令和4年度 上期 午前 第二種電気工事士 筆記試験 解答と解説

2022年6月4日作成,2022年6月19日更新

令和4年(2022年)5月29日(日)に実施された令和4年度 上期 午前 第二種電気工事士 筆記試験の解答と解説です。

次の各問いには4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてあるので,その中から一つを選択し,解答と解説を表示 をクリックしてください。

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本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$

試験の結果について

令和4年度 第二種電気工事士 上期 筆記試験の受験者数は 78,634 人だった。

合格基準点は 60 点以上と決定され,45,734 人が合格し,合格率は 58.2 % となった。

No. 1 電気回路の計算

図のような回路で,電流計 A の値が 1 A を示した。このときの電圧計 V の指示値 [V] は。

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# 電気に関する基礎理論

【答え】

回路に流れる電流は下図のようになる。電圧計を接続した抵抗 4 Ω には,4 A の電流が流れるため,電圧計の指示値は 4 Ω × 4 A = 16 V となる。

No. 2 ビニル絶縁電線(単線)の抵抗又は許容電流

ビニル絶縁電線(単線)の抵抗又は許容電流に関する記述として,誤っているものは

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# 電気に関する基礎理論

【答え】

許容電流は,周囲の温度が上昇すると,小さくなる

No. 3 抵抗器で発生する熱量

抵抗器に 100 V の電圧を印加したとき,5 A の電流が流れた。1 時間 30 分の間に抵抗器で発生する熱量 [kJ] は。

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# 電気に関する基礎理論

【答え】

抵抗器で発生する熱量 [kJ] は,次式で求められる。

100 V × 5 A × 1.5 h × 3.6 [kJ/(W·h)] = 2 700 [kJ]

No. 4 RL 交流回路

図のような交流回路において,抵抗 8 Ω の両端の電圧 $V$ [V] は。

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# 電気に関する基礎理論

【答え】

回路を流れる電流 $I$ [A] は,次式で求められる。

\[ I=\frac{100}{\sqrt{8^2 + 6^2}}=10 \]

回路には 10 A の電流が流れるので,抵抗 8 Ω の両端の電圧 $V$ [V] は,8 Ω × 10 A = 80 V である。

No. 5 三相 3 線式回路の全消費電力

図のような三相 3 線式回路の全消費電力 [kW] は。

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# 電気に関する基礎理論

【答え】

各相に流れる電流は次式で求められる。

\[ \frac{200}{\sqrt{6^2 + 8^2}}=\frac{200}{10}=20 \]

三相 3 線式回路の全消費電力 [kW] は,次式で求められる。

3 × 6 Ω 20 A × 20 A ÷ 1 000 = 7.2 [kW]

No. 6 電線路の電力損失

図のような三相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が 0.15 Ω,線電流が 10 A のとき,この電線路の電力損失 [W] は。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

この電線路の電力損失は,次式で求められる。

3 × 0.15 Ω × 10 A = 45 [W]

No. 7 単相 3 線式回路における中性線の断線

図のような単相 3 線式回路において,消費電力 1 000 W,200 W の 2 つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の × 印点で断線した場合,a-b 間の電圧 [V] は。

ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

a-b 間の電圧は,次式で求められる。

10 Ω 200 V ÷ (10 Ω + 50 Ω) = 33.3 [V]

No. 8 電線の許容電流

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)4 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。

ただし,周囲温度は 30 °C 以下,電流減少係数は 0.63 とする。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)1 本当たりのの許容電流は 35 A なので,4 本収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は,次式で求められる。

35 [A] × 0.63 = 22.05 [A]

No. 9 低圧屋内幹線

定格電流 12 A の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値 [A] は。

ただし,需要率は 80 % とする。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

電動機等の定格電流の合計が 60 A であるが,重要率 80 % を考慮すると 48 A となる。この定格電流の合計の 1.25 倍が幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値 [A] である。

12 A/台 × 5 台 × 80 % × 1.25 倍 = 60 A

No. 10 分岐回路の電線(軟銅線)の太さと接続できるコンセント

定格電流 30 A の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと,接続できるコンセントの図記号の組合せとして,適切なものは

ただし,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

定格電流 30 A の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さは直径 2.6 mm 以上,接続できるコンセントは定格電流が 20 A 以上 30 A 以下のもの(定格電流が 20 A 未満の差込みプラグが接続できるものを除く。)である。

