導入時のリスクへの対応について,PM としての実践的な能力を問う。

問2 IoT を活用した工事管理システムの構築

出題趣旨

IoT を活用したシステム開発プロジェクトでは,プロジェクトマネージャ(PM)は従来のシステム開発工程のマネジメントだけではなく,広範なステークホルダの統率や広範なステークホルダとの調整,組織の戦略を達成するためのプロジェクト組織を横断したプロジェクトを役割として担うことが求められる。

本問では,IoT を活用したプロジェクトを題材として,WBS の作成,リスクマネジメントに関する実践的な能力を問うとともに,IoT を活用したプロジェクトで要求される新たな PM の役割について理解しているかどうかを問う。

問3 プロジェクトの定量的なマネジメント

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,システム開発プロジェクトの実施に当たり,スケジュールを適切に管理する必要がある。スケジュールの管理においては,開発する品質やリスクなど多様な要素を視野に入れて正確に状況を把握すること,問題の早期発見に努めること,ステークホルダと共有するための十分な客観性を担保することが重要であり,定量化への取組はその基礎となる。

本問では,請負契約でのシステム開発プロジェクトを題材に,定量的な管理手法を採り入れたマネジメントの標準の立案と導入について,PM としての実践的な能力を問う。

平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 SaaS を利用した営業支援システムを導入するプロジェクト

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,業務の効率向上を図る手段としてクラウドサービスを利用する場合には,効果的な活用方法を明らかにする必要がある。

本問では,SaaS を利用した営業支援システムを導入するプロジェクトを題材に,SaaS の特徴を考慮したシステム化方針の決定,プロジェクト目的の達成に寄与する SaaS の選定,SaaS を前提とした要件定義及びデータ移行方法の検討について,PM としての実践的な能力を問う。

問2 システム開発プロジェクトの品質管理

出題趣旨

システム開発プロジェクトにおいて,プロジェクトマネージャ(PM)は,適切な品質管理計画を立案し,実践した上で,実績を適切に分析・評価して,得られた成果や知見をその後のプロジェクトや,組織の他のプロジェクトに活用することが求められる。

本問では,設計工程での品質確保を目指す組織のプロジェクトを題材に,PM の品質管理に関する実践的な能力を問う。

問3 情報システム刷新プロジェクトのコミュニケーション

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトを計画どおりに進めるためにステークホルダを正しく把握し,その特性に基づいたコミュニケーションマネジメント計画を策定する必要がある。

本問では,コミュニケーションを密にするべきステークホルダが存在する状況下での情報システム刷新プロジェクトを題材として,ステークホルダのプロジェクトへの関わり方や,子会社の業務範囲拡大に向けたプロジェクト内部のマネジメント計画の改善について,PM としての実践的な能力を問う。

平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 製造実行システム導入プロジェクトの計画作成

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトに関わる様々なマネジメントの視点をもち,マネジメント項目間のトレードオフや,プロジェクトの外部との依存関係を把握し,適切にマネジメントする必要がある。

本問では,多くのステークホルダが存在するプロジェクトの計画策定において,スコープ,ステークホルダ,リスク,スケジュールなどのマネジメント項目間のトレードオフを把握し,プロジェクト計画を策定し,合意形成を行うといった,PM としての実践的な能力を問う。

問2 サプライヤへのシステム開発委託

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,サプライヤにシステム開発を委託するに当たって,契約形態を意識した上で確実に契約が履行されるように,進捗管理・品質管理などの開発条件に関して,契約交渉を行う必要がある。また,プロジェクト開始後は,契約にのっとって適切にサプライヤをマネジメントする必要がある。

本問では,請負契約での委託実績がないサプライヤに委託を試みるプロジェクトを題材として,調達における PM としての実践的な能力を問う。

問3 単体テストの見直し及び成果物の品質向上

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,テストを通じてソフトウェアの品質を確認するとともに,摘出したバグの分析を通じて摘出状況の妥当性を確認したり,バグが発生した原因を作業及び成果物から推定したりして,成果物の品質を向上するための対策を採る必要がある。