断面積 5.5 mm2,コンセントの定格電流が 20 A の二が適切である。

No. 11 直接埋設式による低圧地中配線の施設

低圧の地中配線を直接埋設式により施設する場合に使用できるものは

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

地中電線路には,ケーブルを使用する。

No. 12 絶縁物の最高許容温度

600 V ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形(EM-EEF)の絶縁物の最高許容温度 [°C] は。

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# 配電理論及び配線設計

【答え】

EM-EEF の絶縁物の最高許容温度は 75 °C である。EM は,Eco Material の略で,燃焼時の有害ガスの発生を抑えるなど環境に配慮した電線である。。

No. 13 電気工事の種類とその工事で使用する工具の組合せ

電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せとして,適切なものは

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# 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具

【答え】

クリックボールは,刃物を先端につけて回すハンドルである。例えば,リーマに取り付けて金属管の面取りをしたり,羽根きりを取り付けて木板に穴をあける。

クリックボール
写真 クリックボール

No. 14 三相誘導電動機

三相誘導電動機が周波数 50 Hz の電源で無負荷運転されている。この電動機を周波数 60 Hz の電源で無負荷運転した場合の回転の状態は。

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# 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具

【答え】

周波数が大きい電源で三相誘導電動機を無負荷運転すると,回転速度が増加する。

No. 15 蛍光灯

蛍光灯を,同じ消費電力の白熱電灯と比べた場合,正しいものは

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# 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具

【答え】

蛍光灯は,白熱灯に比べ,発光効率がよい,寿命が長い,熱の放射が少ないといった長所がある一方で,力率が悪い,光にちらつきがあるといった欠点がある。

No. 16 材料の用途

写真に示す材料の用途は。

PF 管用サドル
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# 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具

【答え】

写真に示す材料の名称は PF 管用サドルで,PF 管を支持するのに用いる。

No. 17 機器の名称

写真に示す機器の名称は。

低圧進相コンデンサ
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# 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具

【答え】

写真に示す機器の名称は低圧進相コンデンサで,力率を改善するのに使用する。

No. 18 測定器の用途

写真に示す測定器の用途は。

接地抵抗計(アーステスタ)
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# 一般用電気工作物の検査方法

【答え】

写真に示す測定器の名称は接地抵抗計(アーステスタ)で,接地抵抗の測定に用いる。

No. 19 屋内配線工事における絶縁電線相互の接続

単相 100 V の屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは

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# 電気工事の施工方法

【答え】

電線を接続する部分には,接続管その他の器具を使用するか,ろう付けする。

No. 20 電気設備の簡易接触防護措置

電気設備の簡易接触防護措置としての最小の高さの組合せとして,正しいものは

ただし,人の通る場所から容易に触れることのない範囲に施設する。

屋内で床面からの最小高さ [m] 屋外で地表面からの最小高さ [m]
a 1.6 e 2
b 1.7 f 2.1
c 1.8 g 2.2
d 1.9 h 2.3
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# 電気工事の施工方法

【答え】

電気設備の簡易接触防護措置としての最小の高さの組合せは,屋内で床面からの最小高さは 1.8 [m],屋外で地表面からの最小高さは 2 [m] である。

接触防護措置簡易接触防護措置について整理すると,下表となる。

接触防護措置と簡易接触防護措置の施設
防護措置 屋内 屋外
接触防護措置 床上 2.3 m 以上 地表上 2.5 m 以上
簡易接触防護措置 床上 1.8 m 以上 地表上 2 m 以上

No. 21 低圧屋内配線の図記号とそれに対する施工方法

低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せとして,正しいものは

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# 配線図

【答え】

実線は天井隠ぺい線,点線は露出配線の図記号である。

E は鋼製電線管(ねじなし電線管),PF は合成樹脂製可とう電線管(PF 管),F2 は 2 種金属可とう電線管の記号である。

よって,正しいものは「ニ.2 種金属可とう電線管で露出配線」である。

No. 22 機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事

機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で,不適切なものは

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# 電気工事の施工方法

【答え】

水気のある場所では接地工事を省略できない。

No. 23 合成樹脂管工事

硬質ポリ塩化ビニル電線管による合成樹脂管工事として,不適切なものは

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# 電気工事の施工方法

【答え】

硬質ポリ塩化ビニル電線管による合成樹脂管工事では,管の支持点間の距離は 1.5 m 以下とする。

No. 24 屋内配線で電線相互間及び電線と大地間の電圧

単相 3 線式 100/200 V の屋内配線で,絶縁被覆の色が赤色,白色,黒色の 3 種類の電線が使用されていた。この屋内配線で電線相互間及び電線と大地間の電圧を測定した。その結果としての電圧の組合せで,適切なものは