本問では,システムの改修案件の単体テストを題材に,単体テストの見直し及びテスト後の作業及び成果物分析を通じた成果物の品質向上策の立案について,PM としての実践的な能力を問う。

平成28年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 プロジェクトのリスク管理

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)には,プロジェクトの計画策定において,様々なリスクを想定し,その対応策を径アックへ反映するプロアクティブな対応が求められる。

本問では,プロジェクトへの要求事項や特性を把握した上で,リスクを考慮してどのように計画へ反映するか,機能の追加要求に対応することに伴うリスクをどのように把握し,個別リスクに対応するかについて,PM としてのリスク対応の基本的な知識,経験を問う。

問2 プロジェクトにおけるコミュニケーション

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,ステークホルダのニーズと期待を満たすために,適切なコミュニケーション計画を立案し,その計画に則って,プロジェクトを適切に運営する必要がある。

本問では,過去にコミュニケーションに関する問題を抱えたチームによるプロジェクトを題材として,ステークホルダとの情報共有や,プロジェクト内部のコミュニケーション計画の改善について,PM としての実践的な能力を問う。

問3 プロジェクトの進捗管理及びテスト計画

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトを構成する個々の作業の進捗状況を把握し,ボトルネックとなっている箇所を特定して対策を採る必要がある。

本問では,人事給与システムの設計・開発の外部設計における進捗管理を題材に,進捗状況の把握及び進捗遅延箇所に対する対応策の立案,潜在する品質リスクへの対応のためのテスト工程における施策の追加について,PM としての実践的な能力を問う。

平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 生産管理システムを導入するプロジェクトの,ステークホルダマネジメント

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)が,プロジェクトに関わるステークホルダを認識し,適切にマネジメントすることは,プロジェクトを成功裏に進める上で非常に重要である。

本問では,海外の提携先企業からのシステム導入を題材に,PM としてステークホルダの現在の状況を認識し,望ましい状況に変えるための対策を立案する実践的な能力を問う。

問2 ソフトウェアパッケージの導入

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの目的を踏まえ,自社の状況やステークホルダの特性を考慮してプロジェクトの計画立案やリスクへの対応を行う必要がある。

本問では,倉庫管理用ソフトウェアパッケージの導入におけるソフトウェアパッケージの選定からプロジェクト計画の立案までを題材に,与えられた条件の下でのプロジェクト計画の立案,リスクの認識及び対応について,PM としての実践的な能力を問う。

問3 システムの再構築

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)には,プロジェクトの実行段階でやむを得ない事情によってスコープの変更への対応が必要になる場合がある。そのような場合でも,PM は,スコープの変更に対応した上で,プロジェクトの目標を確実に達成できるように配慮することが重要である。

本問では,スコープの変更への対応が必要となった事例を題材に,スコープの変更に当たってプロジェクトの目標の達成を図りつつ,前提条件及び制約事項についてステークホルダとの調整を的確に行った上で,プロジェクト計画の変更の検討を行うこと,スコープの変更に伴うリスクを漏れなく洗い出しその対策を講じること,さらにスコープの変更が必要になった原因に着目し再発防止に努めることなどの,PM として的確に対応するための実践的な能力を問う。

平成26年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 人材管理システムの構築

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,システム開発プロジェクトにおいて,ステークホルダを適切に認識し,その要求事項を把握し,計画に反映していく必要がある。

本問では,ステークホルダの様々な要求を洗い出し,時間の制約の中で,どのような全体のスコープを定義していくかを問うことで,プロジェクトマネジメントの実務的な能力を評価する。また,人材情報を扱うシステム特有のリスク対応として,個人情報の取扱いに関する知識を問うことで,リスクマネジメントの実務能力を評価する。

問2 プロジェクトの進捗管理

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,システム開発プロジェクトにおいて,スケジュール計画を立案し,プロジェクトの進捗状況を適切に評価して,問題,課題及びリスクがある場合には,適切な対策を講じる必要がある。

本問では,インターネット通販企業におけるシステム開発プロジェクトの進捗管理を題材に,進捗管理計画の立案,進捗状況の評価,問題発生時の対応について,PM としての実践的な能力を問う。

問3 生産管理システムの再構築

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,システム開発プロジェクトにおいて,顧客の要求の背後にあるリスクを察知し,適切に対応をとる必要がある。

本問では,“現行システムの仕様どおり” という要求に対する契約面,スケジュール面などでの対応を問うことで,PM のリスク対応能力を評価する。

平成25年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 設計ドキュメント管理システムの開発プロジェクト

出題趣旨

プロジェクト計画の策定段階において,プロジェクトマネージャ(PM)は,複数の計画案を比較検討しなくてはならない場合がある。その際,スケジュールへの影響や,顧客や事業部門などのステークホルダの要求への適合性などを総合的に検討し,最も適切な案を採択するプロセスを踏む必要がある。

本問では,プロジェクト計画の複数の案を比較検討する場合を取り上げ,プロジェクト計画策定の基本的な能力である,ステークホルダマネジメント,スケジュール作成,リスク対応計画の策定などについて問い,PM としての基本的な能力を評価する。

問2 プロジェクト計画の策定

出題趣旨

利用部門が策定したシステム化計画について,プロジェクトマネージャ(PM)には,与えられた個別システム化計画書を分析し,リスクを洗い出し,関連する情報を適切に収集し,利用部門と適切なコミュニケーションを取って,プロジェクト計画を作成することが求められる。

本問では,プロジェクトの実行計画策定を題材に,リスクマネジメントの能力,ステークホルダとのコミュニケーションの進め方に関する能力,スケジュール管理の実務能力など,PM としての基本的な能力を評価する。

問3 システム開発プロジェクトの企業合併に伴う計画変更

出題趣旨

システム開発プロジェクトの進行中に,プロジェクトの外部環境の変化による影響でプロジェクトの計画を変更せざるを得なくなる場合がある。プロジェクトマネージャ(PM)は,状況の変化に柔軟に対応し,プロジェクトの目標を達せしなくてはならない。

本問では,企業合併によるスケジュール変更という制約の中で,プロジェクトへの影響の分析や,全体計画の変更とリスクへの対応について,PM としての実務的な能力を問う。

問4 ソフトウェア開発の遂行

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの遂行に当たり,まずステークホルダの特性を分析し,ステークホルダに関連するリスクを適切に識別しなければならない。次に識別されたリスクに対して,ステークホルダの協力を得ながら,適切に対応していく必要がある。

本問では,組込みソフトウェアの開発を題材に,ステークホルダに関連するリスクへの対応について,PM としての実務的な能力を問う。

平成24年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 外部設計の状況確認

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,内部設計以降にスコープの変動が極力起きないようにするために,外部設計において,ステークホルダとの十分な合意が形成できるように留意する必要がある。

本問では,システム構築における外部設計の状況確認を題材に,ステークホルダとのコミュニケーションや合意形成の円滑化を図るためのプロジェクト運営,外部設計の状況と今後の見通しの把握,問題が発生した場合の対処などについて,PM としての実践的な能力を問う。

問2 プロジェクトの立て直し

出題趣旨

プロジェクトの立て直しのために,プロジェクトの途中で新たなプロジェクトマネージャ(PM)が任命されることがある。そのような場合,PM は,プロジェクト全体の状況を把握し,問題点を洗い出し,その原因を特定し,実行可能なプロジェクト計画を早急に策定する必要がある。その際に,表面的な問題ではなく,真の原因を掘り下げ,その対策を盛り込むことが重要である。また,関係者に対し,適切にコミュニケーションをとり,協力を得ることも重要である。