ただし,中性線は白色とする。

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# 一般用電気工作物の検査方法

【答え】

単相 3 線式 100/200V の屋内配線で電線相互間及び電線と大地間の電圧は,下図のとおり。

単相 3 線式 100/200V 屋内配線の電線相互間及び電線と大地間の電圧
単相 3 線式 100/200V 屋内配線の電線相互間及び電線と大地間の電圧

No. 25 電路ごとの絶縁抵抗の最小値

単相 3 線式 100/200 V の屋内配線において,開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの絶縁抵抗の最小値として,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に想定されている値 [MΩ] の組合せで,正しいものは

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# 一般用電気工作物の検査方法

【答え】

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。

表 低圧の電路の絶縁性能
電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300 V 以下 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150 V 以下の場合 0.1 MΩ
その他の場合 0.2 MΩ
300 Vを超えるもの 0.4 MΩ

No. 26 配線の絶縁抵抗値及び鉄台の接地抵抗値

工場の 200 V 三相誘導電動機(対地電圧 200 V)への配線の絶縁抵抗値 [MΩ] 及びこの電動機の鉄台の接地抵抗値 [Ω] を測定した。電気設備技術基準等に適合する測定値の組合せとして,適切なものは

ただし,200 V 電路に施設された漏電遮断器の動作時間は 0.5 秒を超えるものとする。

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# 一般用電気工作物の検査方法

【答え】

電気設備技術基準等では,次のように規定されている。

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。

表 低圧の電路の絶縁性能
電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300 V 以下 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150 V 以下の場合 0.1 MΩ
その他の場合 0.2 MΩ
300 Vを超えるもの 0.4 MΩ

D 種接地工事の設置抵抗値は,接地抵抗値は,100 Ω(低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500 Ω)以下であること。

No. 27 直流式指示電気計器

直流式指示電気計器の目盛板に図のような記号がある。記号の意味及び測定できる回路で,正しいものは

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# 一般用電気工作物の検査方法

【答え】

指示電気計器は可動コイル形,計器の置き方は垂直であることを示している。また,可動コイル形の指示電気計器は,直流回路で使用する。

No. 28 電気工事士法

「電気工事士法」において,一般用電気工作物に係る工事の作業で a,b ともに電気工事士でなければ従事できないものは

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# 一般用電気工作物の保安に関する法令

【答え】

電気工事士法に紐づく電気工事士施行規則には,電気工事士ではないとできない作業が規定されている。ただし,電気工事士を補助する場合は電気工事士の資格は不要である。

  1. 電線相互を接続する作業
  2. がいしに電線を取り付ける作業
  3. 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く)に取り付ける作業
  4. 電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
  5. 配線器具を造営材その他の物件に固定し,又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く)
  6. 電線管を曲げ,若しくはねじ切りし,又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
  7. ボックスを造営材その他の物件に取り付ける作業
  8. 電線,電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に防護装置を取り付ける作業
  9. 金属製の電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を,建造物のメタルラス張り,ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付ける作業
  10. 配電盤を造営材に取り付ける作業
  11. 接地線を一般用電気工作物に取り付け,接地線相互若しくは接地線と接地極を接続し,又は接地線を地面に埋設する作業

No. 29 電気用品安全法

「電気用品安全法」における電気用品に関する記述として,誤っているものは

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# 一般用電気工作物の保安に関する法令

【答え】

電気用品のうち,特に危険または障害のおそれのあるものを特定電気用品といい,検査機関による適合検査を受けなければならない。そして,合格した場合は下の表にある適合表示マークが付けられる。なお,承認された電気用品には,このマーク以外に,届出事業者名登録検査機関名定格電圧・定格電流を表示する。

表 電気用品の種類と表示
電気用品の種類 適合表示マーク 適合表示
特定電気用品
特定電気用品
<PS>E
特定電気用品以外の電気用品
特定電気用品以外の電気用品
(PS)E

No. 30 一般用電気工作物

一般用電気工作物に関する記述として,誤っているものは

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# 一般用電気工作物の保安に関する法令

【答え】

電気事業法によると,電気工作物とは,発電,変電,送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械,器具,ダム,水路,貯水池,電線路その他の工作物(船舶,車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。

  1. 一般用電気工作物 600 V 以下の電圧で受電し,受電の場所と同一の構内で使用する電気工作物で,小出力発電設備を設置しているものも含まれる。
  2. 自家用電気工作物 電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいい,次のものが該当する。
    1. 600 Vを超える電圧で受電するもの
    2. 小出力発電設備以外のものを設置しているもの
    3. 構外にわたる電線路を有するもの
電気工作物
図 電気工作物の種類
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