本問では,プロジェクトの立て直しという状況の中で,これらの観点をどのように実践するか,PM としての総合的な能力を問う。

問3 EVM によるプロジェクト管理

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの遂行に当たって,プロジェクト管理の方針を明確に定め,それが確実に実施できることを確認した上でプロジェクトに適用し,プロジェクトを適切に管理することが求められる。

本問では,プロジェクト管理の基礎能力として,EVM (Earned Value Management) に関する基本的な知識を問うとともに,その前提である,WBS の作り方や実績集計の必要要件などに対する理解度を確認し,PM としてのプロジェクト管理の実務能力を問う。

問4 組込みシステム開発の結合テスト計画

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの状態を示す正しいデータを収集し,内容を適切に把握しながら,計画の実行に支障を来す兆しや現象がないかを監視する必要がある。そのために,プロジェクトの特性に合ったデータ,メトリクスの選定が重要である。

本問では,組込みシステム開発の結合テスト計画を題材に,データ,メトリクスの活用について,PM としての実践的な能力を問う。

平成23年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 システム開発プロジェクトにおけるスケジュール管理

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの遂行に当たって,適切なプロジェクト管理技法を用いて,プロジェクトを成功裏に進めることが求められる。

本問では,プロジェクト管理技法の基本である WBS を作成するための成果物の要素分解,ネットワークスケジュールの作成方法やドキュメントレビューの観点などを問うことによって,PM としてのプロジェクトの遂行能力,プロジェクト管理技法に関する知識や実践能力などを評価する。

問2 基幹システムの再構築

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの遂行に当たって,ステークホルダの能力や特性を把握して適切なプロジェクト計画を立案し,ステークホルダ間の利害関係を調整する必要がある。

本問では,ERP パッケージの導入開発プロジェクトの立上げから要件定義工程までを題材にして,顧客との責任分担や作業の進め方,スケジュールの調整などプロジェクトの推進に関する問題が発生した場合の対応を通して,PM としての実践的な能力を問う。

問3 システムの再構築

出題趣旨

システムの再構築を行う場合,プロジェクトマネージャ(PM)は,関連するシステムの開発状況,稼働状況などを十分に考慮した上で,プロジェクトの計画立案,プロジェクトの実行管理・運営を行う必要がある。

本問では,ハードウェアの保守期限の到来に伴うシステムの再構築を題材にして,稼働中のシステム及び並行して開発を行っている関連するプロジェクトの進捗状況などに基づいた開発スケジュールの見直し,品質確保の方法,リスクの軽減方法などについて,作業効率の向上,障害対応などの多角的な観点から,PM としての実践的な能力を問う。

問4 プロジェクトの評価

出題趣旨

システム開発プロジェクトにおいて,プロジェクトマネージャ(PM)は,適切な品質管理計画を立案し,計画に従って品質管理を実践する必要がある。また,実績を適切に分析・評価して,そこから得られた成果をその後のプロジェクトの運営に活用するとともに,ほかのプロジェクトの参考に資することも求められる。

本問では,工程ごとの欠陥摘出を複数の視点から検証したプロジェクトをモデルとして,PM の品質管理に関する実践的な能力を問う。

平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 新システムの構築

出題趣旨

他社との協業形式でシステム開発を行う際に,プロジェクトマネージャ(PM)は,自社だけで開発する場合との違いを十分に考慮した上で,プロジェクト計画の立案,プロジェクトの管理・運営を行う必要がある。

本問では,業務面・システム面の包括的な協力関係に基づく新システムの構築を題材にして,協業先のシステムを改造して開発する際の,開発スケジュールの策定,開発体制の整備,品質管理計画の策定などについて,ドキュメントの整備,利用部門の共通理解の形成,品質評価基準の策定などの多角的な観点から,PM としての実務的な能力を問う。

問2 会計業務において EUC から Web アプリケーションシステムへ移行するプロジェクト

出題趣旨

プロジェクトの実行においては,スコープ,スケジュール,コスト,品質間の様々なトレードオフの判断を求められる。プロジェクトマネージャ(PM)は,適切なコミュニケーションと利害調整を行いつつ,プロジェクトの目的・目標に照らして,これらのトレードオフの何を優先するかを,時には自分で判断し,時にはステークホルダに判断を迫る必要がある。

本問では,プロジェクト遂行体制をどのように形成するか,ステークホルダ間の異なる要求をどのように調整するか,プロジェクト管理の仕組みをどのように組み込んでいくかなどの観点で,プロジェクトをどのように運営するかを問うことで,PM としての総合的な能力を評価する。

問3 システムの再構築

出題趣旨

システムの再構築では,新しく構築するシステムに,従来利用してきたシステムから,データを移行して用いることが多い。移行するデータを正しく作り上げ,移行の作業を定められた時間内に確実に実施できるよう,プロジェクトマネージャ(PM)は移行計画を策定して,この計画に基づいて移行作業を進める必要がある。

本問では,制約の下でデータ移行計画の作成,関連する作業との連携,新たに発生する課題への対応に関して,PM としての実践的な能力を問う。

問4 請負契約の見積り

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,請負契約の締結に先立ち,システム及びプロジェクトのスコープを明確にし,様々な外部の変動要因によるリスクを勘案して,コスト及び工期を見積もり,ステークホルダと合意することが求められる。

本問では,組込みシステム開発の請負契約を題材に,PM としてのコスト及び工期の見積りと,契約におけるリスク管理に関する実践的な能力を問う。

平成21年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ問題

問1 プロジェクトのリスク管理

出題趣旨

システム開発のプロジェクト遂行においては,最初にリスクを適切に識別し,発生確率と影響度を分析する。次に対応の優先順位を決め,対応策を策定し,それらを含めた計画・予算の設定を行う。これらは,プロジェクトを円滑に推進する上で必須の活動である。

本問では,プロジェクトマネージャが,プロジェクト遂行に当たり,理解しておかなければならないリスク対応計画策定の手順と,リスク対応活動の実践力を問う。

問2 外部委託先の選定

出題趣旨

外部委託先の選定を行う際に,プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの目的に沿った形で委託先に対する要求事項を要求仕様書として取りまとめ,要求仕様書に従って着実に開発が行える委託先を選定する必要がある。

本問では,要求仕様書を作成し,提案依頼を行った上で外部委託先の選定を行う際の,要求仕様書の作成,委託先の選定方法の検討,委託先の選定の実施などについて,システム利用部門の協力が十分に得られない場合の対応方法,適切なコストで最適の委託先を選定するための選定基準の設定方法,選定が適切に行われたかどうかの評価方法などの多角的な視点から,PM としての調達における実践的な能力を問う。

問3 プロジェクト推進方法の見直し

出題趣旨

プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクト推進に当たって,作業のルールを制定し,配下のメンバが適切に作業を行なえるようにすることが重要である。同一のシステムに機能を追加する開発においても,PM は,それぞれの追加開発を一つのプロジェクトとしてとらえ,作業のルールが,その時点の契約形態などの制約条件,前提条件に適したものであることを確認し,必要により修正することが重要である。

本問では,作業標準や作業上のルールの制定,プロジェクト推進上の問題の解決に関する実践力を問う。

問4 ソフトウェア開発の品質管理

出題趣旨

システム開発プロジェクトにおいて,プロジェクトマネージャ(PM)は,品質に関するリスクを勘案し,費用対効果に優れた品質管理計画を立案し,その計画に従って適切に品質をモニタリングすること,問題の兆候やリスクの顕在化を察知した場合には,迅速に対処することが求められる。

本問では,開発とテストの体制を分離してリスクの軽減を図ったプロジェクトをモデルとして,PM の品質管理に関する知識や実践力を評価する。

本稿の参考文献

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